犬の床ずれ予防!治療や対処法って?
公開日:2024/12/09 / 最終更新日:2024/12/09
犬の床ずれとは
マットや布団、
車椅子などと接触する部分の皮膚が
長時間、圧迫され続けて
血流が悪くなると、
皮膚や皮下組織、
筋肉などへ
酸素や栄養が行きわたらなくなり、
死んでしまった
状態になります。
これを医学的に
「褥瘡(じょくそう)」、
一般的には
「床ずれ」といいます。
皮膚がダメージを受けた箇所には
穴が開き、
皮膚の下の組織が
露出してしまいます。
この状態は
出血や感染を起こしやすく、
痛みなどの苦痛は
食欲や全身状態に
悪影響をおよぼします。
犬の床ずれの原因
人間の文献からの
引用ですが、
自分で寝返りが打てなかったり、
不調で
同じ体勢が続くことが
直接の原因となります。
尿や便によって
湿っていたり、
逆に
皮膚が乾燥していたりといった
状態が続くことも原因となり、
犬の場合も
ほぼ同様と言えます。
人と犬の違いとして、
犬の場合は
全身に被毛があるため、
それが
皮膚の保護になるメリットと、
感染源になる
デメリットの両方を考慮する
必要があることが挙げられます。
犬の床ずれができやすい部位
肩、肘、腰、かかとなど
筋肉が薄く、
横になった時に
骨が床に強くあたる場所が
床ずれのできやすい場所です。
寝ている姿勢の時に
身体の下面に手を入れてみて、
骨が出っ張っている箇所や
体重が強くかかっている部分が
注意すべき場所です。
クッション等で
圧迫を軽減するとともに、
皮膚の状態を
注意深く観察しましょう。
犬の床ずれの症状
- 「皮膚が赤くなる」
- 「ジクジクする」
- 「毛が分泌物でべたべたしてきた」
などの症状は
床ずれの始まりかもしれません。
毛を掻き分ける、
刈るなどで
皮膚の状態を
よく確認しましょう。
一晩で急に
床ずれが
発生することもありますので、
危険箇所の見極め、
観察、体圧の分散が必要です。
床ずれは化膿すると
周囲の組織にダメージを与え、
深く大きくなってしまいます。
皮膚の湿り気や汚染が
悪化を加速させるので、
清潔に保ちやすくするために
必要であれば
毛刈りをします。
化膿した場合は
抗生物質などの適切な使用が
必要となるので、
早めに
獣医師の診察を受けましょう。
犬の床ずれの治療法
基本的な考え方として、
床ずれは
できてから対処するのではなく、
できないように
予防することが大事だと
覚えてください。
できてしまった場合は
進行させないようにすることしか
できない事もあります。
身体の状態によっては
治せるものもありますので、
その場合の
基本的な治療法を紹介します。
清潔に保つために必要な処置
室内の清潔な場所で
管理しましょう。
湿度、温度、
換気のコントロールがしやすく、
こまめにケアできる場所が
望ましいので、
リビングなどの
家族が集まる場所が
お勧めです。
痛みに注意しながら、
可能であれば
床ずれよりひと回り大きく
毛を刈りましょう。
ぬるま湯で
傷の周囲を洗い流したら、
ガーゼやタオルなどで
押さえるようにして
しっかりと
水分を取り除きます。
傷の修復を促すための処置
体圧の分散など、
予防法を行なう事は
必須です。
その上で
傷が乾燥しないように、
また、
蒸れすぎないように
コントロールする必要があります。
(湿潤療法)
獣医さんの診察を受け、
塗り薬や貼り薬の処方があれば、
それに従って下さい。
家庭で
代用できるものとしては、
食品用のラップで
皮膚の穴を覆うようにし、
周囲をテープで固定します。
この時、
傷から出てくる
余分な体液は
逃す必要があるため、
周囲の一片は
テープで固定せずに、
開放しておきましょう。
分泌液が多い場合は、
ラップよりも
三角コーナー用の
穴あきのビニールを使って、
上からガーゼなど
水分を吸収してくれる
素材を当てておきます。
(母乳用のパッドがお勧めです)
ガーゼは濡れたら
こまめに取り替えましょう。
犬の床ずれの予防法
基本的に、
硬い物同士が当たる、
擦れることで
床ずれが発生するので、
それを和らげてあげる
パッドやクッションなどを当て、
一箇所に
圧力がかかるのを防ぎます。
この時、
皮膚が圧迫されて
血流が妨げられてしまうと
逆効果なので
注意が必要です。
オムツを活用して清潔に保つ
排泄物などで
身体が汚れた部位は
床ずれが
できやすくなってしまいます。
汚れたら
早めに洗い流す、
ふき取るなどをして、
清潔に
保てるようにしましょう。
特に大型犬は
寝たきりになると
全身のシャンプーが難しくなるため、
オムツやパッドなどを
上手に使い、
汚れが
最小限になるようにした方が
よいと思います。
オムツに
抵抗がある方も
いるかもしれませんが、
腰骨の床ずれを
防ぐ効果もありますので、
早くから
慣れさせておいた方が
