犬の膀胱結石!原因や治療法、食事療法について!

公開日:2024/10/29 / 最終更新日:2025/02/18
犬の膀胱結石とは
膀胱結石とは、
腎臓から送られた尿を
貯める膀胱に
石のような塊ができる
病気です。
石が腎臓(腎盂)にできた場合は
「腎結石」、
尿管にできた場合は
「尿管結石」、
尿道にできた場合は
「尿道結石」と呼び、
腎臓から尿道まで
総称して
「尿路結石」と呼びます。
膀胱結石になった犬は
細菌感染による
膀胱炎を併発していることが多く、
抗生物質の投与が
行われることもあります。
再発を防ぐためには、
膀胱炎をコントロールすることが
重要になります。
好発犬種として
- ダックスフンド
- シーズー
- ビションフリーゼ
- チワワ
- ミニチュアシュナウザー
- ヨークシャーテリア
- ラブラドールレトリバー
- ダルメシアン
- キャバリア
などに
よく見られますが、
どの犬種でも起こります。
膀胱結石の種類
膀胱結石は
結晶化するミネラルによって、
以下のような
種類があります。
- ストルバイト結石
- シュウ酸カルシウム結石
- リン酸カルシウム結石
- シスチン結石
- 尿酸アンモニウム結石
- シリカ結石
このうち犬ではほとんどが
「ストルバイト結石」か
「シュウ酸カルシウム結石」で、
複数の結石が
混ざっている場合もあります。
ストルバイト結石は
メスに、
シュウ酸カルシウム結石は
オスに多く見られます。

犬の膀胱結石の症状
膀胱結石ができると
頻尿や血尿、
排尿困難の症状が見られます。
膀胱内の結石は
頻尿につながり、
結石が
膀胱の内壁を傷つけることで
血尿が起こります。
結石によって
尿道が詰まると
膀胱が破裂したり、
急性腎不全を起こしたり、
水尿管症や水腎症といった
腎障害が起こる場合があります。
尿路閉塞が生じた場合は、
早急に
処置を行わなければ
死に至る可能性があります。
膀胱結石の犬では
以下のような症状が見られます。
- 尿がキラキラする
- 臭いがする
- 濁る
- 血尿
- 排尿障害
- 排尿失敗
- 頻尿
- 陰部を舐める
- 元気がない
- 食欲不振
- 嘔吐
- 腹痛
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犬の膀胱結石の原因
膀胱結石ができる原因は
明確になっていないため
さまざまな説がありますが、
基本的には
尿に含まれるミネラルが
高濃度になることで結晶化し、
徐々に大きくなって
塊になると考えられています。
結石は
数週間でできることもあれば、
数カ月かかることもあり、
成長速度は
食事や細菌感染による
pHの変化に影響を受けます。
ストルバイト結石
(リン酸アンモニウムマグネシウム)
通常、
犬の尿は
弱酸性ですが
尿が濃くなったり
アルカリ性に傾いたりすると
ストルバイトの結晶が
できやすくなって
結石につながります。
ストルバイト結石の多くは
細菌感染によるもので、
膀胱炎を併発していることが
少なくありません。
尿がアルカリ性に傾くのには、
ウレアーゼ産生菌という菌が
産生する
ウレアーゼという酵素が
関係しています。
ウレアーゼは
尿に含まれる尿素を分解して
アンモニアを過剰に生成し、
そのアンモニアによって
尿がアルカリ性に傾くのです。
アンモニアは
膀胱の炎症にもつながります。
シュウ酸カルシウム結石
シュウ酸カルシウム結石は
食事に起因し、
ストルバイト結石とは逆で
尿のpHが
6.5以下の酸性に傾くことで
発生しやすくなります。
また、
抗生物質の過剰投与などで
腸内のシュウ酸分解菌
オキサロバクター・フォルミゲネスが
減少すると
シュウ酸カルシウムの結晶が
できやすくなります。

