犬の尿毒症!症状や、治療法は?

公開日:2024/10/31 / 最終更新日:2025/02/18
犬の尿毒症とは
飼い主さんの
予防意識の高まりや
獣医療の発展によって
ワンちゃんの寿命が伸び、
それに応じて
よく見られる病気も
変化しています。
慢性腎臓病もその一つで、
ステージ4の
末期症状として
尿毒症が見られることが
増えてきました。
犬の尿毒症とは、
腎不全の結果として
著しく体内環境が悪化し、
さまざまな症状が起こることを
ひとまとめに症候群として
扱った病気です。
慢性腎不全の
末期症状で見られるほか、
尿閉や、
(尿がまったく出ない状態のこと)
ユリやエチレングリコールなど
中毒物質の摂取によって起こる
急性腎不全でも見られます。
血液検査で
タンパク質を分解した後の
老廃物である尿素窒素や
筋肉で作られる老廃物の
クレアチニン濃度が
高くなるのが特徴です。
腎不全とは
腎臓は以下のように、
生命活動を維持するのに
必須の機能を
いくつも担っています。
- 水や電解質といったミネラルの代謝
- pHを一定の幅に保つ
- タンパク質の代謝物を体外に排泄させる
- 血液を作るためのホルモン産生
- 血圧を調整する
- 一部の薬剤の代謝を行う
そんな腎臓の機能が
なんらかの原因によって
重度に低下した状態を
「腎不全」と呼びます。
腎不全になると
老廃物や毒素のろ過や
排出が適切に行われず、
本来ならば排泄されるはずの
有害物質(血液尿素窒素など)が
全身を巡って
呼吸器や消化器、泌尿器、目、
血液、神経、免疫など
体のあらゆる場所で
さまざまな障害を起こします。
慢性腎不全の診断は、
3カ月以上持続する
腎障害やタンパク尿、
糸球体濾過量
(腎臓を通過する血液の量)の低下によって
診断されます。
犬の発症平均年齢は
7歳となっていますが、
必ずしもシニア犬(老犬)だけに
発生するものではなく、
若い犬でも
発症することがあります。
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犬の尿毒症で見られる症状
尿毒症の犬で見られる
主な症状は
以下の通りです。
数が多いですが、
腎臓が担っている
- 「タンパク質代謝」
- 「ミネラル代謝」
- 「水分の調整」
- 「赤血球を作る」
などの機能が
全て障害された状態と
考えていただければと思います。
- 食欲不振
- よだれ・無気力、ぐったりしている
- 下痢
- 嘔吐
- 血便
- 口臭(アンモニア臭)
- 口内炎
- 脈拍の異常(速い、遅い)
- 腎臓の触診で肥大、硬さ、痛み(圧痛)
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急性腎不全による
尿毒症では、
急激に腎機能が低下して
老廃物の血液中の濃度が
急上昇します。
急な食欲不振や
元気の消失で
飼い主さんの目に止まりやすく、
早期治療で
回復も少なくありません。
一方、
糸球体や尿細管といった
腎臓を構成する細胞は
壊死すると
新たに再生することはなく、
腎不全とそれに続発する
尿毒症のリスクが
高くなってしまいます。
特に
以下の症状は
生命の維持に必要な機能が
損なわれることで
起こりますので、
最終的に
多臓器不全となり
死に至ってしまいます。
- 痙攣(震え・発作)、昏睡などの神経症状が出る
- 乏尿もしくは無尿
- 知覚異常
- 貧血
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また、
シーズーはネフロンという
腎臓組織の低形成が
遺伝的にみられ(低形成腎)、
若い年齢でも
尿窒素血症の増加が
みられることがあります。

犬の尿毒症の予後
尿毒症が続くと
多臓器不全に陥って
死に至りますが、
急性腎不全の場合は
輸液や人工透析(腹膜透析)で
改善する可能性があります。
病院にもよりますが
定期的に実施する必要があり、
神経質で
どうしても暴れるワンちゃんでは
鎮静が必要な場合もあります。
一度死んでしまった
腎臓の細胞は
再生することがなく、
少し状態を持ち直すことは
可能でも
完全に健康体に
戻ることはありません。
生命維持に必要な機能が
無くなることで、
犬は
苦しい思いをします。
腎移植は
手術ができる動物病院も
ドナーも限られ
現実的ではありませんので、
最終的に
安楽死が選択される
場合もあります。
尿毒症は
腎不全や種々の腎機能障害による
末期の症候群のため、
何年も苦しむということはありません。
尿毒症まで発症した場合、
獣医師と相談して
犬の負担、飼い主さんの
経済的な負担を考えて
最期を決めることを
お勧めします。

