犬の腹膜炎!症状・原因・予防法って?
公開日:2024/04/10 / 最終更新日:2024/04/10
犬の腹膜炎とは
腹膜炎は
お腹の内側の一部、
もしくは
全体の炎症を指します。
腹膜炎の原因となる疾患があれば、
犬の品種や
年齢は関係なく発生します。
細菌やウイルスなどの
病原体が関与する感染性の場合と、
病原体が関与しない
非感染性の場合がありますが、
感染性の腹膜炎は
重篤で
死亡率が高くなります。
動物病院で
腹膜炎と診断された場合、
手術や入院治療が
必要となることが多いでしょう。
腹膜(ふくまく)について
腹膜とは、
その名の通り
お腹の中にある膜です。
腹膜は
胃や肝臓、腸といった
内臓を包む
袋のような構造をしており、
それらの内臓の位置を固定したり、
保護する役割があります。
腹膜は半透膜であり、
細い血管が
網の目状に走っています。
生体膜として
浸出、漏出、分泌などの
生理作用があります。
お腹の中には
漿液(しょうえき)と呼ばれる
細胞から分泌される
薄黄色透明な液体が少量あり、
そこには
マクロファージなどの
免疫細胞が含まれていて、
潤滑油的な働きを果たすと同時に
感染時の防御機構を担っています。
一見すると
単なる薄い膜ですが、
とても重要な働きをしています。
犬の腹膜炎の症状
一般的には
以下の症状が見られます。
- 嘔吐
- 下痢
- 食欲不振
- 発熱もしくは低体温
- 呼吸が荒い
- ぐったりしている
- 歯茎や目の結膜など本来ピンク色の所が白っぽい
- お腹が膨れている
- 背中を丸めお腹が痛そうにしている
- お腹を触ると嫌がる・痛がる
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腹膜炎は
原因となる疾患や
外傷により生じることが多く、
重症度は、
起こっている炎症の範囲や、期間、
元になっている原因により
異なります。
そのため、
症状としては
元気が無い程度の子もいれば、
敗血症性ショックという
死に近い状態までさまざまです。
動物病院の診察で
腹膜炎を疑う場合、
一般的な身体検査に加え、
血液検査や腹部X線検査、
腹部エコー検査などを行います。
腹膜炎では
腹水が発生することが多いため、
腹部エコー検査などで
腹水が見られた場合、
いったいどんな性質の
腹水があるのかを調べるために
腹腔穿刺(ふくくうせんし) を行います
お腹に針を刺し、
腹水を採って調べることにより、
原因となっている疾患を
診断する手助けになります。
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犬の腹膜炎の原因
腹膜炎を起こす原因として、
以下のようなことが
考えられます。
- 消化管穿孔(胃・小腸・大腸に
何らかの原因で穴があくこと) - 腹壁を貫通する外傷
- 腹腔内膿瘍(子宮蓄膿症、前立腺膿瘍など)
- 感染症
- 腹部の外科的処置
- 胆のう破裂(胆のう粘液嚢腫や胆石症から)
- 膀胱破裂
- 腹腔臓器や組織から波及した炎症によるもの(膵炎、胆管炎など)
- 腹腔内腫瘍
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消化管穿孔、外傷、腹腔内膿瘍、
感染症などでは、
病原体が関与する
感染性腹膜炎が起こります。
感染性腹膜炎では
「敗血症」と呼ばれる状態に
陥りやすくなります。
敗血症は
感染に対する体の
過剰反応により、
全身に組織障害や臓器障害が
起こってしまう状態です。
極めて危険な状態のため、
速やかな治療と
入院による
全身の管理が必要となります。
敗血症から
敗血症性ショックと呼ばれる状態となると、
- 「循環不全」
- 「血圧低下」
- 「不整脈」
- 「DIC(播種性血管内凝固)」
などを起こし、
死亡することがあります。
胃液や胆汁、尿などは
お腹の中に漏れだすと
刺激物となり、
腹膜や腹膜に包まれている
臓器に炎症を引き起こします。
炎症が起こると
滲出液と呼ばれる液体が発生し、
内臓の可動性がなくなったり、
癒着が起こったりします。
また、
刺激によって
腸閉塞や腸管過敏症などを起こし、
腸壁が病原体に
感染しやすくなります。
そして
腸管内の細菌が
お腹の中へ漏れ出してしまうと、
敗血症性の障害へ
変わることもあります。
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犬の腹膜炎の治療
腹膜炎では
原因となった疾患や
外傷の治療を行います。
同時に
症状にあわせた対症療法も
行う必要があります。
感染性腹膜炎の場合には
以下のような
治療を行います。
- 点滴で循環血液量を増やし、電解質の異常、
低血糖症、腎血流量の減少を管理する - 抗生物質の投与
- 疼痛が酷い場合、鎮痛薬の投与
- 外科手術(消化管穿孔、外傷、腹腔内膿瘍、
胆のう破裂、膀胱破裂など)
外科手術を行う際、
漏れ出た消化液や胆汁、
膿などで
お腹の中が汚染されているので、
十分な量の
生理食塩水などで洗浄します。
術後も
お腹の中に残っている液を
体外へ出すために
腹腔ドレーンという管を留置します。
感染性腹膜炎を起こすような疾患や
外傷の手術・入院を行った場合、
病院により異なりますが、
一般的には
十数万円~数十万円の金額が
かかることが多いでしょう。
入院期間も長くなります。
危険な状態での
入院・治療になることも多いため、
家族で話し合っておくことも
重要です。
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犬の腹膜炎の予後
原因となった疾患や
外傷の程度により
さまざまです。
中には入院・治療の
甲斐があって、
元の生活に
戻れる子もいるでしょう。
感染性腹膜炎から
敗血症になってしまうと
予後はよくありません。
入院や治療の甲斐なく
亡くなることもあります。
犬の腹膜炎の予防
腹膜炎だけを
予防する方法はありません。
原因となる疾患や
外傷の中で
予防できるものをできるだけ
予防していくことが大切です。
例えば、
以下のような
対策があげられます。
- ワクチンの接種
(犬伝染性肝炎など予防できる感染症を防ぐ) - 異物摂取をさせない
(異物による消化管穿孔を防ぐ) - 人の食べ物、特に唐揚げや天ぷらなど
脂っこいものを与えない(膵炎の予防) - 避妊、去勢手術を行う
(子宮蓄膿症、前立腺膿瘍の予防) - 散歩の時にはリードやハーネスを装着し
自分の近くを歩かせる(交通事故の予防)
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まとめ
お腹が膨れる・痛がる症状には要注意です
お腹が膨れたり、
お腹を痛がったりする
原因のすべてが
腹膜炎ではありませんが、
そのような症状は
何らかの異常のサインです。
様子を見ないで
すぐに動物病院を受診しましょう。
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