犬の膀胱結石の治療法
膀胱結石の中には、
触診で
わかるものもありますが、
小さすぎてわからなかったり、
膀胱の炎症で
痛みが強く
触診ができなかったりする
場合もあります。
X線(レントゲン)検査で
ほとんどの膀胱結石が
確認できますが、
尿酸アンモニウム結石や
シスチン結石など
X線に反応しないものもあるため、
造影検査やCT検査、
超音波検査(腎エコー)を
併用する場合もあります。
膀胱結石の治療法には
大きく分けて
以下3つの選択肢があります。
- 開腹手術による除去
- カテーテル・膀胱鏡
- 食事による溶解
1、開腹手術による除去
一般的に選ばれる手術方法は
開腹手術です。
手術は
全身麻酔のリスクがあるものの、
迅速に除去できるのが
メリットです。
開腹手術の場合は
1泊2日の入院が必要です。
手術費用は
結石のある場所や大きさ、
数によって
難易度が変わり、
病院によっても異なりますが、
検査を含めて
10~30万円ほどが目安になります。
体への負担がありますので、
他に病気がある場合や
シニア犬(老犬)の場合は
別の方法を
検討する場合もあります。
他の手術には
腹腔鏡(内視鏡)手術があり、
腹腔鏡は傷が小さく
日帰りも可能なケースがありますが、
専門技術が必要で
費用も難易度も
高くなります。
2、カテーテル・膀胱鏡
膀胱にカテーテルを通して
洗い流したり、
膀胱鏡と呼ばれる内視鏡を
尿道から通して
取り除いたりすることができます。
外科手術より
負担が少なくなりますが、
結石が小さい場合に
限られます。
なお、
尿道結石で閉塞した場合は
カテーテルを使って
水を逆流させて
膀胱まで押し戻し、
閉塞を解除します。
3、食事療法による溶解
シュウ酸カルシウム結石は
食事療法で溶かせませんが、
ストルバイト結石で
石が小さければ
療法食で
溶かすことができます。
食事療法によって
手術をしないで
治すことができますが、
溶けるのに
時間がかかるため
血尿や排尿障害が続いたり、
感染症や尿道閉塞が
起こったりするリスクが伴います。
療法食は
結晶化を防ぐために
- 「尿を弱酸性(pH6.5未満)にする」
- 「石の成分になるタンパク質やリン、
マグネシウムを制限する」
といったことを目的として
配合されていますので、
療法食以外のおやつなどは
一切与えてはいけません。
犬が味を好まず
食べないことも多く、
食べない場合は
別の治療法を検討します。

犬の膀胱結石の予防・再発防止法
膀胱結石は
結晶化するミネラルによって
治療法も予防法も変わります。
犬の場合は
ストルバイトか
シュウ酸カルシウムがほとんどですが、
どちらかで再発防止の
食事内容が変わってきます。
ストルバイト結石
ストルバイト結石になった犬は、
尿路感染症に
注意してください。
血尿や
排尿困難などの症状が見られる場合、
様子見をせず
病院に行きましょう。
再発防止の療法食は
生涯にわたって
行う必要があります。
尿を弱酸性(pH6.5未満)にするため、
タンパク質やリン、
マグネシウムが制限されます。
高脂肪になるため
膵炎に注意が必要です。
シュウ酸カルシウム結石
シュウ酸カルシウム結石になった犬は、
食事や生活習慣に注意しても
高い確率で
再発する可能性があります。
尿中に排泄される
シュウ酸を減らすため、
ほうれん草やさつまいも、
レタス、ブロッコリー、
ナス、ナッツ類など
シュウ酸を多く含む食品は
与えないようにしてください。
カルシウムは腸内で
シュウ酸と結合すると
便として排泄されるため、
カルシウムを制限する
必要はありません。
逆に
カルシウムを制限すると
尿中に排泄されるシュウ酸が
増えてしまい
結石の原因となります。
シーズー、ミニチュアシュナウザー、
ビションフリーゼは
尿中の
カルシウム濃度が高いことが
わかっています。
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療法食の予防効果
ストルバイトでも
シュウ酸カルシウムでも
尿を薄めることは
有効な予防法になりますので、
ドライフードより
ウェットフードのほうが
お勧めです。
シュウ酸カルシウム結石は
療法食で
溶かすことができませんが、
療法食は
飲水量を増やす効果もありますので
予防には
一定の効果が見込めます。

まとめ
- 犬はストルバイトかシュウ酸カルシウムが多い
- 尿路閉塞に進行すると死に至る可能性も
- 原因は不明だが細菌感染が要因になる
- 結石の種類によっては食事療法が有効
犬の膀胱結石は
ストルバイト結石と
シュウ酸カルシウム結石が多く、
ストルバイトは
食事で溶かせる可能性があります。
尿路閉塞や腎障害など
リスクの高い病気を
併発する可能性もありますので、
早急な対処が
必要です。
予防は
療法食が推奨されますが、
シュウ酸カルシウムは
再発が多く見られます。
定期的な健康診断を
欠かさないようにしましょう。
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