犬の肝硬変!症状や原因、食事療法は?

公開日:2024/06/10 / 最終更新日:2025/01/30
犬の肝硬変とは
肝硬変は、
何らかの理由で
肝臓が慢性的に炎症を起こして
線維化し、
肝機能が低下した
肝臓病の末期状態を指します。
肝臓は
「沈黙の臓器」と呼ばれるように
症状が表に出にくく、
飼い主さんが気づかない間に
進行していることが
少なくありません。
線維化した肝臓は
元に戻らないため、
早期に発見して
早期に治療することが重要です。
肝臓は
生命維持に重要な臓器ですので、
肝硬変になると
以下の
大事な働きができなくなってしまいます。
肝臓の働き
肝臓には大きく
三つの働きがあります。
1、三大栄養素の代謝
タンパク質は
胃や腸でアミノ酸に分解され、
肝臓で体に必要なタンパク質の形に
作り直されます。
この際に
血液の水分を保持する「アルブミン」や
止血のための
「血液凝固因子」が作られるため、
肝硬変になると
低アルブミン血症で浮腫や腹水、
出血が止まらなくなるといったことが起こります。
肝臓では、
脂質や炭水化物の代謝も行われます。
2、解毒・排泄
タンパク質は
腸内細菌によって分解される際に
アンモニアが生じます。
肝臓は
このアンモニアを解毒し、
尿素として排出する
働きがあります。
この機能が低下すると
アンモニアは脳に運ばれ、
を引き起こします。
赤血球に含まれる
黄色い色素「ビリルビン」も
肝臓を通って排泄されるため、
肝硬変になると
血中のビリルビンが増えて
黄疸(おうだん)が起こります。
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3、胆汁の生成
脂肪の消化吸収を助ける胆汁は
肝臓で作られ、
胆のうで濃縮されてから
十二指腸に送り出されます。
肝硬変になると
胆汁が少なくなるため、
消化不良によって
脂肪が便に含まれる脂肪便や
カルシウム、ビタミンD、ビタミンKなどの
欠乏症が起こります。
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肝硬変になりやすい犬種
肝硬変は
どの犬種でもなる
可能性がありますが、
- ベドリントンテリア
- ダルメシアン
- ラブラドールレトリバー
- ウェストハイランドホワイトテリア
などの遺伝性疾患として知られる
「銅蓄積肝障害」が原因で
起こる場合があります。

犬の肝硬変の症状
飼い主さんが気づけるほどの
症状が出た時点では、
肝臓のほとんどの機能が失われて
末期になっている場合が
少なくありません。
初期症状も
- 「食欲不振」
- 「嘔吐・下痢」
- 「体重減少」
- 「疲れやすい・ぐったりしている」
といった
他の病気でも見られるものが多く、
症状から
肝臓の異変に気づくことは
難しいでしょう。
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健康診断などの血液検査で
「ALT」(GPT)や「AST」(GOT)など、
肝臓の数値が高く出たり、
以下のような
緊急度の高い症状が出たりすることで
肝硬変が疑われます。
- 浮腫(むくみ)
- 腹水
- 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
- 腹痛(抱っこした時に鳴く)
- 多飲多尿
- 意識障害
- 出血傾向
肝臓の機能が低下すると
浮腫や腹水が起こります。
これは
肝臓で血液の水分を保持する
「アルブミン」が
十分に作られなくなって
低アルブミン血症が起こり、
血液中の水分が
細胞と血液の間にある間質液
(組織間液)に溜まってしまうためです。
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犬の肝硬変の原因
肝硬変と言うと
人間の場合は
お酒の飲み過ぎによる
アルコール性肝障害を
思い浮かべる方もいると思いますが、
犬の場合は
それ以外の
- 「感染症(ウイルス・細菌・寄生虫)」
- 「慢性肝炎・脂肪肝」
- 「銅蓄積肝障害」
- 「自己免疫性疾患」
- 「薬物」
などが考えられます。
原因不明の
「特発性」である場合も
少なくありません。
解毒機能を持つ肝臓には、
体に害のある
さまざまな物質が集まります。
そのため肝臓は
臓器の中でも再生能力が高く、
ラットを使った実験では
3分の2を切除しても
短期間で
元の大きさに戻ったそうです。
しかし
慢性的にダメージを受けると
再生能力が追いつかず、
肝臓は応急処置として
「線維化した組織」を使って
穴埋めをします。
この状態が続くと肝臓は
「正常な細胞」から
本来の機能を持たない
「線維化した組織」に
置き換わってしまい(肝線維症)、
最終的に
肝硬変となります。
初期であれば
回復する可能性はありますが、
末期まで進行すると
完治させることはできません。

犬の肝硬変の治療法
肝硬変の診断は
血液検査やエコー(超音波)
CT・MRIなどの画像検査で可能性を探り、
確定診断は
麻酔下での肝生検で行います。
治療は
肝硬変の原因が分かっている場合は
その治療を行いますが、
原因不明(特発性)の場合は
対症療法となり、
- 「症状を進行させないようにすること」
- 「残っている正常な組織を温存すること」
を目指します。
炎症を抑えるためにステロイド、
腹水がある場合は利尿薬、
肝性脳症がある場合は
アンモニアを産生する
腸内細菌を抑制するための抗菌薬、
便秘がある場合は
便が腸内に留まることで
アンモニアの産生が増えてしまうため
整腸剤や下剤などを投与します。
肝硬変は
肝臓病の末期状態であるため、
生存期間は平均して
1カ月程度です。
ただ肝硬変では
食事療法が有効であり、
寿命を延ばす上で
重要な役割を持ちます。
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肝硬変の食事療法
肝硬変の犬は
浮腫や腹水を抑えるために
「塩分制限」を行い、
肝性脳症を避けるため
アンモニアの産生を抑える
「低タンパク食」への変更が必要です。
アンモニアの解毒は
肝臓だけでなく
筋肉でも行われるため、
肝硬変の犬では
バリン、ロイシン、イソロイシンという
三つのアミノ酸をまとめた
「BCAA」の需要が高まります。
BCAAは
犬が自分では合成できない
必須アミノ酸であるため、
サプリメントから摂取することで
肝性脳症や栄養不足を
抑制できる可能性があります。
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まとめ
- 肝硬変は肝臓病の末期症状
- 壊れた肝臓は回復せず早期治療が重要
- 食事療法で生存期間が延びることも
肝硬変は
肝臓がダメージを受け続けて
線維化してしまった状態で、
肝臓病の末期と言えます。
線維化した肝臓は
元に戻らないため予後は悪く、
塩分やタンパク質などを制限する
食事療法が必要です。
犬に多い病気ではありませんが、
飼い主さんが
症状から気づくことは難しいため
定期的な
健康診断を
欠かさないようにしてください。
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