犬の涙やけ!原因や取り方は?
公開日:2021/12/15 / 最終更新日:2024/04/02
犬の涙やけとは
犬の涙やけとは、
涙が目頭から鼻の横にかけた
被毛にこびりつき、
被毛が赤茶色に変色した状態のことを
指します。
涙やけ自体は病気ではありませんが、
何か原因があって
起きるものです。
放置すると目や
皮膚の病気が進行したり、
犬のストレスになったりします。
涙やけになりやすい犬種
プードル(トイプードル)やマルチーズ、
ポメラニアン、シーズー、パピヨン、
チワワ、ペキニーズ
などが挙げられます。
被毛が白い犬のほうが
目立ちますが、
ヨークシャーテリアやパグ、
フレンチブルドッグでも見られます。
犬の涙やけの原因
涙やけは、
涙が通常よりも多く出る
「流涙症」(りゅうるいしょう)、
いわゆる「涙目」によって
溢れ出た涙が
長時間毛に付着することで
起こります。
なぜ被毛が変色するのか
涙は血液の一種で、
血液から赤血球と白血球、
血小板を取り除いた液体です。
98%以上が水分で、
残りの成分には
タンパク質やカルシウム、
リン、ナトリウムなどと、
鉄が含まれています。
その鉄分が被毛に付くと
酸化して被毛を赤褐色に変色させます。
涙は通常、
涙腺から分泌されて
眼の表面を通り、
涙点から排出されていきます。
涙点(るいてん)から先は、
涙小管(るいしょうかん)、
涙嚢(るいのう)、
鼻涙管(びるいかん)
を通って鼻に抜けます。
涙は、分泌される量が多すぎたり、
排出路が詰まったりすることで
目の外にあふれ出ます。
犬の流涙症の原因
涙やけは流涙症によって
起きますので、
流涙症の原因が涙やけの原因とも言えます。
流涙症の原因は大きく二つ、
涙腺から分泌される涙の量が多すぎる
「分泌性流涙」と、
涙道が詰まる「導涙性(どうるいせい)流涙」
に分けられ、
同時に起こる場合もあります。
分泌性流
・まつ毛の問題
睫毛乱生
生える場所は正常だが
生える向きに問題があり眼球を刺激して涙が出る
睫毛重生
本来の場所より内側に生えているため
眼球を刺激して涙が出る
異所性睫毛
まぶたの内側に生えるため
眼球を刺激して涙が出る
・まぶたの問題
眼瞼内反症
まぶたが内側にひっくり返ってしまうことで
まつ毛が眼球を刺激して涙が出る
・眼の問題
結膜や角膜
ぶどう膜の炎症による刺激や
緑内障の眼圧上昇によって涙が出る
導涙性流涙
・涙小管の問題
涙小管炎
感染症などの炎症が原因で涙小管が詰まる
・涙嚢の問題
涙嚢炎
鼻涙管が詰まることで涙嚢に炎症が起きて涙嚢が詰まる
・鼻涙管の問題
先天性
生まれつき鼻涙管が開通していない
後天性
涙嚢炎や感染症などの炎症が原因で鼻涙管が詰まる
犬の涙やけの治療法(手術や薬)
動物病院で涙やけのご相談を頂いた際は
「なぜ涙が出ているのか」を診察し、
外科的あるいは内科的に治療していきます。
涙やけで行う手術例と費用の目安
鼻涙管が何かしらの原因で
詰まっている場合は
鼻涙管洗浄を行います。
費用は病院によって異なりますが、
麻酔代込みで2~3万円が目安となります。
生まれつき涙管の穴が
開いていない場合は、
眼科専門病院で開ける手術を行います。
費用は10~20万円が目安です。
そのほか、角膜炎や緑内障など
流涙症の原因になっている
病気を治すことで
涙やけが改善する場合もあります。
涙やけで処方する薬
流涙症の原因にもよりますが、
細菌が原因の場合は抗生剤、
炎症の場合は消炎剤や抗アレルギー薬、
ステロイドを
飲み薬や点眼薬として処方します。
犬の涙やけの取り方
根本的な原因解決にはなりませんが、
飼い主さんのケアによって
一時的に消して
きれいにすることができます。
ただし、なぜ涙やけが起きているのかを
明らかにするためにも、
まずは動物病院で診てもらうようにしてください。
ご自宅でケアする場合は、
拭き取る部位に怪我や
傷がないことを確認し、
悪化しないよう優しくケアしましょう。
・シャンプーで洗う
メリット
被毛を清潔にすることで予防効果が期待できる
