犬の股関節形成不全!症状や原因、予防法って?

公開日:2024/10/08 / 最終更新日:2025/02/12
犬の股関節形成不全とは
犬の正常な股関節は、
骨盤側の寛骨臼
(かんこつきゅう)と
大腿骨側の大腿骨頭(こっとう)
がしっかりと連結した
球状関節を形成しています。
股関節形成不全では、
股関節の発育異常によって
この連結が緩み、
不安定になっています。
関節炎や形成異常の原因にもなります。
股関節形成不全の好発犬種
- ジャーマンシェパード
- ロットワイラー
- ゴールデンレトリーバー
- ラブラドールレトリーバー
- セントバーナード等々
大型犬で多く見られます。
特に成長期の
5~12カ月齢で発症することが多いです。

犬の股関節形成不全の症状
通常は両側性に発生し、
成長期に起立困難・運動不耐性などの
症状を示します。
飼い主が
気付きやすい行動の変化としては、
主に
以下の三つが挙げられます。
- 両後肢の跛行(はこう)小幅な歩行
- 階段の昇り降り、ジャンプがしにくい
- 両後肢を同時に運ぶうさぎ飛び歩行

犬の股関節形成不全の診断
犬の股関節形成不全では、
跛行を主訴に
来院されることが多く見られ、
以下の検査を行うことで
診断を確定します。

1、歩様検査
歩様検査は
股関節形成不全の診断に
とても重要です。
股関節形成不全に特徴的な歩様は、
「Monroe walk」(モンローウォーク)と呼ばれる
腰を左右に揺れ動かして歩く
歩様です。
股関節形成不全の動物は
後肢を地面に着く際に
股関節の緩みにより痛みを感じ、
体重を反対側に移動させて
その痛みを軽減させようとします。
しかし、
両側性に痛みを示すことが多いため、
左右交互に
重心を移動させます。
その結果、
腰を左右に動かす歩様を
示すようになるのです。
2、触診
股関節形成不全の場合、
股関節の伸展(しんてん)時に
痛みを表すことが多く、
以下のような異常が見られます。
可動域(関節が動く範囲)の減少
骨盤周囲の筋委縮
3、レントゲン検査
後肢を左右対称に伸展させて、
股関節の観察を行います。
股関節のゆるみや
変形性関節症を評価していきます
(麻酔が必要な場合もあります)。
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犬の股関節形成不全の原因
犬の股関節形成不全の原因には
不明な部分が多いものの、
遺伝的要素は
確認されています。
また、
過剰な栄養摂取による
急速な体重増加と成長によって、
支持軟骨組織の
発育不均衡が起こることも
因子の一つとなります。
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犬の股関節形成不全の治療
犬の股関節形成不全は、
症状によって
治療が大きく異なります。
保存療法もしくは内科、
外科的療法があり、
症状が軽度な場合、
まずは安静です。
運動制限や食事管理などによる
疼痛の軽減や症状の改善は、
関節包の線維性増殖によって
関節包が強化されることで
関節包の捻挫を予防します。
安静と併用して、
消炎剤・鎮痛剤で
痛みをコントロールする場合もあります。
外科的療法
成熟した犬や
内科療法に反応しない場合は、
外科療法が
適応になることがあります。
若齢犬では、
最大限の効果を得るために
早期に
骨盤の骨切り術を行うか判断する
必要があります。
外科的療法としては、
以下の三つが挙げられます。
大腿骨頭切除術
(大腿骨の先端を切除し、
骨盤と大腿骨が直接接触しないようにします)
三点骨盤骨切り術
(骨盤の3カ所を切り、
大腿骨頭が外れにくい角度に調節します)
股関節全置換術
(人工関節に置き換えます)
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外科手術後の理学療法
術後の
絶対安静による不動化は、
筋力の低下・筋萎縮・耐久力の低下を
引き起こします。
以前は絶対安静が
推奨されていましたが、
最近では
できるだけ早期に
リハビリを開始する必要があると
言われています。
外科手術後のリハビリは、
患者さんの状態を理解し
個別にプログラムを組んで
早期に開始します。
寒冷療法や
接地・負重の誘導を始め、
徐々に
股関節伸展ストレッチ、
四肢で起立・歩行する
再教育をしていきます。
しかし
ここで大切なことは、
痛みがあった頃の記憶があり、
トラウマになってしまっている子も
いるということです。
少しずつ様子を見ながら
行う必要があります。

犬の股関節形成不全の予防
股関節形成不全の予防としては、
若齢期の
栄養管理が大切です。
成長に合わせたフードを与え、
栄養の摂りすぎによる
肥満を防ぐことも大切です。
骨の病気と言って
カルシウムの与えすぎは
よくありません。
成長段階に合わせたフードでは
カルシウムの量もしっかり計算されて
入っているため、
カルシウム不足になることはありません。
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運動管理も必要です。
痛みが出るようなら
無理な運動を避けます。
ただし筋肉の退縮も
避けなければならないので、
適度な運動や
リハビリを行いましょう。
自宅に迎え入れるときは、
親犬に
股関節形成異常がないか
確認することも、
一生世話をしていくことを考えると
大切なことだと思います。

まとめ
犬の股関節形成不全は
歩き方がおかしいと感じたら動物病院へ
大切な家族と
一緒に散歩する時、
歩き方がおかしいと感じたとき、
「股関節かな?」と
一瞬でも頭に浮かべてください。
特に
大型犬で重要です。
おかしいと感じたときは、
すぐに
かかりつけ医を受診しましょう。
歩様検査・身体検査・レントゲン検査を行い、
診断してもらうことが大切です。
痛みがあるときは、
安静や場合によっては
内服を併用し、
コントロールしていきます。
それでも、
改善がなければ、
外科的療法を選択するか
獣医師と相談しましょう。

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