犬のレントゲン検査!何がわかるの?
公開日:2024/04/10 / 最終更新日:2024/04/10
犬のレントゲン検査とは
レントゲン検査は
「X線検査」とも呼ばれているもので、
X線を使って
体内の様子を
外側から調べる検査です。
この検査で対象となるのは、
- 「胸部」
- 「腹部」
- 「運動器(特に骨)」
など
全身にわたります。
レントゲンには
実際のレントゲンフィルム
(写真のように現像を必要とするもの)と
デジタル画像
(フィルムは使わずモニター等で見るもの)の
2種類あり、
デジタルのほうが鮮明で
拡大したり、
白黒(コントラスト)の調節ができます。
現在は
動物病院でもデジタル化が進み、
レントゲンで(結論を出せる)
診断率が向上しています。
レントゲン検査では、
X線が通りにくい骨などは
白く写り、
X線が通りやすい空気
(肺)などは黒く写ります。
そして
組織の厚みや
レントゲン透過性
(骨なら白、臓器なら灰色)を
組み合わせることで
臓器の位置、形、大きさ、
レントゲン透過性、
数などを判断します。
造影剤を使用して
診断するケースもあり
一番有名なものには
「バリウム造影」があります。
これは主に
消化管造影に使用されるもので、
腸閉塞(異物や腫瘍によるもの)等を
診断するのに役に立ちます。
この際は
バリウムがどのように
消化管内部を流れるかをみます。
また尿路
(腎臓、尿管、膀胱、尿道)の造影も
一般的であり、
こちらは
血管に入れても問題ない種類の
造影剤を使用します。
レントゲン検査は、
- 「超音波検査」
- 「CT検査」
- 「MRI検査」
などと異なり、
麻酔を必要としません(鎮静は必要な時あり)。
また、
装置が比較的安価なため
多くの動物病院が
所有していることもあり、
最も一般的な
画像診断装置であるといえます。
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犬のレントゲン検査でわかること
レントゲン検査は
病気の原因を見つける
検査ではあるのですが、
全体を見渡すような
検査でもあるので、
レントゲンで異常がないというのも
重要な所見になります。
レントゲンで
異常がないということは、
少なくとも
臓器の形やレントゲン透過性(色合い)は
問題ないという
重要な情報になります。
この点から、
レントゲン検査は
スクリーニング検査
(病気の子と病気でない子を
ふるいわける検査のこと)の一つとして
位置づけられます。
レントゲン診断で一番イメージしやすいのは
腫瘍だと思います。
腫瘍の場合は
形が正常なものが変化するので、
その違いを
レントゲンから判断します。
また肺炎であれば
「形の変化」というよりは
「色合いの変化」の違いを判断します。
空気を含んでいる肺は
レントゲン上で黒くなりますが、
肺炎が起こっている肺は
正常よりも白くなります。
これは炎症が起こると
そこに炎症細胞(簡単にいうと膿)が
存在するので
空気が入れなくなること、
炎症細胞が空気より白く見えることの
二つの理由によるものです。
特に咳があるような場合は
胸部のレントゲン検査が
有効であると思います。
咳の原因は、
大きく分けると
「心臓が関連しているもの」と
「呼吸器(気管、気管支、肺)が
関連しているもの」に区別されます。
また、
消化器症状(嘔吐あるいは下痢)
があるときに
腹部のレントゲン検査は
重要です。
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一番わかりやすいものでは
異物の誤食だとは思いますが、
消化器症状は
多くの原因から起こるので、
レントゲンで
異常がないかを見ていくことは
重要になると思います。
歩き方がおかしい時にも
骨のレントゲンが
有効な場合もあります。
歩行の異常は
神経疾患(脊髄あるいは脳)や
整形疾患(骨や筋肉)によって
起こることが多く、
骨の変化であれば
レントゲンで診断できることがあります。
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脊椎(背骨)に異常があれば
神経に異常を起こし
歩行異常を起こす可能性もありますし、
関節炎等からの
異常かもしれません。
