犬に食糞をやめさせる方法って?
公開日:2022/10/11 / 最終更新日:2023/05/29
なぜ犬は食糞をするの?
犬の食糞を
「問題行動」「有害」と
捉える飼い主さんも
いると思いますが、
問題なのは
飼い主さんにとってであって、
犬にとって
特別な行動ではありません。
例えば母犬が
赤ちゃんのうんちを
食べることがありますが、
これは巣穴の
衛生環境を保つためと
考えられています。
犬の祖先である
オオカミは
草食動物のうんちを
食べることがありますが、
自分では消化できない
食べ物の栄養を
他の動物のうんちから
摂取するためと
考えられています。
コアラの赤ちゃんは、
逆にお母さんの
うんちを食べます。
うんちに含まれる
腸内細菌を体に入れることで、
ユーカリを
消化できるようになります。
コアラの袋が
下向きに付いているのも、
赤ちゃんが
うんちを食べやすいからと
言われています。
このように
動物ごとに目的の違いはありますが、
食糞には
理由があるのです。
ただ怒ったり
やめさせようとしたりするだけでは、
お互いにストレスが
溜まってしまいます。
まずは、
なぜ食糞をするのか
考えることから始めてみましょう。
犬の食糞で考えられる原因
犬の食糞で
考えられる主な原因は
以下の通りです。
病気や食事が原因の場合は
犬の健康に直結します。
どうやって
やめさせるかを考える前に、
原因が病気や
食事ではないかを
考えるようにしましょう。
原因は複数の場合もあります。
病気が原因の食糞
病気が原因の食糞として、
寄生虫による栄養不足と
病気による消化不良が
考えられます。
寄生虫による栄養不足
寄生虫の場合は、
お腹にいる寄生虫に
栄養を取られてしまうことで
栄養不足となり、
空腹を感じて
食糞が起こります。
犬のお腹に寄生する虫で
よく見られるのは
- 「条虫」
- 「鉤虫」
- 「鞭虫」
- 「瓜実条虫」
で、疑われる場合は
糞便検査を行い
駆虫薬で対処します。
病気による消化不良
消化不良の原因となる病気として、
- 「胃や腸の疾患(炎症、異物、腫瘍など)」
- 「糖尿病による消化器症状」「膵炎や膵外分泌不全」
- 「肝臓や胆嚢の疾患」
などが挙げられます。
病気を特定し、
それ自体の治療が
優先されます。
ステロイドを使用していると、
副作用として
食欲増進が起こることがあります。
認知症による異常食欲
犬も年を取ると
認知症になる可能性が高まります。
ごはんを食べたのに忘れ、
実際に空腹を感じて
食糞に至る場合があります。
認知症は
進行状況に応じた
ケアが必要になります。
食糞後に吐く
食糞後に吐く場合も
「病的な場合」と
「病的ではない場合」があります。
食事が原因の食糞
食事が原因の食糞として、
量や消化の問題が考えられます。
食事量の不足による空腹
子犬の急激な成長に
飼い主さんが気付かず、
ごはんが不足している
場合があります。
ペットショップなどで
迎えたときに教わった
量や増やし方を
そのまま続けている
飼い主さんでよく見られます。
少なくとも2週間に1回は
体重測定をして
最適な量を与えましょう。
消化吸収が悪いフードによる空腹
うんちは多いほうが
健康と考える
飼い主さんもいますが、
実際は逆です。
消化吸収が悪い
ごはんを食べていると、
体に摂り込まれなかった栄養が
うんちと一緒に出るため
量が多くなります。
そうなると
食べているごはんの量は適正でも、
実際は十分に
吸収されていないため
犬は空腹を感じるかもしれません。
より質の良いフードに変更したり、
いつもドライフードであれば
ウェットフードへ変更したりすることで
改善される可能性があります。
猫のうんちを好む
猫のごはんに含まれる
栄養成分は
犬よりもタンパク質が多くなるため、
必然的に
うんちに含まれる
タンパク質も多くなります。
猫のうんちが臭いのは、
猫が肉食動物だからです。
そのため
猫のうんちを美味しいと感じる
ワンちゃんもいるようです。
しかし、猫のうんちを食べてしまうのは
感染症のリスクがありますので
衛生的に良くありません。
猫が同居している場合は、
トイレに近づけないように
してください。
野良猫のうんちは
寄生虫がいる
可能性が高いです。
拾い食いをしないよう
十分に注意してください。
飼い方が原因の食糞
食糞の原因が
病気や食事でない場合、
暮らしの中で
理由を探ってみましょう。
運動不足やストレス、
環境の変化などです。
愛犬の立場になって
考えてみるといいでしょう。
母犬と離れるのが早過ぎた
子犬のうんちは
母犬が舐め取って
きれいにしてくれることが多いため、
子犬がうんちに
興味を持つことはありません。
しかし母犬と
離される時期が早過ぎた場合、
処理してくれる
母犬がいないことで
自分のうんちに興味を持って
食べてしまう可能性があります。
このケースでは
成長とともに
食糞は見られなくなります。
成犬になっても続く場合は、
別の原因を
考えたほうがいいかもしれません。
飼い主さんの気を引くため
うんちを食べたところ、
飼い主さんが「わー!!」と
