犬の緑内障!症状や原因、治療法って?
公開日:2024/12/10 / 最終更新日:2024/12/10
犬の緑内障とは
緑内障は、
眼の眼圧(眼球内の圧力)が
高まることで
視神経が損傷し、
やがて
失明してしまう病気です。
視力があるうちに
眼圧を下げることができれば
回復の可能性がありますが、
一度失われた視力を
元に戻すことはできません。
眼圧が上がってから
失明までの時間は
数時間から数十時間ほどで、
異変に気づいたら
ご自宅で
様子見をする時間は
ありません。
しかし、
飼い主さんが
「目が大きくなった」と気づく、
いわゆる
「牛眼」と呼ばれる状態では
すでに視力が
失われています。
視力が失われても
眼圧は高い状態が続くため、
犬は
痛みを感じ続けます。
そうなると
選択肢は点眼薬、
外科的処置として
「シリコン義眼を挿入する」
もしくは
「眼球摘出」しかありません。
早期発見・早期治療が
非常に重要な
病気と言えます。
眼圧が上がる理由
眼圧は
眼の中の
水(房水)が増えることで
高まります。
房水は本来、
毛様体で作られて
水晶体の前を通り、
隅角(ぐうかく)から
排出されます。
隅角が詰まったり
流れが滞ったりして
房水が排出できなくなると
水晶体の前方(前眼房)に
房水が溜まり、
それによって
水晶体が押されて
眼圧が上がります。
眼球の後ろには
光を感じる網膜と、
それを脳に伝える
視神経があります。
視神経は
非常にデリケートな組織で、
眼圧によって
簡単に損傷してしまいます。
そして
損傷した視神経を
治すことはできません。
緑内障と白内障の違い
緑内障と名前が似た
白内障という病気がありますが、
こちらは
水晶体が濁ることで
見えなくなってしまう
病気です。
緑内障では
失った視力を取り戻せないのに対し、
白内障は
水晶体を
人工レンズに変えることで
回復する
可能性があります。
緑内障は
白内障が原因となって
起こることもあります。
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緑内障になりやすい犬種
犬種や年齢、
性別に関係なく
どの犬も緑内障になる
可能性がありますが、
人と同様に
シニアになるほど
発症しやすくなります。
よく見られる犬種としては
- 柴犬
- シーズー
- アメリカンコッカースパニエル
- チワワ
- ビーグル
などが挙げられます。
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犬の緑内障の症状
緑内障は
痛みを伴うため、
目そのものだけでなく
行動も変化します。
症状の進行はとても早く、
あっという間に
視力が失われてしまいます。
異変を感じ
どれか一つの症状でも見られた場合は
すぐに
動物病院へ行ってください。
目の変化
- 白目が充血する
- 瞳が白く濁る
- 瞳の奥が緑色に見える
- 瞳が大きくなる
- まぶたが痙攣する
- 過剰な涙や目やに
- 目を閉じる
- 目が大きくなる(牛眼)
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行動の変化
- まぶしそうにする
- 目を掻く
- モノにぶつかる
- 元気がない
- 食欲不振
- 嘔吐
- 頭や目の周りを触られるのを嫌がる
緑内障は
別の病気が
原因になっている場合もあり、
(続発性)
その病気に
特有の症状が
見られる場合もあります。
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犬の緑内障の原因
緑内障の原因は、
大きく
- 「先天性」
- 「原発性」
- 「続発性」
の3つに分かれます。
先天性緑内障
犬ではまれですが、
生まれつき
房水の排出路である
隅角に
異常(奇形)があることで
生後半年ほどの間に発症します。
片目だけ発症した場合、
もう片方も
高い確率で発症します。
原発性緑内障
病気を伴わず、
房水の排出路に異常が起こって
眼圧が上がります。
前述した
好発犬種をはじめとして
遺伝性が疑われます。
片目だけ発症した場合、
もう片方も
高い確率で発症します。
続発性緑内障
眼圧が上がる
目の病気に伴って
二次的に緑内障を起こします。
多いのは
- 「白内障」
- 「ぶどう膜炎」
- 「水晶体前方脱臼」
- 「眼内腫瘍」
- 「網膜剥離」
- 「眼内出血」
などです。
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犬の緑内障の治療法
緑内障は
発症してしまうと
完治することはありません。
治療方針は
視力が回復する可能性のある
「急性期」と、
可能性のない
「慢性期」で
大きく異なります。
緑内障の診断は
眼圧検査が基本になります。
そのほか
眼に細い光を当てて
眼の内部を検査する
スリットランプ検査、
視神経乳頭の陥没の有無で
視力の有無を確認する
- 眼底検査
- 隅角検査
- 超音波検査
などを行います。
急性緑内障の治療法
視力を温存するため、
眼圧を下げることが
最優先になります。
まずは点滴や点眼薬で、
眼圧の状況を見ながら
「作られる房水の量を減らす」か
「排出される房水の量を増やす」か
行います。
期待する効果が見込めない場合は
外科的治療を行います。
外科的治療では、
目の中に
医療用チューブを挿入して
強制的に房水を排出させる
シャント手術や、
医療用レーザーによって
毛様体を壊死させて
房水の産生を抑える手術が
行われます。
根本的な
治療にはならないため、
点眼と並行して
視力を温存するための
治療を続けます。
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慢性緑内障の治療法
すでに
視力が失われている場合は、
痛みを取る治療が
最優先になります。
放置すると犬は
痛みを感じ続けますし、
目が大きくなる
「牛眼」や
逆に小さくなる
「眼球癆(ろう)」に
進行してしまいます。
視力回復の見込みがない状態を
点眼薬で維持し続ける意義は
低いため、
慢性緑内障では
- 「ゲンタマイシン注入」
- 「義眼挿入」
- 「眼球摘出」
のいずれかが行われます。
ゲンタマイシンは
抗生物質で、
眼球内の硝子体(しょうしたい)に
注射することで
毛様体を壊死させて
房水の産生を抑えます。
ゲンタマイシンが
有効ではない場合は
「義眼挿入」か「眼球摘出」を
検討します。
眼球摘出は
摘出した目を閉じるため
見た目の変化が大きいのですが、
義眼挿入では
パッと見ではわからないほど
変化が少ないのが
メリットです。
以前は
眼球摘出が一般的でしたが、
シリコン義眼が普及したことで
義眼挿入が
一般的になりました。
まとめ
- 緑内障は眼圧が高まり失明に至る病気
- 放置すると視力が失われ回復できない
- どの犬でも発症するが好発犬種がある
- 早期発見・早期治療が非常に重要
緑内障は発症すると
短期間で視力が失われ、
回復が見込めなくなる病気です。
飼い主さんが
気づきにくい病気ではありますが、
早期に
発見することができれば
視力を温存する治療を
行うことができます。
異変を感じたら
迷わず
病院へ行くようにしてください。
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