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犬のレントゲン検査の流れ
腹部レントゲン検査を
受ける場合は
食事していない方がいいですが、
通常は
何かしら症状があって
病院にいきますので
前もって準備するという点では
特別に意識しすぎなくて
いいと思います。
動物病院では、
獣医さん
あるいは看護師さんが
適切に保定を行って
レントゲン撮影をします。
犬のレントゲンの撮り方
レントゲンは
立体のものを平面で描出するので、
必ず垂直2方向の
撮影が必要です。
具体的には、
胸部及び腹部レントゲン検査であれば、
「右側を下にしたもの」と
「左側を下にしたもの」と
「仰向けあるいはうつ伏せのもの」の
最低3枚が必要になります。
胸部レントゲン撮影と
腹部レントゲン撮影では、
X線の量や質を
少し変えて撮影しますので、
理想的には
6枚のレントゲンが
必要になります。
これは特に
体の大きい子で
より顕著になってきます。
例えば
肺転移に関しては
3方向(右下、左下、仰向け)で
撮影した方が
2方向(左下、仰向け)に比べて
診断率は高くなります。
また
骨のレントゲンでは
「罹患肢」(異常があると考えられている側)と
「正常肢」を必ず撮影します。
正常側と比べることで
診断するためです。
骨のレントゲンであれば
垂直2方向撮影が必要なので、
3~4枚のレントゲンが
必要になります。
暴れる場合の対処法
レントゲン検査の
撮影時間は非常に短く、
長くても20分程度ですが、
きれいなポジションで撮影しないと
診断価値の低い
レントゲンになってしまいます。
きちんとしたレントゲンが
撮れない場合は
鎮静をかけて
撮影するのが一般的です。
現在、
獣医学の進歩に伴い
鎮静薬によるリスクは
ほとんどありません。
すぐに覚める薬を使えれば
動物への負担
あるいは致命的なリスクは
麻酔に比べると
ほとんどありません。
レントゲンでも異常がない場合は
その他の検査、
血液検査あるいは
超音波検査などが
追加で行われることが多いと思います。
レントゲン検査にて
心臓が悪いことが考えられる場合は
心エコー検査、
またはレントゲン検査から
超音波検査やCT検査を
必要とする状況もあります。
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犬のレントゲンの検査費用
費用に関しては
病院によってさまざまで、
撮影枚数によって
金額が変わる場合と
胸部あるいは腹部などの
部位別で料金が設定されているところが
多いとは思います。
一般的に5000円前後のところから、
枚数が多くなる、
あるいは
バリウム造影などが
追加される場合は
1万5000~2万円程度までは
かかる可能性はあります。
鎮静が必要な場合は
その鎮静料金も
別途かかると思います。
保険の適用について、
保険会社によって
違いはあると思いますが、
基本的には
症状があって検査をするので
適用となります。
犬のレントゲンの安全性
一般レントゲン検査では
被ばく線量はとても少なく、
短期間に
複数回検査を行った場合でも
ほとんど影響はないので
心配はありません。
胎児は
X線に対する感受性が高いため、
妊娠しているケースでは
注意が必要ですが、
数回の撮影であれば
問題はありません。
レントゲン検査は
適切に行えば
特に被曝を恐れすぎる
必要はありません。
まとめ
レントゲンでは
「異常がない」という結果も重要です
レントゲン検査は
検査自体でわかることは
もちろん重要ですが、
外側から広く
動物の形態をつかむのに
有効な検査となり、
異常がないということも
重要な所見です。
それにより
さらに他の検査を組み合わせることによって
病気の特定をしていきます。
レントゲンの場合、
撮影する獣医師や
看護師の技術も当然必要ですが、
「きちんと評価できるレントゲン写真を
撮影するために鎮静薬を必要とすることがある」という点は
飼い主にも知っておいていただきたい
知識です。
被曝の問題は
常に議論されるところですが、
人の医療と同様、
注意を払えば
決して危険なものではありません。
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