犬の膿皮症!症状・原因って?
公開日:2024/08/14 / 最終更新日:2024/08/14
犬の膿皮症とは
膿皮症は、
犬でよく見られる
細菌感染に起因した皮膚疾患です。
細菌の感染する部位によって
「表在性膿皮症(ひょうざいせいのうひしょう)」
と
「深在性膿皮症(しんざいせいのうひしょう)」
に分類されます。
犬の皮膚を
断面で観察すると、
一番外側の
外界と接する方から表皮、
真皮、皮下組織の
3層構造になっており、
細菌が毛穴や皮膚表面に
感染したものを
「表在性膿皮症」、
真皮や皮下組織で
感染したものを
「深在性膿皮症」と呼びます。
一般に、
表在性膿皮症が進行して
深在性膿皮症となることが
多いです。
犬の膿皮症全体で
発生頻度が最も高いのが、
毛穴(毛包)に細菌が感染した
表在性細菌性毛包炎と呼ばれる
タイプです。
表在性膿皮症で
最もよく見つかる(分離される)のは、
「スタフィロコッカス・シュードインターメディウス
(Staphylococcus pseudintermedius)」という名前の
細菌であり、
この細菌は
犬の皮膚に常在しています。
皮膚あるい
は皮膚のバリア機能に
異常が起きて、
細菌の感染が成立することで
膿皮症となります。
感染が成立する背景として、
アレルギーや内分泌疾患などの
基礎疾患が存在していることを
日常的に経験しています。
近年、
犬の膿皮症における
多剤耐性菌
(複数の抗菌薬が効かない細菌)の報告が
増加しており、
国内でも同様の報告が
行われています。
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膿皮症が出やすい犬種・年代
犬が皮膚あるいは皮膚バリア機能に
異常を起こす原因として、
アレルギーや
内分泌疾患などが挙げられます。
それらを
基礎疾患として持っている犬は
注意が必要です。
内分泌疾患とは、
ホルモンを作る臓器
(甲状腺、副腎、精巣、卵巣)などの
病気のことで、
犬では代表的なものとして
「甲状腺機能低下症」や
「副腎皮質機能亢進症」などがあります。
つまり、
膿皮症は
皮膚バリア機能が未熟な若齢犬や
内分泌疾患等が増える
中齢~高齢犬に
発症しやすいと考えられます。
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犬の膿皮症の症状
表在性膿皮症の主な症状は、
初期には
皮膚に膿疱
(のうほう:膿が溜まった膨らみ)や
丘疹
(きゅうしん:赤いブツブツ)が
認められます。
膿疱が破裂すると
リング状に剥がれた
痂皮(かさぶた)が見られ、
これを表皮小環
(ひょうひしょうかん)と
呼びます。
通常、
表在性膿皮症は
痒みを伴います。
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また、
深在性膿皮症では皮膚に潰瘍や
瘻孔
(ろうこう:管状に空いた穴)が認められ、
血液、滲出液(しんしゅつえき)、
膿汁(のうじゅう)などを
排出します。
特に、
単一の毛穴に限定される場合を
「フルンケル」(別名:せつ)、
皮下組織まで広がったものを
「フレグモーネ」、
または「蜂窩織炎」
(ほうかしきえん)と
呼ぶことがあります。
深在性膿皮症では、
時に強い炎症を伴い
発熱や痛みを認め、
元気・食欲の低下を
伴うこともあります。
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犬の膿皮症の原因
先述した通り、
表在性膿皮症で
最もよく見られる細菌は
「スタフィロコッカス・シュードインターメディウス
(Staphylococcus pseudintermedius)」であると
報告されています。
また
深在性膿皮症では
「スタフィロコッカス・シュードインターメディウス」
に加え、
「Proteus spp」「Pseudomonas spp」「E. coli.」
などの
感染が報告されています。
犬の膿皮症の検査・診断方法
毛穴に一致した丘疹や
膿疱および
表皮小環などの臨床症状で、
膿皮症を強く疑うことができ、
他の膿疱を作る
皮膚疾患の除外を行うことで
診断します。
膿皮症の検査には、
細胞診や細菌培養検査および
感受性試験などがあります。
細胞診とは、
膿疱や痂皮を剥がして
材料を採取し、
顕微鏡で細菌の確認および
炎症細胞による細菌の
貪食像(どんしょくぞう)を
確認する検査です。
スタフィロコッカス・シュードインターメディウスが
原因菌であれば、
球形の菌の集まりが
観察されます。
細菌培養検査および
感受性試験とは、
どのような細菌が存在し、
それに対し
どのような抗菌薬が有効かを調べる
検査です。
特に、
抗菌薬による
全身療法への反応が悪い場合には
実施が推奨されています。
犬の膿皮症の治療
膿皮症の治療には、
「外用療法」と
抗菌薬による
「全身療法」があります。
外用療法
外用療法は、
限局性の場合や、
全身性だが早期で軽症な場合に
適応となることが多い
治療法です。
この治療では、
抗菌性シャンプーおよび
抗菌性外用剤(塗り薬)を用います。
抗菌性シャンプーは、
細菌や皮脂、汚れを
皮膚表面から物理的に除去し、
細菌の増殖を抑制する効果も
期待できます。
抗菌性シャンプーや外用剤は、
クロルヘキシジン、過酸化ベンゾイル、
乳酸エチルなどを
成分として含有するものが
推奨されます。
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全身療法
抗菌薬による全身療法は、
外用療法を実施しても
良くならない場合や、
全身性に症状が見られる場合、
深在性膿皮症の場合に
実施することが多いです。
第一選択薬として、
第一世代セファム系抗生物質や
クラブラン酸・アモキシシリン水和物などの
投与が推奨されています。
犬の膿皮症の予後
膿皮症の予後は、
表在性膿皮症の診断が適切であれば、
治療に反応することが多いです。
しかし、
なかなか治らない場合や
頑固に繰り返す場合は、
多剤耐性菌
(複数の抗菌薬が効かない細菌)や
基礎疾患を
考慮する必要があります。
また、
深在性膿皮症は
治りにくい場合に
外科的に切除することもあります。
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犬の膿皮症の予防法
膿皮症を発症する
基礎疾患
(アレルギーや内分泌疾患など)があれば、
その管理を行います。
具体的な方法については、
獣医さんと
よく相談されるとよいでしょう。
また、
皮膚の状態に合わせた
スキンケアを行い
皮膚の
バリア機能を改善することも
大切です。
例えば
トリミングで
毛刈りや被毛をすいてもらい、
皮膚の通気性を良くするのも
良いでしょう。
また、
膿皮症再発予防として
皮膚のコンディションにあった
シャンプーを行い、
皮膚のバリア機能を保つことも
重要です。
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まとめ
犬の膿皮症は変だと思ったら動物病院へ
犬の膿皮症は
細菌の感染によって起こる
皮膚の病気です。
膿疱(のうほう)や
表皮小環(ひょうひしょうかん)などの
膿皮症を疑う症状をみつけたら、
動物病院を受診しましょう。
また、
日頃から皮膚を清潔に保ち、
愛犬の皮膚の様子を
よく観察をしておくと
良いでしょう。
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