犬の心不全!症状や原因って?

公開日:2024/07/31 / 最終更新日:2025/02/05
犬の心不全とは
心不全とは、
さまざまな病気によって
心臓が十分な血液を
体に送り出すことができなくなった
状態のことを指します。
先天性で
若くからなる犬もいますが、
時間をかけて
状態が悪化するため
シニア犬(老犬)で多く見られます。
進行すると
肺に血液が溜まり(うっ血)、
血液から水分が滲み出し(肺水腫)、
呼吸困難につながり、
最終的に死に至ります。
心不全は
急激に心機能が低下する
「急性心不全」と
徐々に進行する
「慢性心不全」があり、
適切な治療や
ケアが行われれば
生活の質を保って
延命することが可能です。
心不全のステージ
犬の心不全は
4つのステージに分類され、
飼い主さんの
目に見える症状は
ステージ
C1からとなるため、
症状が進行するまで
気づかないことが
少なくありません。
早めに対処するためにも、
定期的な
健康診断が重要です。
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アメリカ獣医内科学会
(ACVIM)による心不全分類

- ステージA
心疾患のリスクのある犬種
(キャバリア、ミニチュアダックスフンドなどの小型犬) - ステージB
器質的異常があるが、症状は無いステージ
B1
心臓エコー検査、レントゲン検査で心拡大がない
B2
同じ検査において、心拡大がある - ステージC
心不全により症状がある(C1:急性期、C2:慢性期) - ステージD
入院を施す必要がある心不全(D1:急性期、D2:慢性期)

犬の心不全の症状
心不全が進行すると
肺に溜まった水分や
肥大化した心臓によって
咳が出るようになります。
疲れやすくなることも
飼い主さんが気付ける変化です。
その他、
以下のような症状が見られます。
- 咳
- 呼吸困難
- 呼吸が速い、過度のパンティング
- 疲労、元気がない、ぐったりしている
- 食欲不振
- 体重減少
- むくみ
- 歯ぐきや舌が青白い
- お腹の腫れ(腹水)
- 失神
心不全の症状は
問題が
左心か右心かでも異なりますが、
いずれも最終的には
呼吸困難に至ります。
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左心不全
犬の心不全では、
右心より
左心の問題が多く見られます。
左心は
通常であれば
肺から戻ってきた血液を
全身に送り出す役割を担いますが、
正常に機能しないと
血液が肺から心臓へ
送りにくくなり
血液が溜まり(うっ血)、
血液から滲み出した水分が
肺に溜まって肺水腫を起こし、
咳や呼吸困難につながります。
脳に酸素が送られず
失神することもあります。
右心不全
右心系に問題が生じると
肺に十分な血液を
送ることができなくなり、
肺に血液が溜まり、
血液から滲み出した水分は
肺やお腹に溜まります。
血流が悪くなることで
手足の静脈からも
水分がしみ出て
むくみが生じます。

犬の心不全の原因
心不全の原因は
ほとんどが弁膜症です。
弁膜症とは、
心臓にある
血流をコントロールする三尖弁(さんせんべん)、
肺動脈弁、僧帽弁(そうぼうべん)、
大動脈弁の
4つの弁が閉まらなくなることで
血液が逆流してしまう病気です。
心不全は
- 拡張型心筋症
- 動脈管開存症
- 不整脈
などでも起こります。
僧帽弁閉鎖不全症
僧帽弁閉鎖不全症は、
左心房と左心室を隔てる
僧帽弁が閉鎖せず、
血液が左心室から左心房に
逆流してしまう病気です。
キャバリアのように
先天性の場合もありますが、
シニア犬(老犬)が
加齢によって発症する
ケースが多く見られます。
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拡張型心筋症
拡張型心筋症は
犬の心筋症の中で
最も多い病気で、
心筋(心臓の筋肉)が
薄くなってしまうことで
心室が拡大し、
心臓の収縮機能が
低下してしまいます。
ボクサーやグレートデーン、
ニューファンドランドなどの
大型犬で多いため
日本ではあまり多くありません。
ただし、
アメリカの食品医薬品局(FDA)が
2019年に
グレインフリーのドッグフードを食べている犬は
拡張型心筋症になりやすい
可能性があると
発表しています。
カリフォルニア大学デービス校からは、
タウリンの欠乏が
関係しているのではないかとする
研究も出ていますので
注意が必要です。
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その他
その他にも
心不全が起こる原因として
以下の病気が挙げられます。
心房中隔欠損症
左心房と右心房を隔てる壁が
不完全なまま
生まれてしまうことで、
できた穴から
血液が流れ出てしまう
先天性の病気です。
猫に多い心疾患ではありますが、
犬でも珍しくはありません。
動脈管開存症
胎児期は
母犬のお腹の中で
肺呼吸をする必要がないため
肺に血液を送る必要性が低く、
肺動脈から大動脈に
肺を通らないバイパスを作って
全身に血液を送っています。
そのバイパスを
「動脈管」と呼びます。
動脈管は
生まれて肺呼吸が始まると
自然に閉じるのですが、
それが閉じない
先天性の病気が
「動脈管開存症」です。
バイパスが残っていると
大動脈を通って
全身に流れるはずだった血液が
再び肺動脈に入ってしまいます。
左心系への負担が大きく、
重症化すると
大動脈の流れが弱まって
今度は肺に流れるはずだった
二酸化炭素を多く含む血液が
大動脈に流れていまいます。
体全体が酸素不足に陥り、
心不全とともに
死に至ります。
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フィラリア症
フィラリア症は、
寄生虫「フィラリア(犬糸状虫)」が
犬の心臓に寄生し、
心臓の弁や肺動脈などを
塞いでしまう病気です。
急性症状が現れると
数時間から数日で
死に至る恐れがあります。

