犬に必要なビタミンって?
公開日:2021/07/06 / 最終更新日:2024/04/02
犬にビタミンは必要?
ビタミンは必要不可欠なものを意味する
「vital」と
窒素を含む化合物の一種である「amine」
という言葉の組み合わせから、
「生命活動に必要不可欠な化学物質」という意味で
命名されました。
エネルギーを生み出し、
骨や細胞を作り、
視覚や神経伝達など
動物の体が正常に働くために
欠かせない存在です。
ビタミンは犬にとっても欠かせないものですが、
実は食材だけでAAFCO(米国飼料検査官協会)や
FEDIAF(欧州ペットフード工業連合会)の
栄養基準を満たすのは簡単ではありません。
不足する栄養素を補うために
ある食材を増やすと、
今度は別の栄養素が過剰になって
しまうことがあるからです。
そのため無添加の総合栄養食は存在せず、
栄養素をバランス良く配合するため
サプリメントとしてビタミンや
ミネラルが添加されています。
ビタミンの種類
ビタミンは大きく脂溶性と水溶性に分けられ、
脂溶性ビタミンは4種
(A、D、E、K)、
水溶性ビタミンは9種
(B1、B2、ナイアシン、パントテン酸、B6、ビオチン、葉酸、B12、C)あります。
ビタミンではありませんが
似た働きを持つ物質として、
コリンもビタミンB群に含まれることがあります。
一般的に「脂溶性ビタミンは欠乏しにくく過剰になりやすい」
「水溶性ビタミンは欠乏しやすく過剰になりにくい」
特徴があります。
糖尿病や腎疾患など
多尿になりやすい病気では、
水溶性ビタミンの欠乏に注意が必要です。
種類
脂溶性ビタミン
ビタミンA
ビタミンD
ビタミンE 別名⇒トコフェロール
ビタミンK
水溶性ビタミン
ビタミンB1 別名⇒チアミン
ビタミンB2 別名⇒リボフラビン
ビタミンB3 別名⇒ナイアシン
ビタミンB5 別名⇒パントテン酸
ビタミンB6
ビタミンB7 別名⇒ビオチン
ビタミンB9 別名⇒葉酸
ビタミンB12 別名⇒コバラミン
ビタミンC
ちなみにビタミンB4やB8、B10などは
後の研究で
ビタミンの定義から
外れることがわかったため、
現在は欠番になっています。
各ビタミンの主な働きと犬の必要量
脂溶性と水溶性を合わせて
13個のビタミンには
それぞれどのような働きがあるのでしょうか。
犬の必要量とともに
一覧で紹介します。
なお、ビタミンB3、B5、B7、B9は
一般的な別名を使用します。
種類
ビタミンA
主な働き
心臓や肺、腎臓、皮膚の正常な形成や維持に関わり、
視覚機能や免疫機能をサポート 必要量1650-82500μg
ビタミンD
主な働き
カルシウムとリンの吸収を促進。
骨と歯をつくる 必要量12.5-75μg
ビタミンE
主な働き
抗酸化作用、紫外線障害からの保護、
細胞の老化予防 必要量33.5mg以上
ビタミンK
主な働き
血液凝固、骨と歯の形成、
糖尿病や認知症の予防
ビタミンB1(チアミン)
主な働き
糖質からエネルギーを作り出す際の補酵素。
神経の機能維持 必要量2.25mg以上
ビタミンB2(リボフラビン)
主な働き
脂質の代謝。過酸化脂質の分解。
皮膚、爪、被毛の健康な発育 必要量5.2mg以上
ナイアシン
主な働き
皮膚を健康に保つ。
糖質、脂質タンパク質の代謝 必要量13.6mg以上
パントテン酸
主な働き
糖質、脂質タンパク質の代謝。
傷の治りを早くする 必要量12mg以上
ビタミンB6
主な働き
タンパク質の代謝、神経の機能維持、
トリプトファンからのナイアシン合成 必要量1.5mg以上
ビオチン
主な働き
疲労回復、糖尿病・肥満の予防、
皮膚を健康に保つ
葉酸
主な働き
タンパク質をつくるのをサポート。
正常な赤血球の生成 必要量0.216mg以上
ビタミンB12
主な働き
造血作用。
神経の健康維持 必要量0.028mg以上
ビタミンC
主な働き
抗酸化作用、エネルギー生成、鉄の吸収促進
ビタミンA
犬はβカロテン(プロビタミンA)を
ビタミンAに変換できます(猫はできません)。
ビタミンAは正常な免疫機能に不可欠で、
不足すると感染症にかかりやすくなると言われています。
ビタミンD
ビタミンDは腸内でのカルシウム吸収を促進します。
人は日光浴でビタミンDを合成することができますが、
犬の体にはその仕組みがないため
食事から摂取する必要があります。
ビタミンE
ビタミンEは抗酸化作用が特徴で、
タバコの煙や大気汚染、
紫外線によるダメージを抑制します。
ドライフードでは
油脂の酸化防止を目的として含まれます。
科学的に証明されていませんが、
がんや白内障の予防効果が期待されています。
ビタミンB1(チアミン)
ビタミンB1は熱や酸化で分解され、
特にドライフードでは食材から
摂取することができないため
添加が必須です。
カツオやイカなどの生魚や
アサリなどの貝類には
チアミン分解酵素「チアミナーゼ」が含まれ、
