狂犬病の症状!原因や予防接種の必要性は?
公開日:2023/03/08 / 最終更新日:2023/05/27
犬の狂犬病の症状
始めは、
前駆期という
「情緒不安定」「光を嫌う」などの
異常行動が1~2日間続いた後、
2つの症状に分けられます。
狂騒型
物事に過敏となり、
狂躁状態となります。
そして、攻撃的になり、
目の前にあるものすべてに
噛みつくようになります。
その後、
全身麻痺が起こし、
昏睡状態となり死亡します。
約80%の犬が、
狂騒型の症状を呈します。
麻痺型
狂躁状態にならず、
麻痺状態が続いて
死亡する動物も認められます。
犬の狂犬病の症例
国内の狂犬病撲滅経緯
日本国内では、
狂犬病の流行が
江戸時代や明治時代にもありました。
1923年から1925年に
約9000頭の犬が
狂犬病に罹患したそうです。
その後、1950年(昭和25年)に
狂犬病予防法を制定することにより、
発生頭数は急速に減少しました。
そして、
1956年の人と犬、
1957年の猫の症例を最後に、
国内からの
狂犬病を撲滅することに
成功しました。
狂犬病の輸入症例
国内狂犬病撲滅後の症例は、
海外からの
輸入症例となり、
ネパールからの帰国者1名(1970年)と
フィリピンからの帰国者2名(2006年)が
現地で犬に咬まれて
帰国後発病し、
死亡した症例があります。
さらに2020年、
フィリピンで犬に咬まれた
外国籍の男性が
日本へ入国後、
狂犬病を発症し、
死亡しました。
日本では撲滅できた病気ですが、
世界で見ると
まだまだ撲滅できていません。
犬の狂犬病の感染経路
犬への感染経路は、
犬による
咬傷が主な経路です。
唾液中のウイルスが
傷口から体内に侵入します。
この他に、
エアロゾル(※)による
呼吸器、眼、口からの感染や
胎盤感染などによっても
侵入します。
人への感染経路は、
犬の咬傷、
コウモリや猫などの
犬以外の動物に咬まれたり、
尿に触れたりして、
ウイルスに暴露します。
狂犬病流行地域では、
不用心に
動物との接触を
行わないようにしましょう。
狂犬病には
安全で有効なワクチンが存在し、
その制御は可能なはずです。
しかし、
実際には調査が不十分であったり、
ワクチンや
免疫グロブリン(※)が
高価であったり、
開発途上国政府の関心が低かったりで、
なかなか制御・撲滅が
実現できていないのが現状です。
※エアロゾル
空気中に浮遊する微小な固体・液体、
またはその両方のこと
※免疫グロブリン
病原体から身体を守る免疫において
重要な役割を担うタンパク質のこと
犬の狂犬病清浄国一覧
日本の農林水産大臣が指定している
狂犬病の清浄国・地域は、
以下の6地域です(2013年7月現在)
- アイスランド
- オーストラリア
- ニュージーランド
- フィジー諸島
- ハワイ
- グアㇺ
多くの国で
狂犬病が発生しているため、
清浄国・地域が
6地域と日本のみとなっています。
清浄地域での対策の中心は、
海外からの侵入を防ぐことで、
最も有効な手段は
動物の輸入検疫です。
日本では
狂犬病予防法に基づき
- 「犬」
- 「猫」
- 「キツネ」
- 「アライグマ」
- 「スカンク」
の輸入検疫を行っています。
さらに、
犬の登録と
ワクチン接種を義務づけることで
防疫体制の強化を図っています。
犬の狂犬病の治療法
犬の場合
発症した動物は、
治療の対象にはならないことが
ほとんどです。
狂犬病の疑いがある動物に咬まれ、
狂犬病を発症する前に、
発症予防のワクチンを接種することで、
発症を防ぐことができる
可能性もあります。
人の場合
人が感染した疑いがある場合は、
直ちに
暴露後免疫療法を受けるための機関に
連絡をしましょう。
この免疫療法を直ちに開始すれば、
発症を防ぐ有効性は
高いとされています。
犬の狂犬病の予防方法
愛犬にワクチンを打つ
人への
狂犬病ウイルスに感染する原因の
99%が
犬によるものといわれています。
動物の感染予防を行うためには、
予防注射が最も有効な方法です。
予防を行うことで、
動物への被害が減少することが
期待できます。
これらのことから考えて、
飼い犬へ毎年、
狂犬病予防注射を行うことは
飼い主の義務でしょう。
不用心に動物との接触を行わない
狂犬病流行地域では、
不用心に
動物との接触を
行わないようにすることも予防の1つです。
流行地域に
長期間滞在する場合は、
海外旅行前に
予防接種をできる機関に
相談をしてみましょう。
犬の狂犬病のワクチン接種と義務
犬の飼い主には、
以下の3つが
法律により義務付けられています。
- 現在居住している市区町村に飼い犬の登録
- 飼い犬に年1回の狂犬病予防注射を受けさせる
- 犬の鑑札と注射済票を飼い犬に装着
1、現在居住している市区町村に飼い犬の登録
登録がされていると、
犬の所有者が明確になります。
そのため、
狂犬病が発生した場合、
その地域で迅速かつ的確に
対応することができます。
生後91日以上で
登録手続きが済んでいない
犬の飼い主、
登録手続きはしたけれど、
別の市区町村へ引っ越しした
犬の飼い主は、
各市区町村窓口に相談してみましょう。
2、飼い犬に年1回の狂犬病予防注射を受けさせる
狂犬病は感染後、
神経症状が発症すると
治療することができません。
しかし、
狂犬病は予防注射をすることで
発症を予防することができます。
犬の飼い主さんは、
飼い犬にしっかりと
予防注射を受けさせることで
犬を
狂犬病から守ることができます。
また、
飼い主さん自身やその家族、
近所の住人や
他の動物への感染を防止できます。
飼い犬が
生後91日以上になったら、
予防注射を受けさせ、
その後は1年に1回
(予防注射接種時期は4~6月)
の追加注射をし続けましょう。
狂犬病予防注射は
お住まいの市区町村が行う
集合注射、
または動物病院で
接種することができます。
注射にかかる料金は、
各市区町村や
動物病院によって異なります。
3、犬の鑑札と注射済票を飼い犬に装着しましょう
犬の登録をすると
「鑑札」、
狂犬病予防注射を接種すると
「注射済票」が交付されます。
この鑑札と注射済票は、
飼い犬に着けておく
必要があります。
狂犬病の発生と
まん延を防止するため、
狂犬病予防員は
所有者の分からない犬や、
予防注射を適切に受けていない
犬の抑留を行います。
飼い犬が迷子になったときに、
鑑札番号から
飼い主の元に戻ることができます。
まとめ
- 狂犬病は発症すると、
ほぼ100%死亡する恐ろしい病気です - 犬による咬傷が主な感染経路です
- 清浄国・地域は6地域と日本のみです
- 狂犬病は制御・撲滅ができるはずの病気です
世界では毎年
約数万の人と
数万件から数十万件の動物が
発病死していると考えられています。
この病気の
有効で安全なワクチンがあるにも関わらず、
いまだにこの病気は
撲滅できていないのが現状です。
狂犬病の清浄国・エリア以外では
不用心に
動物との接触をしないよう
心がけましょう。
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