いいかもしれません。
ただし、
オムツは
長時間付けっぱなしにすると
膀胱炎や皮膚炎の
原因となってしまいます。
1回の排泄を吸収できる
能力やサイズを選ぶこと、
排泄したら
早めに取り換えてあげることを
心掛けて下さいね。
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介護グッズの活用で明るく前向きに
かかと等の
擦れを防止するのに、
タオルを巻いたり、
靴下や
人用のリストバンドなども
役立ちます。
マットは
体圧の分散に役立ちます。
基本的に
少しの介助で
自分で寝返りを打てる場合は
高反発マットの方が
お勧めです。
床ずれを起こしてしまった箇所には
低反発クッションを
併用しましょう。
介護生活になると
食事も上手に食べられなくなり、
介助が必要となることが
多いです。
食べこぼしや粗相など、
汚れてしまう事も多くなるため
洗える
カバーがついているものや、
マット本体が
洗って乾燥させることができるものを
選ぶことも
ポイントの一つです。
カバーは
専用のものでなくても
代用できますが、
ズレてしまって
役に立たないなどの
ストレスを考えると
専用のもので
洗い、替えも用意できるといいですね。
最近は
ペット用の介護グッズも
バリエーションが増え、
可愛い柄のものなども
増えてきました。
暗くなりがちな
介護生活ですが、
少しでも明るく
前向きな気持ちで続けられるよう
モチベーションが
上がるものを選ぶのも
飼い主さんの
精神的な支えになるかもしれません。
体位変換はこまやかに
ワンちゃんによっては
好きな向きや
体位があるので、
せっかく体位変換しても
自力で
元に戻ろうとしてしまう子もいます。
どんなに優れた
介護グッズを利用しても、
体位変換を
こまめに行なうことが
前提となります。
右に倒れて寝るか、
左に倒れて寝るかの
2パターンではなく、
床面を起点にして180°
使えるのですから、
2~3°の変換でも
体圧の掛かり方を変える事が
可能です。
使用しているマットや
体重、体勢によっても
異なりますが、
床ずれ防止のためには
2~3時間ごとの
体位変換が望ましいです。
内臓は左右非対称ですので、
いつも同じ側に体重がかかると
内臓も血流が悪くなり、
機能の低下につながります。
自力で
身体を支えることができないため、
クッションや
丸めたバスタオルなどを
マットの下に入れて
身体を支えるように
補助しましょう。
変換の際、
背中を下にして
足を持って体位を変えるのは
内臓の負担や
背中の床ずれの原因となるため、
お勧めできません。
できるだけ手足を曲げ、
背中が上にくるような姿勢に戻した後、
(いわゆる「伏せ」の姿勢)
変換したい角度に
調節するようにしましょう。
この時、
余裕があって
ワンちゃんが嫌がらなければ、
手足の曲げ伸ばしや
マッサージなどを行えると、
むくみや関節が
固くなるのを予防できます。
関節が固まってしまうと、
体位変換も
限られた角度でしかできなくなるので、
早い段階から
取り入れられるとよいですね。
犬の床ずれは予防が大事です
床ずれは、
介護生活が始まると
必ずといっていいほど
多くのワンちゃんが
直面する問題です。
いったんできてしまうと
治すことは難しく、
予防することが
重要です。
床ずれの痛みは
ワンちゃんにとって
強いストレスとなり、
食欲低下や
睡眠障害にもつながります。
最終的には
こういった障害が
痴呆や夜鳴きなど、
飼い主への肉体的
精神的負担へもつながっていき、
介護の問題を
大きくしてしまいます。
体重の軽い
小型犬であれば、
女性1人でも
介助が可能ですが、
中型犬以上になると
家族の協力が不可欠です。
人間の場合もそうですが、
家族の
1人にだけ
大きな負担がかからないように、
家族全員が
チームとなって
できる事を協力し合えるよう、
日頃から
ワンちゃんを中心とした
コミュニケーションを
欠かさないようにすることが
大切です。
まとめ
動物を飼うということは、「生命を預かる」ということ
終生飼育はもちろんのこと、
病気や介護に関しても
最期まで苦痛なく
お世話をしてあげられる
覚悟があるか、
飼育を開始する時から自問し、
飼うと決めたのであれば
飼い主の責任を果たす決意を
最期まで
持ち続けて下さい。
そして、
介護に疲れた時には、
老犬ホームや
デイケアなどの施設や、
動物病院など、
一時的にでも
頼れる存在を利用しましょう。
介護は
頑張り過ぎると
続きません。
ワンちゃんとの
良い関係を保っていくためにも
1人で抱え込まず、
周囲の協力を求めましょう。
きっと良い理解者が
見つかりますよ。
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