犬はチョコレートを食べちゃダメ!
公開日:2021/08/25 / 最終更新日:2024/04/02
犬がチョコレートを食べてはいけない理由
犬がチョコレートを食べると
主にカカオに含まれる
「テオブロミン」という成分が
中枢神経、循環器系、腎臓などに影響を及ぼし、
最悪の場合は死に至ります。
犬と人では体の作りが異なりますので、
「人が食べても大丈夫だから犬も大丈夫」
と考えてはいけません。
チョコレートの誤飲による犬の死亡例
犬がチョコレートで死ぬのは
嘘やデマだとする意見もありますが、
アメリカでは実際に死亡事故が報告されています。
体重約20kgのスプリンガースパニエルは、
約900gのチョコレートを食べてしまい
15時間に死亡しました。
血液中のテオブロミンが
高濃度だったことが確認されたそうです。
なぜ犬は中毒を起こすのか
実は私たちも
テオブロミンを大量に摂取すれば
中毒症状を起こします。
しかし肝臓での分解が早く、
チョコをたくさん食べたからといって
中毒症状を起こすことはありません
(中毒を起こす前に
お腹がいっぱいになってしまうか、
別の問題が起きることでしょう)。
一方、犬はテオブロミンの分解速度が
人より3倍かかるため、
中毒症状を起こしてしまうのです。
そのため少量でも継続して与えれば
血液中のテオブロミン濃度が高くなり、
中毒症状を起こす場合があります。
特に「高カカオ」のチョコは
一般的なチョコに比べて
4倍以上のテオブロミンが
含まれているものもあるため要注意です。
なお、ホワイトチョコに
テオブロミンは含まれませんが、
脂肪分や糖分が多いため
与えないようにしましょう。
犬がチョコレートを食べた場合の致死量
犬は体重1kgあたり90~100mgの
テオブロミンを摂取すると
中毒症状が出るとされています。
一般的なチョコレート100gに含まれる
テオブロミンが250mgほどですので、
体重1kgあたり25gほどの
チョコレートを食べると
危険ということになります。
体重5kgの小型犬なら125g、
体重10kgの中型犬なら250gのチョコレートとなり、
一般的な板チョコが60gほどですので、
単純計算で小型犬は板チョコ2枚、
中型犬は板チョコ4枚が危険となります。
ただし、高カカオを謳う商品では
100gのチョコレートに1000mgの
テオブロミンを含むものもありますので、
その場合は板チョコ1枚以下でも
中毒症状が出る可能性があります。
人の場合でもコーヒー1杯で眠れなくなったり、
動悸がしたりする方がいますが、
犬も同様に少量のチョコレートで
中毒症状を起こす場合があります。
安易に「食べた量が少ないから大丈夫」とは
考えないようにしてください。
犬がチョコレートを食べた場合の症状
テオブロミンは中枢神経、
循環器系、腎臓などに影響を及ぼします。
中毒症状は4~15時間ほどで表れ、
主に以下のような症状が見られます。
- 嘔吐
- 下痢
- 動悸
- 神経過敏
- 興奮
- 震え
- 頻脈
- 心拍障害
- 昏睡
- 痙攣
- 突然死
軽度の血圧上昇が見られ、
徐脈あるいは頻脈が生じ、
不整脈が表れることがあります。
症状が深刻になると痙攣、
昏睡などが見られるようになり、
最悪の場合は死に至ります。
犬がチョコレートを食べた場合の応急処置
飼い主さんが無理に吐かせるなどの
処置をするとで重病化する恐れもあります。
舐めたり小さなチョコを
一粒食べたりした程度で問題になることはありませんが、
板チョコや箱に入ったチョコを
丸ごと食べてしまった場合は
必ず動物病院に連絡して指示を受けてください。
食べた量が少なかったとしても、
中毒を起こす量は体重や
健康状態など犬ごとに変わります。
いつもと違う様子が見られる場合は
食べたチョコの種類と量を把握した上で、
すぐに動物病院に連絡してください。
獣医師が的確な判断をするため、
飼い主さんの説明が重要です。
犬がチョコレートを食べてしまった場合の治療法
テオブロミンに対して
解毒剤は存在しないため、
治療は催吐(さいと)させる
対症療法が基本となります。
ただ、チョコレートは溶けると
「粘着性」を持つため、
嘔吐してもなかなか容易に除去できません。
活性炭はテオブロミンの
半減期を短縮させるとされ、
活性炭と塩類下剤は4~6時間ごとに
必要に応じて投与します。
振戦、不安および痙攣のコントロールには「ジアゼバム」、
徐脈に対しては「アトロピン」、
頻脈には「リドカイン」や
「メトプロロール」「プロプラノロール」を
投与する場合があります。
膀胱粘膜からの
テオブロミンの再吸収を阻止するため、
膀胱に尿カテーテルを挿入しておくことも
あるとされています。
支持療法として輸液も行います。
催吐は食べてから数時間(4~6時間)経過していても
効果的とされていますが、
難しい場合は胃洗浄を行います。
冷水や氷水を用いると、
チョコレートの排除を悪化させてしまうため、
温水を用いた胃洗浄が
溶けたチョコレートを
胃から除去する助けとなります。
そのほか、症状に応じて
以下のような処置を行います。
- 必要なら気道の確保と換気
- 酸素吸入
- 静脈の確保
- 発熱があればその治療
- 心電図をモニターし、心調律不整があればその治療
※催吐(さいと)
嘔吐を引き起こす物質をさす。
「emetogenic(催嘔吐性)」とも呼ばれる。
犬はチョコレートケーキ・ドーナツも食べるのもダメ?
