犬の股関節脱臼!原因や、かかりやすい犬種って?
公開日:2025/01/07 / 最終更新日:2025/01/07
犬の股関節の構造
股関節は、
骨盤と太ももの骨をつないでいる
(大腿骨:だいたいこつ)関節です。
骨盤には
寛骨臼
(かんこつきゅう)という
「くぼみ」があり、
大腿骨には大腿骨頭
(だいたいこっとう)という
「でっぱり」があり、
この凹凸(おうとつ)が
うまくかみ合うことで
後ろ足の付け根が
スムーズに
動けるようになります。
犬の股関節脱臼とは
犬の股関節脱臼とは、
寛骨臼のくぼみからから
大腿骨頭が外れてしまった状態です。
「股関節脱臼」は
病気の名前というより、
状態を表す用語です。
犬の股関節脱臼の原因
原因は主に
2種類に分類されます。
1、続発性股関節脱臼
一つは、
関節がゆるくなる病気を
抱えていて、
その延長線上で外れてしまう
「続発性股関節脱臼」です。
代表的なのは
股関節形成不全です。
(こかんせつけいせいふぜん)
また、
高齢になったり、
足腰の筋肉が弱くなったりすると、
お尻の周りにある
臀筋が
(でんきん)
弱くなってしまいます。
この臀筋は、
大腿骨頭が
寛骨臼から外れないように
サポートしている
筋肉の一つです。
この筋肉が弱ることで、
もともと正常な
股関節であるにも関わらず
ひょんな事で
股関節脱臼を起こしてしまう
ことがあります。
これも
続発性股関節脱臼の
原因となります。
2、外傷性股関節脱臼
もう一つは、
正常な股関節が落下や
交通事故などで脱臼してしまう
「外傷性股関節脱臼」です。
犬の股関節脱臼の検査・診断方法
股関節脱臼は
レントゲン検査で
簡単にわかります。
レントゲン検査が
すぐにできない場合は、
触診で
おおよその推測ができるとの
文献がありますが、
診断には
経験が必要ですので、
動物が足を上げたら
速やかに
動物病院にかかられることを
お勧めします。
股関節脱臼にかかりやすい犬種・年代
股関節脱臼の背景には
関節のゆるみが
関係していることがあります。
股関節がゆるむ原因となる
病気は、
股関節形成不全が代表的です。
関節のゆるみは
関節炎の原因となり、
痛みが起こります。
さらに
ゆるみが重度になると
凹凸がかみ合わなくなり、
股関節脱臼になるのです。
股関節形成不全は、
- ゴールデンレトリーバー
- ラブラドールレトリーバー
- ジャーマンシェパード
などの大型犬での発症が
有名ですが、
実は
柴犬、ジャックラッセルテリアなどの
中型犬や
トイプードル、パピヨンなどの
小型犬など、
どんな犬種でも
発症する可能性があります。
股関節形成不全の場合、
股関節脱臼は
徐々に悪化する
ゆるみの延長線上で
起こってしまうので、
5~6歳などの
中年齢での発症が多いですが、
重症例では
若くして脱臼を起こしてしまう
場合もあります。
「外傷性股関節脱臼」は
健康な股関節が
交通事故、
高いところからの落下などで
外れてしまうので、
どんな年齢・犬種でも
起こる
可能性があります。
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犬の股関節脱臼と症状の似た病気・合併症
犬は
股関節脱臼を起こすと、
急に
後ろ足を上げ、
3本足でひょこひょこ
歩くようになります。
しかも
外れると自然には
治りづらいので、
様子を見ていても
改善しません。
股関節脱臼と似た症状を起こす病気
後ろ足に
痛みが起こる病気は、
股関節脱臼と似たような
歩行をします。
代表的なものは
上記した
股関節形成不全ですが、
そのほか
- 膝蓋骨脱臼
- 前十字靭帯断裂
- 骨折
- 悪性腫瘍
- 神経痛
があります。
愛犬が
後ろ足を痛がったときは、
速やかに
動物病院を受診しましょう。
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犬の股関節脱臼の治療法・リハビリ
股関節脱臼に関しての
第一の治療法は、
メスをいれないで行う
徒手整復です。
(としゅせいふく)
基本的には
麻酔をかけて行います。
外傷性など、
股関節に
問題が無い場合は
脱臼を整復したら
そのまま落ち着くこともあります。
しかし、
- 「時間がたっている」
- 「筋肉が少なくて脱臼を戻しても
関節を支えられない」
などの場合は、
簡単に
再脱臼することがあります。
股関節形成不全などが
背景にある脱臼は
戻しても
すぐに外れるか、
寛骨臼に
大腿骨頭を支えるくぼみがない場合は
脱臼を
戻すことすらできません。
徒手整復しても
再脱臼してしまう場合、
または
戻せない場合は
手術が必要となります。
手術には、
- 寛骨臼から大腿骨頭が外れないように糸などで補強する。
- 大腿骨頭と寛骨臼を人工物に置き換える。
- 大腿骨頭を切って、
その切り口と寛骨臼周囲の組織がくっ付いて
関節の様になるのを待つ(大腿骨頭切除術)。
の3通りがあります。
それぞれのメリット・デメリットを