大騒ぎしたことに
喜びを感じてしまう場合があります。
「うんちを食べる=喜んでくれる/かまってくれる」
という図式が、
愛犬の中で
出来上がってしまっているのです。
暇・退屈だから
運動不足だったり、
長時間の
お留守番が続いていたりすると、
時間も体力も余って
退屈しのぎに
口に入れてしまうこともあります。
特に留守番の際に
食糞が行われるときは、
これが原因かもしれません。
怒られたくない
トイレトレーニングで
失敗したときに
叱られたことが
強く心に残ってしまい、
「うんちをしたら怒られる」
と思って隠すために
食べてしまうことがあります。
犬の食糞をやめさせる方法
食糞には
原因がありますので、
やめさせるためには
原因になっている問題を
解決しなければいけません。
その上で、
習慣化してしまっている場合は
ドッグトレーニングが有効です。
オススメは「ゲーム」にして
教えていくこと。
ぜひ試してみてください。
【基礎編】食糞対策ゲーム
- うんちをしたら無言ですぐ片付け、おやつをあげる
- おやつをあげるときに褒める
うんちをしているときに
声をかける必要はありません。
うんちを口に入れようとしたら、
食糞がいけないことだと
分かっている子の場合は
「ダメ」と声をかけてもOKです。
おやつをあげるときに大切なのは、
「特別なおやつ」を
用意することです。
チーズやジャーキー、
レバーなど、
匂いが強くて
少し柔らかめのものが
良いでしょう。
「飼い主さんの意向通りに
できたときのみ食べられるもの」
であることが大切です。
「うんちよりも魅力的なものがもらえる」と、
愛犬に認識させることが
重要だからです。
片付けが終わったら
ご褒美がもらえるという
ルールを少しずつ
覚えさせましょう。
少しオーバーに
褒めてあげることも
最高のご褒美になります。
ルールを覚えることで、
「うんちが出た瞬間に食べる」
という行為は
無くなっていきます。
【応用編】食糞対策ゲーム
基礎ができるようになったら
少しレベルを上げて、
「うんちが出たら教えに来る」
ということを教えましょう。
うんちをしたら
飼い主さんの近くで
「おすわり」をさせる
うんちを片付けてから
おやつをあげ、
同時に喜び褒める
少しずつ教えていくことで、
食糞が減るとともに、
うんちが出たら
知らせに来てくれるようになります。
【シーン別】お留守番のときの食糞対策ゲーム
お留守番しているときに
食糞をする場合、
「一緒にいるときはルールを守るのに、
留守番になるとできない……」
と諦めないでください。
この場合の飼い主さんの課題は、
「愛犬を信じて諦めないこと」です。
愛犬がゲームのルールを
理解してくると、
食糞は確実に減っていきます。
お留守番させた日に
うんちがあったら、
うんちの状態を
確認してみましょう。
遊んだ跡や
ちょっとかじった跡があったら、
ご褒美をあげずに
黙って淡々と
片付けるようにしましょう。
それだけで愛犬は、
「あーあ、褒められなかった」と
理解していきます。
食品を使った犬の食糞対策
インターネットには
食糞に対する情報が
溢れています。
その中には、
キャベツやパイナップル、ズッキーニ、
ヨーグルト、わさび、唐辛子などの食品や、
ビターアップルのスプレーが
食糞対策になるという情報もあります。
しかし私の経験上、
効果はほとんどないか
一過性です。
味に慣れてしまったり、
「かけられる前に急いで食べちゃお!」と
逆効果になる
場合もあります。
食物繊維が豊富な食材も、
消化不良を起こす
可能性があるので
オススメしません。
食糞しやすい犬種・しにくい犬種
最後に、アメリカで行われた
犬の食糞に関する
調査研究を紹介します。
飼い主さんに
愛犬の食糞を見たことがあるか
聞いたところ、
見た回数1~5回が7%、
6回以上が16%でした。
つまり4匹に1匹は
食糞をしていることになります。
その中で特徴的に
食糞が多かった犬種は、
シェットランドシープドッグとテリア犬種、
ハウンド犬種でした。
食への関心や
好奇心が強い犬ほど、
食糞が多くなるようです。
一方で、
日本でも人気の
プードルでは、
スタンダード・ミニチュア・トイのいずれも
食糞が見られない傾向があることが
わかりました。
まとめ
- 食糞は愛犬が飼い主に何かを伝えたいときのシグナル
- 病気の場合や食事に問題がある場合は動物病院へ
- 根本的な原因を分析して、ゲーム感覚でしつけを行う
食糞は飼い主さんにとって
ストレスになるでしょうし、
何より衛生上も良くありませんので
やめさせるべきです。
何かしら原因がありますので
愛犬からのシグナルをよく観察し、
愛犬の立場になって
考えてみましょう。
何かを食べさせたり、
スプレーをしたりで
簡単にやめさせるのは
難しいでしょう。
根気よく向き合うことが大切です。
困ったときは一人で悩まず、
獣医師やドッグトレーナーなど
専門家を頼るようにしてください。
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