犬の甲状腺機能低下症!症状や、かかりやすい犬種って?
公開日:2024/04/17 / 最終更新日:2024/04/17
犬の甲状腺機能低下症の甲状腺とは
甲状腺は
動物種により
形と位置に違いがあります。
犬の甲状腺は、
のどの真下にあり、
代謝の調節を行う上で
もっとも重要な
内分泌器官で、
甲状腺ホルモンを分泌します。
甲状腺ホルモンは、
全身に作用して
代謝を活発にさせる
働きがあります。
呼吸やエネルギー産生、
熱産生などの
基礎代謝を亢進させ、
心臓の変事、
変力作用の感度を
上昇させます。
また、
成長ホルモンの効果を
増強させる機能もあります。
犬の甲状腺機能低下症とは
甲状腺の炎症や、
萎縮などが
主な原因となって、
甲状腺の機能が低下し、
甲状腺ホルモンの産生
分泌が減少します。
その他にも、
視床下部、下垂体に
原因がある場合もあります。
診断が済み、
甲状腺ホルモン製剤の
補充療法を開始すれば、
ほとんどの場合、
予後は良好です。
ただし、
治療に対する反応には
個体差もあり、
時間がかかることもあります。
場合によっては
一生涯
継続治療が必要な
ケースもあります。
これに対して、
甲状腺機能亢進症という
病態も存在します。
これは
甲状腺ホルモンの
血中濃度の増加および
代謝が亢進した結果の病態です。
犬ではまれで、
猫では
内分泌疾患の中で
最も多い疾患です。
甲状腺機能低下症にかかりやすい犬種・年齢
犬種としては、
- アイリッシュセッター
- ゴールデンレトリーバー
- ドーベルマン
- ミニチュアピンシャー
に多いとされています。
生後すぐに
発症することは
極めてまれであり、
ほとんどが後天性
(好発年齢は4~10歳)とされています。
犬の甲状腺機能低下症の症状
甲状腺ホルモンは
実質的に
全ての体細胞に作用し、
さまざまな
生物学的影響を
引き起こします。
そのため、
臨床症状が多岐にわたります。
また症状によっては
重篤な状態になることもあります。
甲状腺機能低下症によって
起こりうる症状は
以下が挙げられます。
代謝の変化
- 元気消失
- 活動低下
- 動物が運動をいやがり、疲れやすい
- 体重増加
- 体温が低下し、寒さに弱くなる
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皮膚の変化
- 顔のむくみによる悲劇的顔貌
- 被毛の粗剛
- 脱毛
- ラットテイル(しっぽの毛が薄くなること)
- 皮膚の乾燥・鱗屑・角化異常
- 皮膚の色素沈着
- 脂漏症・膿皮症
- 粘液水腫
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神経・筋の変化
- 前庭障害・発作
- 虚脱
- 顔面神経麻痺
- 咽頭麻痺・巨大食道
- ナックリング
(拳を握るような状態での歩行のこと) - 運動失調
消化器系の変化
- 便秘
- 食欲低下
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循環器系の変化
- 徐脈
- 低血圧
眼の変化
- 角膜脂質ジストロフィー
- 角膜潰瘍
- 乾燥性角結膜炎
- ブドウ膜炎
- 網膜疾患
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生殖器系の変化
メスの場合
- 不定期な発情周期
(発情休止期の延長、発情期短縮など) - 不妊・偽妊娠
- 虚弱子・死流産
- 乳腺の発達
- 乳汁分泌不全(乳漏)
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オスの場合
- 性欲低下
- 精巣萎縮
- 精子数減少
犬の甲状腺機能低下症の原因
まず、
甲状腺の破壊による
機能低下を
「一次性甲状腺機能低下症」
といいます。
次に、
脳下垂体からの
甲状腺刺激ホルモン(TSH)の
分泌不全を
「二次性甲状腺機能低下症」
といいます。
最後に、
脳視床下部からの
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)の
分泌低下を
「三次性甲状腺機能低下症」
といいます。
このうち95%が
甲状腺破壊による
一次性(原発性)
甲状腺機能低下症といわれています。
さらに、
半数が
免疫介在性甲状腺炎、
残りの半数が
特発性の甲状腺萎縮が原因
といわれています。
犬の甲状腺機能低下症の診断
診断は
発現している
臨床症状によりますが、
皮膚症状が認められていれば、
皮膚検査や
外部寄生虫駆除、
アレルギー検査などを行います。
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その他、
完全血球計算
(非再生性貧血ではないか)、
血液生化学検査
(高コレステロール血症ではないか)、
X線検査、
超音波検査も実施します。
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犬の甲状腺機能低下症の治療
甲状腺ホルモンは
実質的に
全ての体細胞に作用し、
さまざまな
生物学的影響を引き起こします。
そのため、
いろいろな臨床症状や
重度の疾患を
呈することになります。
投薬により
治療を行いますが、
これは
甲状腺を治療するものではなく、
甲状腺機能低下症を
治療する方法です。
すなわち、
不足した甲状腺ホルモンを
投薬で追加することで、
発症している症状を
快復させることが
目的となります。
そして、
治療への反応は
臨床症状や
治療の開始時期などによって
異なります。
また、
皮膚症状や
神経症状などは
一般的に改善に時間が
かかる疾病です。
犬の甲状腺機能低下症の予後
予後は
その原因および病態によって
異なりますが、
犬の一次性甲状腺機能低下症は、
適切に
投薬治療を続ければ、
予後は良好といわれています。
治療の問題は、
過剰投与あるいは
適正投与による
血清濃度の過剰上昇です。
そのため、
定期的な検査で、
適切な投薬治療が
なされているかをチェックして、
病気とうまく
付き合っていくことが大切です。
甲状腺機能低下症の犬に良い食事
脂肪代謝に
トラブルを抱えていれば、
コレステロール値
中性脂肪値が高くなります。
良質な脂肪や
タンパク質をとり、
腸内環境を整えておきましょう。
- キャベツ
- ヨーグルト
- 納豆
などは、
一見健康に良さそうな
食材ですが
甲状腺機能低下症に
罹患した犬にとっては
好ましい食材とはいえません。
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犬の甲状腺機能低下症の予防
簡単な診察では
診断できなく、
予防もできないため、
定期的な健康診断を心がけましょう。
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まとめ
犬の甲状腺機能低下症は診断が難しい病気です
甲状腺ホルモンは
実質的に
全ての体細胞に作用し、
さまざまな
生物学的影響を
引き起こします。
そのため、
臨床症状が多岐にわたります。
そして、
診断も難しく、
動物病院で診断をしなければ、
この病気の
判断はできません。
今回の記事を読み、
少しでも気になる場合は、
早めに
動物病院にご相談ください。
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