継続して摂取すると欠乏症になります。
チアミナーゼは加熱調理により不活化します。
ナイアシン
犬はトリプトファンから
ナイアシンを合成することができます。
ビタミンC
ビタミンCは抗酸化作用があり、
免疫力の向上も期待できます。
植物に含まれる
鉄分の吸収を高める効果もあります。
犬はビタミンCを体内で合成できますが、
肝臓の合成能力が
低下している場合は欠乏に注意が必要です。
人の場合、タバコの煙が
体内のビタミンC濃度を
減少させることがわかっています。
研究段階ですが、高濃度ビタミンCの
点滴投与は副作用の少ない
がん治療として期待されています。
犬のビタミン不足と過剰摂取
AAFCOは各ビタミンの犬が摂るべき
最小値と最大値を設定していますが、
リスクが低く設定されていないものもあります。
特にビタミンB群、ビタミンCは
水溶性で過剰分が尿から排出されるため、
最大値は設定されていません。
ただし、サプリメントによる
過剰摂取には注意が必要です。
特に人間用のビタミン剤を与えてしまうと、
犬とっては過剰摂取になる場合があります。
種類
ビタミンA
不足で起こる症状
骨や歯の発育不全、免疫力低下、視覚障害(夜盲症、眼球乾燥症)、被毛の貧弱化
過剰摂取で起こる症状
まれに食欲不振、骨折、内出血
ビタミンD
不足で起こる症状
骨粗鬆症
過剰摂取で起こる症状
高カルシウム血症、腎障害、腎結石
ビタミンE
不足で起こる症状
皮膚疾患、免疫力低下
過剰摂取で起こる症状
特になし
ビタミンK
不足で起こる症状
出血
過剰摂取で起こる症状
貧血
ビタミンB1(チアミン)
不足で起こる症状
脚気、疲労、食欲不振、運動失調、麻痺、心臓病
過剰摂取で起こる症状
血圧低下、不整脈
ビタミンB2(リボフラビン)
不足で起こる症状
運動失調、皮膚疾患、結膜炎
過剰摂取で起こる症状
特になし
ナイアシン
不足で起こる症状
疲労、食欲不振、下痢、舌の壊死
過剰摂取で起こる症状
血便、痙攣
パントテン酸
不足で起こる症状
脂肪肝、成長不良、昏睡
過剰摂取で起こる症状
特になし
ビタミンB6
不足で起こる症状
食欲不振、体重減少、痙攣、シュウ酸カルシウム尿結石
過剰摂取で起こる症状
食欲不振、運動失調
ビオチン
不足で起こる症状
食欲不振、皮膚炎、脱毛、出血性下痢
過剰摂取で起こる症状
特になし
葉酸
不足で起こる症状
食欲不振、体重減少、貧血
過剰摂取で起こる症状
特になし
ビタミンB12
不足で起こる症状
貧血
過剰摂取で起こる症状
特になし
ビタミンC
不足で起こる症状
筋萎縮
過剰摂取で起こる症状
特になし
ビタミンを多く含む食べ物
ビタミンA
ビタミンAは豚や鶏のレバー、
うなぎやマグロ、鶏卵に多く含まれます。
βカロチンを多く含む食材は
ニンジンやほうれん草、大葉、パセリ、カボチャ、
春菊、三つ葉などに多く含まれます。
ビタミンD
ビタミンDを含む食品はあまり多くありません。
サケやアジ、うなぎ、サンマなど脂肪の多い魚、
舞茸やエリンギなどのきのこに多く含まれます。
ビタミンE
ビタミンEはきな粉やオリーブオイル、
鮎、かぼちゃ、モロヘイヤなどに多く含まれます。
ビタミンK
ビタミンKは納豆やパセリ、
大葉、モロヘイヤ、ひじき、
ほうれん草などに多く含まれます。
ビタミンB1(チアミン)
ビタミンB1は豚肉やゴマ、
舞茸、うなぎ、そば、
大豆などに多く含まれます。
ビタミンB2(リボフラビン)
ビタミンB2は豚や牛のレバー、
アーモンド、納豆、うなぎ、
モロヘイヤなどに多く含まれます。
パントテン酸
パントテン酸は豚や牛のレバー、
鶏卵、納豆、鶏肉、
モロヘイヤなどに多く含まれます。
ビタミンB6
ビタミンB6はマグロやカツオ、
そば、豚肉、ブロッコリー、
鶏肉などに多く含まれます。
ビオチン
ビオチンは豚や牛のレバー、
鶏卵やアーモンド、
そばや大豆などに多く含まれます。
葉酸
葉酸は海苔や、鶏や牛のレバー、
大豆やブロッコリー、
枝豆などに多く含まれます。
ビタミンB12
ビタミンB12は海苔やしじみ、
牛や鶏のレバー、
サバやサンマに多く含まれます。
ビタミンC
ビタミンCはピーマンやブロッコリー、
キウイや柿、イチゴ、
ほうれん草に多く含まれます。
まとめ
- ビタミンは過不足のないように摂取する
- 脂溶性は過剰に、水溶性は不足に注意
- 総合栄養食ならバランス良く摂れる
5代栄養素の一つであるビタミンは、
犬にとっても欠かせないもの。
総合栄養食を食べていれば
バランス良く摂取することができますが、
いつものごはんにトッピングしたり、
おやつをあげたりする際は、
食材の特徴を理解しておくことが大切です。
ビタミンもしっかり摂れるようにして、
愛犬の健康・長生きにつなげてあげてください。
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