犬の肝臓腫瘍!良性・悪性(がん)の違いとは?
公開日:2024/08/13 / 最終更新日:2024/08/13
犬の肝臓腫瘍とは
腫瘍(しゅよう)とは、
細胞が自己増殖して
塊になった体内の「できもの」のことです。
腫瘍には
良性と悪性があり、
悪性は
増殖し続けて転移や浸潤(※)が
見られるようになります。
※浸潤(しんじゅん)
がん細胞が周りの組織を壊しながら、
水がしみ込むように
拡大していくこと。
悪性腫瘍は一般的に
「がん」と呼ばれます。
犬で多い肝臓腫瘍は
「肝細胞がん」と「胆管がん」で、
肝細胞がんは悪性ですが
転移することが少なく
早期治療ができれば
予後は良好です。
腫瘍は
細胞そのものががん化する「原発性」と
他の部位にできた
がんが転移する
「転移性」にわかれ、
肝臓腫瘍の場合は
転移性が多く見られます。
肝臓腫瘍の主な種類は
以下にまとめました。
良性
- 肝細胞腺腫
- 肝内胆管腺腫
- 肝血管腫
- 肝平滑筋腫
悪性
- 肝細胞がん
- 胆管がん
- 肝血管肉腫
- 肝平滑筋肉腫
- 肝繊維肉腫
- 肝カルチノイド腫瘍(神経内分泌腫瘍)
肝臓腫瘍の好発犬種
肝臓腫瘍は
高齢になるほど多くなり、
犬の長寿化に伴って
発生数も
増加傾向にあります。
犬種や年齢、性別に関係なく
すべての犬で
起こる可能性があります。
犬の肝臓腫瘍の症状
肝臓は
「沈黙の臓器」と呼ばれるように
症状が表に出にくく、
飼い主さんが気づかない間に
病気が進行していることが
少なくありません。
肝臓腫瘍に
特異的な症状もないため、
多くは
健康診断や別の病気の検査で
偶然見つかったり、
重症化して
見つかったりします。
- 嘔吐
- 下痢
- 発熱
- 黄疸
- 食欲不振
- 散歩に行きたがらない
- 体重減少
- 多飲多尿
- 歯ぐきや舌が青白い(チアノーゼ)
- ぐったりしている
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この中でも特に
- 「歯ぐきや舌が青白い」
- 「ぐったりしている」
場合は
緊急性が高いと言えます。
様子見をせずに
動物病院へ行くようにしてください。
ピンク色で正常な舌と、チアノーゼで紫色になった舌
行動の変化
がわかりにくかったとしても、
体重の変化は数字として出るため
病気の早期発見に役立ちます。
病院に行った際だけでなく、
ご家庭でも定期的に
体重測定されることを
お勧めします。
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犬の肝臓腫瘍の原因
肝臓腫瘍ができる原因は
明確になっていませんが、
遺伝的素因や
環境的要因が関係している
可能性があります。
環境的要因では
感染症や発がん性物質の摂取
(食事、タバコの煙、大気汚染、薬剤など)、
紫外線の曝露や
免疫機能の異常などが考えられます。
犬の肝臓腫瘍の治療法
肝臓腫瘍の多くは
重症化して見つかるか、
健康診断などの血液検査の際に
肝酵素(ALP)や血糖値の異常から
疑われて見つかります。
腫瘍が破裂した場合は
赤血球数が低下し、
貧血となります。
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肝臓腫瘍の疑いがある場合は、
レントゲン(X線)検査や
超音波(エコー)検査による画像診断、
細胞を採取して
良悪性を推定する
細胞診検査などを行います。
画像診断では
肝臓にできているものが「塊状」か、
「多発性」(びまん性)かを確認します。
塊状の場合は多くが
「肝細胞がん」か「結節性過形成」
(肝細胞が肥大化して腫瘍のように見える良性の腫瘤)です。
ただし、
どちらかの判別は
細胞診でも難しく、
除去してから組織を
顕微鏡で観察する生検を行って
確定診断となります。
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塊状ではなく
多発性の場合は
外科手術で除去することが難しく、
基本的には
対症療法による
緩和ケアになります。
塊状であっても
腫瘍(腫瘤)が
大静脈の近くにできている場合など、
リスクが高く
手術適応にならない場合もあります。
そのため
事前にCT検査で場所や数、
