避妊去勢手術!性格が変わるの?攻撃性は!

公開日:2024/04/09 / 最終更新日:2025/01/25
避妊手術・去勢手術は
犬の性格に影響を及ぼす?
飼い犬の
攻撃的な行動は
飼い主が犬を手放す
一つの要因になっています。
避妊手術・去勢手術は、
犬の問題行動や
他の犬に対する攻撃行動を
抑制するために
獣医師団体や
動物福祉・保護団体も推奨している
方法です。
ニューヨーク市立大学の
Parvene Farhoodyらは、
避妊手術や去勢手術が
病気の予防のほかに、
犬の攻撃性を
改善させるのかという点について
調査を行いました。
その結果、
「避妊手術・去勢手術に
犬の性格を丸くする効果はない」
という結論に達したのです。
逆に7~12カ月齢で
避妊手術・去勢手術を受けた犬は、
「見知らぬ人への
攻撃的な態度をとる確率が高い」
ということも
明らかになったのですが、
この時期は
もともと見知らぬ人への
恐怖反応を起こしやすい時期であり
(人間のイヤイヤ期のようなものを
イメージしていただくとわかりやすいでしょうか)、
「避妊手術や去勢手術が
原因とは言い切れない」と
Parvene Farhoodyらは
考察しています。
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調査方法
この調査は1万5370件の
アンケート調査をもとに、
「生後6週間未満で避妊手術・去勢手術を実施した犬」や
「不適切な回答」を除外した
1万3498件を有効回答として
統計学的な手法を用いて
評価を実施しました。
避妊手術・去勢手術をした
犬のデータは、
実施時点をもとに
以下の月齢に分けて評価してます。
- 6週齢~6カ月以下(子犬期)
- 7~12カ月(少年期)
- 13~18カ月(青年期)
- 18カ月以上(成年)
攻撃性は
以下の3パターンに分けて分析。
- 親しい人への攻撃性
- 見知らぬ人への攻撃性
- 他の犬への攻撃性
調査の結果は
以下の通りです。
いずれの月齢でも、
「攻撃性を抑える効果はある」と
結論付ける特異性は
確認されませんでした。
- 親しい人への攻撃性は1万3795件(89.7%)
- 見知らぬ人への攻撃性は1万3498件(87.8%)
- 他の犬への攻撃性は1万3237件(86.1%)
なお、
今回の調査で用いられた
犬の行動評価研究アンケート
(Canine Behavioral Assessment
Research Questionnaire)は
犬の行動を評価するために
ペンシルバニア大学で開発された
質問形式の評価方法で、
犬の行動を評価する研究で
広く用いられ、
介護犬の選抜やトレーニング
繁殖にも役立てられています。
さまざまな用途に使われるため、
この質問票に登録されている
犬の件数は膨大で、
去勢・避妊手術による
性格変化の影響を
分析しやすいことから
今回の調査に採用されてます。

咬傷事故の原因は犬の性格ではなく飼い方?
今回の調査では
「避妊手術・去勢手術に攻撃性
を抑える効果はみられない」とされましたが、
犬の性格には
犬種や飼育環境、
その犬本来の性格など
さまざまな要素が関係しているため、
もともと
避妊手術や去勢手術が
犬の性格に及ぼす影響が
大きいとは考えられていません。
今回は
犬種による影響は
調べられませんでしたが、
筆者らは
避妊手術・去勢手術による
行動の変化について、
犬種による影響もあるのか
今後の課題としたいと述べています。
また、
去勢手術されていない
雄犬のほうが
避妊手術・去勢手術された犬よりも
咬むことが多い
という報告もありますが、
Patronekらは
犬の咬傷による
死亡者の80%は
最低でも
以下の4つの要因があったと
報告しています。
- 家庭犬としては人間との関わりが少なかった。
- 飼い主が以前に誤った方法で管理していた。
あるいはネグレクトを含む虐待をしていた。 - 被害者は犬との関わりがほとんどないか全くない。
- 犠牲者は適切に犬と接することができず、
飼い主を含め攻撃中の犬に介入できる人物がいなかった。
これらの要因を考えると、
犬の攻撃性は
去勢手術や避妊手術の有無よりも、
飼い主の
犬に対する態度や
行動に関係があると考えられます。

避妊手術・去勢手術は病気予防に有効
一方で、
避妊手術・去勢手術は
病気の予防という
観点でみると
十分に実施する価値があります。
例えば
犬の乳腺腫瘍は
すべての腫瘍の中で
50%ほどを占める
多い病気ですが、
避妊手術を
初めての発情前に行えば
発生率は0.5%に抑えられます。
しかし
初めての発情から
2回目の発情の間に行えば8%、
2回目以降は26%と
避妊手術が遅れるほど
発生率が上がっていきます。

雌犬は
子宮蓄膿症を
予防することもできますし、
雄犬であれば
高齢になって罹患しやすい
前立腺肥大を
予防することもできます。

まとめ
もちろん
避妊手術・去勢手術は
麻酔を用いた外科手術ですので
リスクもありますが、
獣医療の発達により
高齢化するワンちゃんが多い中、
将来的な病気の予防を考えれば
利点の方が
大きいと言えるでしょう。

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