犬の胃潰瘍!症状や原因、治療法って?

公開日:2025/01/09 / 最終更新日:2025/03/06
犬の胃潰瘍とは
胃潰瘍(いかいよう)とは、
胃液の働きが強くなることで
胃の内壁が
消化されてしまう病気です。
胃炎から胃潰瘍まで、
以下のように進行していきます。
- 胃炎(胃腸炎)
粘膜が炎症を起こした状態 - びらん(糜爛)
粘膜が傷ついてただれた状態 - 胃潰瘍
粘膜の下の層までえぐれた状態 - 胃潰瘍出血
血管が傷ついて出血した状態 - 穿孔(せんこう)
胃の外側まで穴が開いた状態 - 胃潰瘍穿孔性腹膜炎
穴から胃液が漏れて他の臓器が炎症した状態
人間の場合は
「ストレス」や
「ヘリコバクター・ピロリ菌」が
原因の多くを占めますが、
犬の場合は
「薬」と「病気」が原因として
多いと考えられています。
犬の胃潰瘍は、
人間ほどよく見られる
病気ではありません。
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胃潰瘍になりやすい犬種
どの犬種でも
胃潰瘍になる
可能性がありますが、
胃拡張や
炎症性腸疾患などの犬は
なりやすく注意が必要です。

犬の胃潰瘍の症状
胃潰瘍の犬では
以下のような症状が見られます。
- タール便(黒色便、メレナ)
- 嘔吐・吐血
- 下痢・血便
- 貧血
- 腹痛(お腹を触られるのを嫌がる)
- 食欲不振
胃潰瘍で吐血する場合、
血は胃酸によって酸化されるため
コーヒーのような
色をしています。
茶色いドライフードと混ざると
判別しにくいかもしれません。
ただし、
重症化して
大量に出血している場合は
酸化されることなく
鮮血を
吐き出す場合もあります。
血便の場合は
排出されるまでに
時間がかかるため
黒い便(タール便)になります。
鮮血が
血便として出る場合、
胃潰瘍とは別の病気が
疑われます。
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犬の胃潰瘍の原因
胃液は主に
胃酸(塩酸)と
タンパク質分解酵素「ペプシン」と
水分で構成され、
強酸性(pH1~2)の胃酸とペプシンは、
肉を溶かしてしまうほど
強力な消化液です。
なぜ胃そのものが溶けないか
疑問に思うかも知れませんが、
それは「胃粘液」が
胃の内側を薄く覆って
バリアの役割を担っているためです。
ですから胃粘液の
- 「量が少なくなる」
- 「質が悪くなる」
といったことが起こって
バリア機能が弱くなると、
胃は
消化されてしまいます。
それが
胃潰瘍という病気で、
消化が続けば
胃に穴が開いてしまいます(穿孔)。
人間の場合は
「ストレス」と
「ヘリコバクター・ピロリ菌」が
胃潰瘍の主な原因ですが、
犬の場合は
「薬」と「病気」が主な原因です。
ピロリ菌は
犬の胃にも存在しますが、
犬の胃潰瘍に
どれだけ影響を与えているかについては、
まだよくわかっていません。
犬の胃潰瘍の原因として
以下が考えられます。
- 腎不全
- 肝不全
- 悪性腫瘍(胃腺癌、肥満細胞腫、ガストリノーマ、リンパ腫)
- ステロイド
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
- 播種性血管内凝固症候群(DIC)
- 胃炎
- 膵炎
- 副腎皮質機能低下症(アジソン病)
- 感染症(ヘリコバクター・ピロリ菌)
- ショック(敗血症など胃への血液供給の減少)
- ストレス
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犬の胃潰瘍の治療
胃潰瘍は
- 血液検査
- X検査(レントゲン検査)
- 超音波検査
で診断しますが
最終的な確定診断は
内視鏡検査と生検による
組織学的検査によって行います。
補助検査として
尿検査や糞便検査で
基礎疾患がないかどうかも
検査します。
病気が原因で
胃潰瘍になっている場合は、
その病気の治療を行います。
犬では
薬によって
胃潰瘍が起きるケースが多く、
薬の量を減らしたり
別の薬に変えたりすると同時に、
胃粘膜を保護する薬や
胃酸の分泌を抑える
薬を使うことで症状が改善します。
大量の出血で
貧血が起きると
輸血が必要になります。
胃に穴が開くと
腹膜炎を起こして
ショック死する可能性もあるため、
すぐに
手術を行わなければいけません。
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まとめ
- 犬の胃潰瘍は人と比べてまれな病気
- 多くは薬の副作用によって起こる
- 原因となる薬や病気への対処が主な治療
胃潰瘍は
犬ではまれですが、
薬や病気の影響で起こります。
出血や穿孔に至ると
危険な状態になりますので、
早急に
対処が必要です。
予防法はありませんが、
一度症状が見られた犬は
再発に注意が必要です。
定期的な
健康診断を欠かさず、
いつもと違う様子が見られた場合は
できるだけ早く
獣医師に
相談するようにしてください。
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