犬の脳炎(髄膜炎)!症状や、治療法って?

公開日:2024/10/08 / 最終更新日:2025/02/12
犬の脳炎とは
脳炎は
脳の炎症性疾患で、
原因から大きく
「感染性」と「非感染性」に
分けることができます。
多くは
原因不明の非感染性で起こるため
根本的な治療ができない場合が
少なくありません。
しかし脳炎は
急速に進行する可能性があり、
対症療法にはなってしまいますが
適切にケアしないと
数日で
最期を迎えてしまう
可能性もあります。
似た病気として
「髄膜炎」がありますが、
脳炎が
脳自体の炎症であるのに対し、
髄膜炎は
脳を覆っている髄膜が
炎症を起こす病気です。
両方を合わせて
「髄膜脳炎」と
呼ぶ場合もあります。
脳炎の種類
脳炎は感染性と
非感染性に分かれますが、
別の脳疾患によって起こる
「二次性」の
脳炎の場合もあります。
感染性では
細菌やウイルス、
寄生虫などが原因となり、
非感染性では
自己免疫の異常が
主な原因となります。
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脳炎になりやすい犬種
脳炎は
どの犬種や年齢でもなる
可能性がありますが、
非感染性で
遺伝性の場合は
若齢のパグやマルチーズ、
チワワ、シーズー、フレンチブルドッグ、
ヨークシャーテリアや
ウェストハイランドホワイトテリアなどの
テリア種、
プードルで多く見られます。

犬の脳炎の症状
脳炎を発症すると
初期症状として
- 「発作」
- 「視力の低下・失明」
- 「運動量の低下」
などが見られ、
他にも
以下のような症状が単一
もしくは
総合的に見られるようになります。
- 震え
- 痙攣
- 発熱(高熱)
- 痛み
- 麻痺
- 頭の傾き(斜頸)
- バランス感覚の欠如(物にぶつかる、つまづくなど)
- ぐるぐる回る
- 息が荒い・不規則な呼吸
- 左右の瞳孔異常
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これらの症状は
脳炎に限らず
さまざまな病気で見られます。
いずれにしても
何かしら問題が
起きている可能性がありますので、
早めに
動物病院へ行くようにしてください。
脳炎とてんかんの違い
てんかんは慢性的に
(24時間以上あけて2回以上)
発作や痙攣を引き起こす
脳の病気で、
原因によって
- 「特発性てんかん」
- 「構造的てんかん」
の2種類に
分けられます。
脳炎によって起こるのが
「構造的てんかん」です。
似た発作として
「反応性発作」
(非てんかん性発作、誘発性発作)も
あります。
特発性てんかんは
原因不明で(遺伝性を含む)、
「脳の構造」に異常がないのに
「脳の機能」に異常が起きて
発作が起こります。
構造的てんかんは
脳炎や血管障害の後遺症、
(脳梗塞、脳出血など)
水頭症など
脳に病気があって
発作が起こります。
そのため基本的には
「脳炎と構造的てんかん」
「脳腫瘍と構造的てんかん」のように、
何かしらの脳の病気と一緒に
診断されます。
(※原因になった病気が治ったのに
発作だけ残ってしまう場合もあります)
反応性発作は
「脳に異常がない」のに
低血糖や肝臓・腎臓の病気、
中毒症状などがきっかけになって
発作が起こります。
脳以外の問題で起こるため、
「てんかん発作」とは
区別されます。
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犬の脳炎の原因
脳炎の原因は
感染性と非感染性、
そして
二次性に分かれますが、
最も多いのは
非感染性です。
感染性脳炎の原因
感染性脳炎の原因は、
- 細菌感染
- ウイルス感染、
- 寄生虫感染
- 真菌感染
の4つが考えられます。
地域によって
原因となる細菌や
ウイルスなどの
生息状況が異なります。
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細菌感染
- 口や鼻(副鼻腔炎)
- 耳の炎症
- 尿路感染
- 敗血症
- 感染性心内膜炎
- 外傷
などで増えた細菌が
血液によって脳に運ばれ、
脳炎につながります。
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ウイルス感染
特に多いのは
犬ジステンパーウイルスで、
他にパルボウイルスや
イヌヘルペスウイルス、
イヌアデノウイルスなどが
血液によって脳に運ばれ、
脳炎につながります。
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寄生虫感染
マダニが吸血する際に感染する
ボレリア菌によるライム病や
微生物(リケッチア)による
エーリキア症、
ダニが吸血する際に感染する
フラビウイルスなどのダニ媒介性疾患、
トキソプラズマ症などによって
脳炎が起こります。
真菌感染
クリプトコッカスという
真菌(カビ)によって起こる
クリプトコッカス症が
重症化すると
脳炎につながる場合があります。