お話しします。
1、糸での補強
自身の寛骨臼と
大腿骨頭は温存して、
外れなくする手術です。
メリット
- 元来ある正常解剖に近い状態に手術で戻せます。
デメリット
- 股関節に関節炎がある場合、戻しても痛みが残ります。
- 重度な股関節形成不全の場合は不適です。
- 再脱臼の可能性があります。
- 術後感染の可能性があります。
2、人工関節に置き換える
大腿骨頭と寛骨臼を
人工関節に置き換えます。
メリット
- 正常解剖に近い状態に戻す事ができます
- ほとんどの股関節に対応可能です。
- 早期の歩行が期待できます。
デメリット
- 再脱臼の可能性があります。
- 術後感染の可能性があります。
- 高い技術と設備が必要とされるため、
特定の病院でしか対応できません。 - 高価。
3、大腿骨頭切除術
大腿骨頭を切って、
その切り口と
寛骨臼周囲の組織がくっ付いて
関節のようになるのを待ちます。
メリット
- 脱臼する原因となっている大腿骨頭を切除するので
再脱臼はありません。 - ある程度手術手技は確立されているので
多くの動物病院で実施可能です。 - 人工物を利用する手術ではないので、
術後感染症の可能性低いです。
デメリット
- 解剖学的に正常な状態に戻す手術ではないので、
術後歩行まで時間が掛かります。 - 患肢が短くなります
(しかし、日常生活には支障はありません)。 - 術後歩けるようになるのに時間がかかります
犬の股関節脱臼の治療・手術費用の目安や治療薬の種類
各院の規定によりますが、
犬の股関節脱臼の
治療・手術費用の目安は
以下の通りです。
- 糸での補強
30~40万円 - 人工関節
100万円前後 - 骨頭切除
20~40万円
股関節脱臼は
薬だけでは治りません。
しかし
大腿骨頭が
寛骨臼に戻ったあとは
痛み止めを使用すると良いでしょう。
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犬の股関節脱臼の予後
犬の股関節脱臼は
適切な手術が行われれば、
どの手術方法でも
普通に歩けるようになります。
ただし、
人工関節と
糸での整復では、
再脱臼や
感染の可能性があります。
歩行できるようになるまでの期間
- 糸での補強
術後数日から数週間で歩行可能な場合もあります。 - 人工関節
術後数日で歩行可能です。 - 骨頭切除
術後数週間から数カ月で歩行できるようになります。
※術後の回復には固体差もあるため、
あくまでも目安としてください。
犬の股関節脱臼の予防法
外傷性の
股関節脱臼については、
怪我をさせないように
気を付けるしかありません。
股関節の緩みによる脱臼には
関節をゆるませない
注意が必要です。
関節をゆるませないためには、
股関節周囲の
筋肉を鍛えることです。
特に
お尻にある
臀筋を鍛えましょう。
臀筋を鍛えることで、
股関節が
ゆるみづらくなります。
臀筋は、
人間ではいわゆる
スクワットで
鍛えられる筋肉です。
犬にスクワットをさせることは
難しいので、
平らな路面の
坂道を登らせるのが
一番効果的に
筋肉を付けられます。
関節が痛いときは
その足を
かばいながら歩くので、
筋肉が付きません。
鎮痛剤を使用してでも
痛みを緩和して
運動させてあげてください。
注意することは、
怪我をしない程度の
負荷で鍛えることです。
瞬間的に力を入れる
フリスビーやボール投げは、
股関節形成不全では
行わないでください。
徐々に筋肉を付ける
心のゆとりを持って
取り組みましょう。
犬の股関節脱臼に良い食べ物・食事の注意点
股関節形成不全で起きている
関節の緩みに対して
重たい体重は
さらなる緩みを助長させる
可能性があります。
肥満にさせないような
食事管理は重要です。
特に
大型犬で
幼少期に食事を多く与えた場合、
股関節形成不全になる
可能性が高くなることが
報告されています。
成長期の食事には
注意をしてください。
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股関節脱臼に効くサプリメント
残念ながら
脱臼を起こした関節を
治せるサプリメントはありません。
しかし、
一部のサプリメントは
関節炎を改善させる効果が
期待できますので、
股関節形成不全の進行を
抑えることができるかもしれません。
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まとめ
犬の股関節脱臼は後ろ足を痛がったらすぐ動物病院へ
犬の股関節脱臼は
突然発症するので
飼い主さんは
非常に心配されます。
愛犬が急に
後ろ足を付かずに
痛がる時には、
股関節脱臼の
可能性があります。
速やかに
動物病院に行って
診てもらいましょう。
適切な対応をすれば
愛犬はまた元気に
走り回れることが多いので、
落ち着いて
対処しましょう。
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