犬伝染性肝炎!症状や原因、治療法って?
公開日:2024/11/20 / 最終更新日:2024/11/20
犬伝染性肝炎とは
アデノウイルス科に属する
犬アデノウイルス1型による
(Canine adenovirus1)
急性の致死性全身感染症のことを
「犬伝染性肝炎」といいます。
予防接種を終えていない
子犬では
致死率が高いですが、
予防接種を終えていれば
致死率はほぼなくなります。
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急性感染から
回復した犬の中には、
ウイルスキャリアになる犬がおり、
1年くらい
持続的にウイルスを排泄します。
抗原性が異なる
犬アデノウイルス2型は
(Canine adenovirus2)
上部気道感染症の
伝染性喉頭気管炎を引き起こします。
犬伝染性肝炎を引き起こす
犬アデノウイルス1型は
気道に感染し、
呼吸器症状も引き起こします。
犬アデノウイルス2型は
呼吸器症状を引き起こしますが、
肝炎は引き起こしません。
犬アデノウイルス1型は、
世界中に分布しています。
自然界で
長く生きることができ、
室温で
数週間生存することができます。
消毒にも抵抗性があり、
アルコールや石鹸では
死滅しません。
主な宿主は
イヌ科動物です。
犬やオオカミの
感受性が高いです。
その他に
イタチ・アライグマ・クマなども
感染することが知られています。
犬伝染性肝炎の原因・感染経路
感染経路は
経鼻・経口感染で、
潜伏期間は
1週間以内とされています。
このウイルスは
腎臓で
長期間生存することができるので、
回復後、持続的に
(1年くらい持続することもあります)
ウイルスキャリア(※)となった
犬の尿中に
ウイルスが隠れていることがあります。
キャリアの犬の尿、
急性感染症の犬の尿、糞便、
唾液などが付着した
食器や器物などから、
直接・間接的に
感染が成立します。
このウイルスは
自然界での抵抗性が強く、
室温で
数週間生存することができますので、
発症した犬がいる場合は、
隔離をし、
食器やケージなどの清掃や
消毒は
念入りに行う必要があります。
※キャリア
ウイルスに感染しているものの、
症状が発現せず、健康な状態であること
犬伝染性肝炎の症状
臨床症状は
「甚急性型」と「急性型」の
2つの病型に分けられます。
2つの病型と、
さらに
犬パルボウイルス感染症との
鑑別をすることが難しく、
これらすべての感染症は
致死性があり、
若齢ほど危険な病気です。
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甚急性型
突然、発熱や嘔吐、
下痢などがみられ、
24時間から48時間以内に
死亡するのが特徴です。
鑑別診断ができないままに
死亡することが多いので、
犬の飼い主さんでも
あまり聞いたことがないかもしれません。
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急性型
発熱やリンパ節腫脹、
肝臓の腫れ、腹部を圧すと痛がる、
嘔吐、下痢、
出血傾向などがみられるのが特徴です。
これらの症状のほかに
呼吸器症状、中枢神経症状や
免疫複合体の形成による炎症反応が
みられることもあります。
(急性型症状消失後、前部ブドウ膜炎と
角膜浮腫によって、ブルーアイと呼ばれる
眼所見が出現することがあります。)
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犬伝染性肝炎の診断
診断する際、
まずはワクチン接種歴を
確認します。
次に
血液検査を行い、
血球計算や肝酵素、血糖値、
アンモニア量などから
診断をします。
また、
排泄物や血液などから
ウイルスを分離したり、
ウイルスの
遺伝子診断も行ったりします。
さらに、
脳脊髄液検査、
肝臓の組織採取後の
病理組織学的検査、
血清学的検査
(抗体の上昇の確認)
なども行います。
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犬伝染性肝炎の治療法
抗ウイルス製剤はないので、
対症療法を行います。
脱水や血糖値の低下があれば、
輸液を行い、
出血がひどければ
輸血を行います。
肝臓が悪く、
肝性脳症という
神経症状を伴った状態になった場合は、
浣腸による腸内浄化、
抗生剤による
アンモニア産生菌のコントロールをし、
タンパク質を制限した
ご飯に切り替えることなどを行います。
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犬伝染性肝炎によいご飯・サプリメント
肝機能回復のため、
消化の良い食事を
選択します。
1回のご飯の量を減らし、
ご飯の回数を増やすこともあります。
下痢や浮腫などがあれば、
脂肪や食塩の量を
コントロールすることもあります。
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犬伝染性肝炎の予防
安全性・有効性の優れたワクチンが
国内で市販されているので、
動物病院で
ワクチン接種してもらいましょう。
犬アデノウイルス2型から
作出された生ワクチンが、
この病気の原因ウイルスである
犬アデノウイルス1型による
病気の予防を可能とします。
犬アデノウイルス2型生ワクチンを含む
ワクチンは、
5種・6種・7種・8種・9種・10種混合ワクチンなどで
国内で市販されています。
注射する
ワクチンの種類については、
動物病院の
獣医師と相談しましょう。
まとめ
犬伝染性肝炎にならないよう適切なワクチン接種を
犬伝染性肝炎は
古くから知られており、
世界中でみられる病気の1つです。
ワクチンの接種率の高い国では、
この感染症を
あまり耳にしないかもしれません。
また、
最近の国内の発生状況の
詳細はわかりません。
ウイルスが
絶滅したわけではなく、
ワクチン接種率が低下すると
発生するといわれており、
イタリアでは
再び症例数が増えていると
報告されています。
この病気の
有効性に優れた
予防ワクチンが開発され、
国内で販売されています。
適切なワクチン接種を
毎年行い、
愛犬が免疫力を維持できるように
してあげましょう。
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