非感染性(特発性)脳炎の原因
感染性ではない
原因不明の脳炎を
特発性脳炎と呼びます。
原因不明ではありますが、
自己免疫の異常や
遺伝性などが関係していると
考えられています。
小麦過敏症の可能性を指摘する
研究もありますので、
原因がわからない場合は
小麦を使っていない
食事への切り替えも
選択肢になります。
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二次性
厳密には
感染性脳炎も二次性ですが、
脳腫瘍や脳梗塞、
脳の損傷によって
脳炎が起きる場合もあります。

犬の脳炎の診断・治療法
脳炎の診断は
問診から始まり、
血液検査や尿検査、
神経学的検査、X線(レントゲン)検査、
MRI/CT検査、脳脊髄液(CSF)検査
などを行います。
問診では
症状がいつから現れ、
どれくらいの頻度で起きているのか、
他に異変はないか、
最近お出かけをして
ダニに噛まれていないかなどを
聞きます。
発作がある場合は、
その様子を
動画で撮影していただけると
診断をスムーズに
行うことができます。
MRI/CT検査では
脳の炎症をチェックし、
腫瘍などの問題が起きていないかを
確認します。
MRI/CT検査と脳脊髄液検査は
実施するために
全身麻酔をかけますので
同時に行うのが
一般的です。
確定診断のためには
脳生検が必要になりますが、
リスクが高く
行われることは
多くありません。
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脳炎の治療法
脳炎の治療法は
炎症の原因によって異なります。

感染性脳炎の治療法
感染性脳炎は
感染症がかなり進行したタイミングで
起こります。
抗生物質や
抗真菌剤を用いて
原因になっている感染症を
治療することが
脳炎の治療になりますが、
治療が難しいケースもあります。
対症療法として
ステロイドを使って
炎症を抑えたり、
発作を起こしている場合は
抗けいれん薬を
使用したりします。
多くの感染症は
予防できます。
愛犬に長生きしてもらうためにも、
定期的な予防接種や
ノミ・マダニ駆除薬の使用は
怠らないようにしましょう。
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非感染性脳炎の治療法
髄膜脳脊髄炎(MUO)は
原因不明のため
根本的な治療法はありません。
ステロイドや免疫抑制剤を用いて
炎症を軽減させたり、
抗けいれん薬で
発作をコントロールする
対症療法が中心になります。
薬が効いて
治ったように見えても
再発することが多く、
多くのケースで
継続的な投薬が必要になります。
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脳炎の犬のケア
脳炎の症状は
犬によって大きく異なり、
状態の変化にも
対応していかなければいけません。
まずは
愛犬の様子を日常的に観察して、
変化があれば
かかりつけの獣医師に
報告してください。
ストレスを少なくするため、
外から入ってくる音や
光が強い刺激にならないような
落ち着いた環境の部屋を
用意することも大切です。
発作がある場合は、
起きた際に怪我をしないよう
クッション性の高いマットを
床に敷いたり、
壁に貼ったり、
ぶつかって危ないものを
置かないようにしましょう。
筋力の低下(筋萎縮)が
見られる場合は
血流を増やすために
手足のマッサージが有効です。
獣医師の指示に従って
行ってください。
日常的な活動が
難しくなってきたら
栄養不足や脱水、
床ずれに注意してください。
トイレを失敗する場合は
おむつを利用するなど、
生活の質を上げるためのケアが
必要になってきます。
獣医師に相談しながら
状況に応じたケアを
してあげてください。
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まとめ
- 脳炎は脳に炎症が起こる病気
- 発作や失明、斜頸などが見られる
- 原因不明の場合が多く対症療法が中心になる
脳炎は
脳に炎症が起こる病気で、
感染性または
非感染性に分類されますが、
多くは非感染性です。
発作や足のふらつき、
失明、斜頸、息が荒くなるといった
症状が見られますが、
それらは
てんかんなどでも見られるため、
検査を行って診断します。
急速に悪化することも多く、
早期に治療を始めることが
重要です。
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