犬の心不全の診断・治療法
原因が
先天的な構造異常(奇形)であれば、
外科手術による
完治が可能な場合もあります。
しかし、
心不全の多くは
高齢になってから徐々に
症状が現れる
慢性心不全です。
完治は難しいですが、
内科的治療によって
状態をコントロールしていくことが
可能です。
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心不全の診断
心不全が疑われる場合、
- 「問診」
- 「聴診」
- 「触診」
- 「検脈(脈拍の測定)」
- 「呼吸測定」
- 「血液検査」
- 「尿検査」
の他
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心臓の大きさや
厚みを評価する
「超音波検査(心エコー)」、
心臓の大きさや
肺に水が溜まっていないかを調べる
「胸部レントゲン検査」、
心拍数やリズムを測定して
不整脈がないかを確認する
「心電図検査」
などを行い
総合的に判断します。
触診では、
歯肉部分を指で押し、
指圧で白くなった歯肉部分が
元に戻るまでの
「毛細血管再充満時間」(CRT)を
評価する方法も
用いられます。
心不全の治療
後天的な心不全では
内科的治療が中心になりますが、
近年では
外科手術が選択されるケースも
増えてきました。
しかし、
心臓の手術は難易度が高く、
検査や入院、手術、
術後ケアなどを含めて
費用が
200万円以上になります。
内科的治療では
投薬によって
コントロールを行いますが、
状態によって使用する薬が
異なります。
例えば
血圧を下げて
心臓の負担を軽減する
「血管拡張薬」、
肺やお腹に溜まった
水分を排出させる
「利尿剤」、
心筋の動きを促進して
心拍出量を高める
「強心剤系薬剤」
などがあります。
進行して状態が悪くなるほど
薬も増えますので、
犬にとっても
飼い主さんにとっても
負担を少なくするためには
早期に治療を始めることが
重要です。
心不全の食事療法
ステージB2より、
血圧や水分量を上げないように
ナトリウムの軽度制限をすることが
一般的です。
ただし、
症状が出ていない段階であれば
過剰な塩分摂取を
避けるだけでかまいません。
人の食べ物は
犬にとって塩分や糖分、
脂肪分が多すぎますので、
健康な犬であっても
日頃から
与えないようにしてください。
症状が現れた場合は
獣医師の指示に従って
療法食を与えますが、
食いつきが悪い場合が多く、
食べないことで
栄養不足になっては
本末転倒です。
手作りごはんの場合は、
タウリンやカルニチンが不足すると
心不全を悪化させる
可能性があります。
必ず獣医師と相談しながら
食事管理を行ってください。
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犬の心不全の予後・余命
後天的な心不全を
完治させることは難しいのですが、
適切な食事や治療によって
状態を改善させたり、
進行を遅らせたりすることは
可能です。
僧帽弁閉鎖不全症で
心不全を発症した場合、
内科的治療によって
生存期間は
247日だったという
調査結果が報告されています。
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心不全の予防
肥満は血圧や心拍数、
心拍出量を高めて
心臓に負担をかけるため、
心不全の要因になります。
肥満は
さまざまな病気の原因になり、
犬の寿命を縮めます。
適切な体重管理を
心がけてください。
栄養では
オメガ3脂肪酸が
心臓の病気に有効だと
言われています。
サプリメントで
過剰に与える必要はありませんが、
オメガ3脂肪酸を多く含む
魚油を使った
ドッグフードなどを
与えるのはお薦めです。
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クリルオイルのEPA・DHAは吸収率が良く、
リン脂質結合型オメガ3脂肪酸のなので、
血液脳関門を通り抜けられます。
リン脂質は乳化剤(石鹸のような働き)として
オイルの吸収を促すため
体内への吸収率が良いのです。
※一般のEPA・DHAはトリグリセリド
(中性脂肪)という形で存在しています。
犬 猫 は亜麻仁油やエゴマ油など
αリノレン酸の分解酵素がなく
吸収が苦手と考えられていますが
クリルオイルは
ダイレクトにEPA・DHAを補給できるので
短期間で違いを
実感いただけることが多いようです。
<クリルオイル30粒>
心臓発作による突然死
心臓の病気というと
心臓発作をイメージする方も
多いと思いますが、
心臓発作は
一般的に心筋梗塞のことを指し、
犬ではまれです。
犬も心臓に
何らかの問題があれば
突然死してしまう
可能性はありますが、
心不全になった犬は
肺水腫によって
最期を迎えるケースのほうが
多いと言えます。
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まとめ
- 心臓疾患のほとんどは悪化すると
ぐったりする可能性がある - 病気の場合はぐったり以外の症状も見られる
- 年齢ごとに原因の傾向が変わってくる
- 普段から愛犬を観察し早期発見することが大切
犬の心不全は
シニア犬(老犬)で
よく見られます。
完治することは難しいですが、
適切な食事や運動、
治療によって
健康的な生活を
長く送れるようにすることは
可能です。
日頃から
健康的な食事や体重管理を心がけ、
定期的な健康診断で
問題を早期に
発見することが大切です。
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