デメリット・注意点
少し汚れが落ちる程度で
根本的な解決にはならない。
シャンプーが目に入ることで炎症につながる場合も
・涙やけ用のローション、クリーナーを使用する
メリット
ポリエチレングリコールなど
効果が期待できる成分もある
デメリット・注意点
使用量に注意。
誤飲してしまうと中毒につながる
・マッサージをする
メリット
血行が良くなることで
若干の改善が見られる場合も
デメリット・注意点
強くやりすぎないように注意
・ホウ酸水を作り目元をふく
メリット
洗浄、殺菌効果が期待できる
デメリット・注意点
作る手間がかかる。
目に入った場合はよく洗い流す。
ホウ酸は食べてしまうと
中毒につながる
・目薬を使う
メリット
原因が目の病気の場合に改善が見られる場合も
デメリット・注意点
病院で処方された目薬を使う
ホウ酸を利用したクリーナーの作り方
- 目の周りに傷がある場合は使用しない
- 誤った方法で作ったり、使用したりすると愛犬を傷つける可能性
- 獣医師にクリーナーの使用可否を確認してから利用する
用意するもの
- ホウ酸 3g
- 精製水 150ml
- ボトル 容量150ml以上のもの1本
手順
- 精製水を150mlをレンジで60℃に温める
- 煮沸消毒したボトルに精製水を入れて、ホウ酸3g(1包)を溶かす
- 液体を冷ます
※ホウ酸の濃度は
2%以下にしないといけないため、
水150mlにホウ酸3gが適量です。
作った「ホウ酸水」は
冷蔵庫に保管し、
2週間以内に使いましょう。
ホウ酸水ができたら、
コットンに湿らせて、
涙やけの部分や目の周りを
優しく拭き取ってあげてください。
その際に目の中に
ホウ酸水が入らないよう注意しましょう。
犬の涙やけを消すフードやサプリメント
涙やけを消すフードや
サプリメントはありませんが、
食事を変えたことで
涙やけが改善した例は少なくありません。
まずは目の病気を疑って
動物病院に行く必要がありますが、
原因がわからず
改善が見られない場合は
食事を変えてみるのもいいでしょう。
涙やけの原因になるフード
食事が原因の涙やけでは、
「アレルギー」と「油の酸化」
の可能性が考えられます。
アレルギーの場合は、
タンパク質や添加物が
原因になっている可能性があります。
その場合は涙やけ以外にも、
お腹や足に痒みや炎症、
脱毛が見られることも多くあります。
動物性油脂が添加された
ドライフードを食べている場合は、
酸化した油や酸化防止剤が
原因になっている可能性があります。
まだ明確なエビデンスはありませんが、
ドライフードから
フレッシュフードに変えたことで
改善した事例も報告されています。
ただし、フード以外に原因があるのに
何回もフードを変更し、
飼い主さんも愛犬も
ストレスが溜まってしまう
ケースが少なくありません。
涙やけを改善するサプリメント
サプリメントでは
根本的な解決になりませんが、
多少の改善や悪化させないための
予防につながる場合があります。
魚油や亜麻仁油に含まれる
「オメガ3脂肪酸」には
消炎効果があるため、
涙やけの原因が炎症の場合は
状態を改善できる可能性があります。
まとめ
- 涙やけの原因は涙が通常より多く出る「流涙症」
- 流涙症の原因には「分泌性」と「導涙性」がある
- ケアで一時的にきれいにしたり悪化を防いだりできる
- 食事が原因の場合はフード変更で解決する場合も
涙やけは涙が異常に出る
「流涙症」が原因となるため、
涙やけを消すためには
流涙症の原因を
取り除く必要があります。
目の病気が原因の場合もありますので、
まずは動物病院で
診てもらうようにしてください。
変色した部分を洗ったり
拭いたりして綺麗にすることは
根本的な解決にはなりませんが、
悪化を防ぐ効果があります。
獣医師に相談しながら
ご自宅でできるケアも並行して行い、
改善を目指してください。
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