テオブロミンが入っている以上、
チョコレートケーキやチョコレートドーナッツ、
チョコレートシロップも食べさせてはいけません。
ただ、中毒の危険度に関しては
チョコレートの種類と量により、
クリーム成分なども入っていますので
一般的な板チョコよりは危険度は低いと考えられます。
しかし、どれだけのチョコレートで
中毒症状を起こすかは犬によって異なります。
また人の食べ物には
犬に過剰な糖分や塩分、脂肪分、
チョコ以外にも犬にとって
有害な成分が含まれている可能性があります。
誤飲に気をつけるとともに、
愛犬が欲しがっているからといって
与えるのはやめましょう。
犬用のチョコレート風ケーキなら大丈夫
バレンタインを
愛犬と楽しみたいという方もいると思います。
チョコレートケーキはダメですが、
チョコレート風ケーキなら大丈夫。
犬用の商品が販売されていますので、
試してみるのもいいですね。
もちろん、与え過ぎは禁物です。
YouTube 動画
犬用チョコレートを作ってみた
チョコレートの誤飲に注意すべき犬の特徴
誤飲事故は、どんな犬でも
注意すべきことではありますが、
年齢や犬種によって
起こる確率が変わってきます。
保険会社が保険契約をしていた犬で
発生した誤飲事故を
年齢別に調査したところ、
- 0歳が4.4%
- 1歳が2.5%
- 2歳が1.8%
- 3~10歳はそれぞれの年齢で1.5%以下
だったことがわかりました。
イギリスで行われた調査でも、
4歳未満の若い犬で
チョコレートの誤飲が最も多く、
次いで中年の成犬(4歳以上8歳未満)、
8歳以上のシニア犬という結果になりました。
若い犬ほど好奇心が強く、
チョコレートの誤飲事故が
起こりやすいといえるでしょう。
誤飲に注意すべき犬種
年齢だけでなく、
犬種ごとに好奇心の違いで
誤飲の発生に差があるようです。
保険会社の調査によると、
契約頭数の多い
上位17犬種の
0歳の犬を対象に調査したところ
以下の犬種は平均の
4.4%よりも高い傾向にありました。
- フレンチブルドッグ:7.1%
- ゴールデンレトリーバー:6.8%
- キャバリア:6.0%
- パピヨン:5.5%
- ラブラドールレトリーバー:5.3%
- トイプードル:4.5%
これらの犬種は、
特に注意するようにしましょう。
もちろん犬によって性格が異なりますので、
該当しなかったからといって
安心していいわけではありません。
クリスマス・バレンタインは誤飲事故に注意
保険会社が獣医師172人に
誤飲事故の聞き取り調査をしたところ、
死亡例として多かったのは、
観賞用ユリの12件に次いで、
チョコレートが9件、
ネギ類が4件と続いたそうです。
クリスマスやバレンタインなどの
イベント時期は、
身近にチョコレートが
置かれることが多くなりますので
特に注意が必要です。
お正月など来客が多い時期も、
危険性を知らない人が
間違って与えてしまうかもしれません。
飼い主さんが注意して事故を防ぐようにしましょう。
まとめ
犬にチョコはNG。
- 異変がある場合は動物病院へ
- 犬はチョコに含まれるテオブロミンの分解が遅いため中毒を起こしやすい
- 数時間から半日ほどで中枢神経、循環器系、腎臓などに影響を及ぼす
- 目安として体重1kgあたり25gほどのチョコレートを食べると危険
大切なことは、
犬がチョコレート食べられる
環境を作らないことです。
テーブルの上に放置しない、
家族で危険性を共有する
といったことを行い、
犬がチョコレートを誤飲しない
環境を作るようにしましょう。
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