犬の肺水腫!症状や原因、治療法って?

公開日:2024/10/10 / 最終更新日:2025/02/13
犬の肺水腫とは
肺水腫とは、
酸素と二酸化炭素の
ガス交換を行なっている肺胞に
水分が貯まってしまう
病態です。
肺胞内に
水分が貯まってしまうと、
ガス交換が
上手くできなくなるので、
低酸素状態になり
呼吸困難を
起こしてしまいます。
肺水腫は
肺胞周囲の毛細血管から
血液の液体成分が
浸み出すことにより、
肺胞に
液体成分が貯まってしまって
発症します。
犬の肺水腫の多くは
心臓に原因があって
肺の毛細血管の圧が上がって起きる
「心原性肺水腫」
というものです。
そのほか、
血管の壁の変化によって
肺の毛細血管から
血液の液体成分が浸み出して発症する
「非心原性肺水腫」
というものもあります。

肺水腫にかかりやすい犬種・年齢
心原性肺水腫の場合だと、
僧帽弁閉鎖不全症が
原因となって起こることが多いため、
その好発犬種が
かかりやすいといえます。
非心原性肺水腫の場合だと
さまざまな犬種・年齢で罹患します。
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犬の肺水腫の症状
心原性、非心原性肺水腫ともに
以下の症状が見られます。
- 低酸素からくる呼吸困難
- チアノーゼ
- 発咳
- (心原性で重度に進行した場合)
ピンク色の泡沫状のたん
肺水腫では、
呼吸状態の悪化
すなわち安静時の呼吸数が
増加してきます。
正常時の安静時呼吸数は
1分間に20回程度です(個体差はあります)。
1分間に
40回以上になっていると
肺水腫が強く疑われます。
1分間に
30~40回の場合や
努力性呼吸をしている場合も
肺水腫が疑わしいので
要注意です。
普段から、
呼吸数を計る習慣がついていると
良いでしょう。
1分間に
30回程度になっていたら、
動物病院を受診しましょう。
また
1分間に
40回以上で首を伸ばし、
努力呼吸(体全体で一生懸命、呼吸している様子)、
開口呼吸、
起座呼吸(おすわりした状態で胸を大きく動かして
呼吸している様子)をしている場合は
緊急での
受診をお勧めします。

犬の肺水腫の原因
肺水腫は、
心臓が原因で起こる
「心原性肺水腫」と
心臓以外が原因で起こる
「非心原性肺水腫」があります。
心原性肺水腫は、
僧帽弁閉鎖不全症や
拡張型心筋症などから起こります。
この病態では
左心系に負担がかかり、
左心房→肺静脈→肺の毛細血管と
圧が上昇していき
血液の液体成分が浸み出してきて、
発症します。
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非心原性肺水腫は、
重度の肺炎、気道閉塞、腫瘍、
重度の組織外傷、重度の神経疾患、
熱中症、溺死寸前、アナフィラキシー、
感電やマズルコントロールなど
さまざまな原因が
挙げられます。
そのほか
ARDS(急性呼吸窮迫症候群)で
肺水腫を引き起こしてしまう場合は
最も難治性です。
この病態では
血管壁の透過性が亢進する変化によって
(血管から液体成分が漏れやすい状態になる変化)
血液の液体成分が
浸み出してきてしまい、
発症します。
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犬の肺水腫の検査・診断方法
酸素吸入をしながら、
ストレスをできるだけ与えないように
実施します。
以下の
5つの検査を合わせて評価します。
- 身体検査
- 肺エコー検査
- 胸部レントゲン検査
- 心エコー検査
- 血液検査
身体検査
特に呼吸状態の確認をします。
(1分間に40回以上の頻呼吸)
重度の場合は、
犬座姿勢で首を伸ばして
肘を外転した状態での
呼吸をします。
肺エコー検査
救急時に実施にします。
胸部レントゲン検査
体勢の変化が難しい場合は、
できる範囲内で実施します。
心エコー検査
状態が悪い場合は、
実施しないか、
もしくは
肺水腫を起こすほどの
心臓疾患があるのかを
確認する程度です。
肺エコーのときに
合わせてやってしまうことも
あります。
より細かく見るのは、
状態が安定してからの
実施になります。
血液検査
緊急時に備え、
同時に血管確保も実施します。

犬の肺水腫の治療法
心原性・非心原性肺水腫の
どちらかによって
治療法は異なります。
心原性肺水腫の場合
利尿薬の投与と
酸素吸入を行います。
必要に応じて強心薬、
血管拡張薬を使用します。
ごく軽度の場合を除いて、
1週間程度の入院が
必要となります。
非心原性肺水腫の場合
肺水腫を起こす原因となった
基礎疾患の治療と
酸素吸入を行います。
必要に応じて
利尿剤の投与を行います。
入院期間は、
基礎疾患により
異なります。

犬の肺水腫の予後・余命
心原性肺水腫の場合だと、
犬の僧帽弁閉鎖不全症において
重度の肺水腫を起こした後の
生存期間中央値は
9カ月前後といわれています。
重度の場合は、
入院中に
2割弱の犬が
亡くなってしまうといわれています。
近年は、
犬も僧帽弁閉鎖不全症に対して
心臓手術を行うことが
できるようになってきています。
肺水腫を起こした犬で、
回復後
2回目の肺水腫を起こさせないように、
もしくは
肺水腫発症前でも
危険性のある犬は
心臓手術の対象になります。
周術期を乗り越えれば、
生存期間の
かなりの延長が見込めます。
非心原性肺水腫の場合は
基礎疾患により異なります。
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犬の肺水腫の予防法
心原性肺水腫の主な原因である
僧帽弁閉鎖不全症の場合、
肺水腫になる前に
通常は
心雑音が聞こえます。
心雑音が聴こえ始めたら
定期検診をして行き、
必要に応じて
レントゲン検査や
心臓超音波検査で
心臓や肺の状態を
見ていきましょう。

まとめ
犬の肺水腫予防に呼吸数を計る習慣を
肺水腫は、
急に発症し
命の危険がある病態です。
犬で起こる
肺水腫の原因の多くは
慢性心臓弁膜症である
僧帽弁閉鎖不全症です。
発症すると
呼吸が荒くなり
努力呼吸をするようになります。
命の危険のある病態ですから
緊急で動物病院の受診をしましょう。
入院中に
亡くなってしまったり、
また
重度であれば
予後は1年いきません。
心臓病や
そのほか非心原性肺水腫を起こす
基礎疾患を持っている犬であれば、
罹患の可能性を考えて、
本病態のサインである
呼吸数を計る習慣をつけていくと
良いでしょう。
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