転移の有無などを
確認します。
肝臓腫瘍の手術費用
肝臓腫瘍は
できた場所によって
難しい手術になり、
かかりつけの病院では
対応できない場合もあります。
その場合は
腫瘍科を専門で扱っている病院で
精密検査を行い、
腫瘍の状態を見極めた上で
実施します。
手術費用は病院や
手術内容などによって
大きく変わってきますが、
50万円前後と
イメージしていただければ
よいと思います。
高齢犬の手術について
肝臓腫瘍は
高齢の犬で多く見られるため、
手術を行うか、
麻酔のリスクも考えて
迷う飼い主さんは
少なくありません。
重症化する前に
寿命を迎えることが
予想される場合は
手術を行わない選択もありますが、
ためらっている時間だけ
年齢のリスクは
上がっていきます。
獣医師とよく相談して
決めていただければと思います。
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犬の肝臓腫瘍の食事療法
肝臓腫瘍が「がん」だった場合は、
「糖質制限」を行います。
がんが進行すると
「悪液質」と呼ばれる
栄養失調になりますので
オメガ3脂肪酸の摂取がお勧めです。
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クリル(オキアミ)由来の
オメガ3脂肪酸と
アスタキサンチンを補給できる
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小型犬や猫でも飲みやすい
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クリルオイルに含まれるオメガ3脂肪酸は
「リン脂質結合型」で、
従来の魚油に比べ親水性が高く、
体内での消化吸収に優れていると
言われています。
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与える前まで酸化の心配もなく、
新鮮長持ちです。
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腫瘍によって
肝臓の機能低下がある場合は
浮腫や腹水を抑えるための
「塩分制限」、
肝性脳症を避けるため
アンモニアの産生を抑える
「低タンパク食への変更」が必要です。
アンモニアの解毒は
肝臓だけでなく
筋肉でも行われるため、
肝機能が低下した犬は
バリン、ロイシン、イソロイシンという3
つのアミノ酸をまとめた
「BCAA」の需要が高まります。
犬は10種類、猫は11種類の
アミノ酸については
体内で作り出すことができないため、
必須アミノ酸と呼ばれています。
BCAAは筋肉や血液中にあり、
筋肉中のタンパク質分解を抑えたり、
筋肉の合成にも関わり、
運動時にはエネルギー源として
利用されると考えられていますが、
普段の食事では十分な量を
摂取することが難しい栄養素です。
■こんな子におすすめ■
・肝臓や腎臓に負担を掛けたくない子に
・タンパク質の吸収が悪い子に
・食事量が少ない子に
・筋肉量を維持したい子に
・糖質が気になる子に
※BCAAは消化が不要で体内に容易に吸収されます。
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BCAAは
犬が自分では合成できない
必須アミノ酸であるため、
サプリメントから摂取することで
肝性脳症や栄養不足を
抑制できる可能性があります。
がん以外で
肝機能の低下も見られない場合は
通常の食事でかまいません。
十分な栄養が含まれる
新鮮なごはんを
食べさせてあげてください。
まとめ
- 肝臓腫瘍は高齢の犬に多い
- 悪性でも塊状か多発性かで予後が変わる
- 塊状を手術で除去できれば予後は良好
肝臓腫瘍は
高齢の犬でよく見られ、
犬の高齢化にともなって
見つかるケースが増えてきました。
悪性で多い肝細胞がんは
進行が遅く、
重症化するまで
見つかりにくい一方、
重症化する前に
寿命を迎えてしまうケースもあります。
種類によって
治療法が変わりますので、
早期に発見し、
適切な治療計画を立てることが
大切です。
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