犬の尿毒症の原因と治療法
尿毒症の多くは
腎不全によって起きますが、
シーズーなどで
遺伝的に
若くして起こることもあります。
腎不全は
慢性か急性か、
原因が何かを知る
必要があります。
治療は
腎臓の機能を維持するため、
脱水があれば
点滴をします。
定期的な通院や
手技を覚えて
自宅で
皮下輸液することもありますし、
日常的には
血管を拡張させる
お薬を与えたり、
腎臓療法食や
リンを吸着する
サプリメントを与えたり、
飲水量が増えるような工夫も大切です。
(水飲み場を増やしたり匂いづけをしたりなど)
貧血が重度の場合は、
血液を作ることを刺激する
ホルモン「エリスロポエチン」などを
投与することもあります。

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急性腎不全
急性腎不全の原因は
- 「腎前性」
- 「腎性」
- 「腎後性」
に分かれます。
腎前性
腎臓に問題がなくても、
なんらかの原因による脱水や事故、
血管肉腫の破裂による出血、
ショックや心臓病などで
循環血液量が減少
あるいは
血圧が低下すると
腎臓に行く血液が減り、
腎臓の組織に
ダメージが蓄積して起こります。
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腎性
犬の何倍も体重がある
人間用の薬も
犬には
毒性になることがあります。
有名なものでは
「アセトアミノフェン」や
「イブプロフェン」などの
風邪薬による中毒があります。
トイレの芳香剤に含まれることもある
エチレングリコールや
甘くて美味しい
ブドウパンなどの
腎臓の組織に障害を与える
中毒物質の摂取によっても
起こります。
腎後性
最初は
腎臓に問題がない状態ですが、
老廃物が入った尿を
排泄できずにいると
腎臓が物理的に圧迫されます。
細胞が障害されると
腎臓に血液が入りにくくなり、
血液の濾過量も減って
腎機能が低下します。
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犬の尿毒症の食事療法
急性腎不全の場合は
急激に老廃物の
血中濃度が上がるため
かなりしんどそうに見えることが多く、
食欲も全くない場合が
多いです。
そのため、
まずは点滴で
脱水や電解質を補正したり
腎臓の血管を
広げたりするなどの治療が
メインになります。
おしっこの産生不全まで
起こしている場合は、
排尿できるまでが
一つの山になります。
おしっこが出て
少し食べられるようになってきたら
腎臓への負担を減らすフードを
与えていきます。
タンパク質由来の
老廃物を減らすために
タンパク質は制限します。
ただし、
エネルギー摂取量が減ると
筋肉など
体の組織が代謝されて
エネルギー源に回され、
動物の体はどんどん
栄養状態が悪くなります。
療法食の構成をみると
エネルギーを補うため
脂質の割合が
高くなっているのがわかります。
手作りでは
エネルギー摂取量が
不足しないようにして、
筋肉量や
体の構成成分である
タンパク質が不足しない程度の
タンパク質を摂ります。
ただ、
タンパク質を構成する
アミノ酸の種類と量は
計算が難しいため、
手作りではなく
療法食を使うほうがベターです。
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高カリウム血症を併発している場合
高カリウム血症の原因は
さまざまですが、
尿毒症の際に
併発する場合があります。
特に
急性腎障害や慢性腎不全の末期で
おしっこが作られない場合や、
尿閉で
おしっこが出ない時に
血中のカリウム濃度が
高くなります(9.5mmol/L以上)。
高カリウム血症では不整脈が起こり、
高確率で死に至ります。
心電図では特徴的な波形が出ますが、
家で判断するのは難しいでしょう。
血中のカリウム濃度が高い状態は
救急の対応が必要です。
まずは
尿毒症の治療を動物病院で行い、
そこで
カリウムの補正も行います。
家では
ミネラルウォーターや野菜や果物など
カリウムが多く含まれるものは避け、
療法食など
獣医師の指示があったもののみを
摂るようにしましょう。

まとめ
- 尿毒症は腎不全の末期で見られる
- 遺伝で若い犬が発症する可能性も
- 急性であれば早期治療で回復する
- 多くの場合は最期の選択が必要になる
尿毒症は
腎臓の機能が低下する
さまざまな病気で起こり、
(慢性腎不全や急性腎不全など)
全身の体内環境が
著しく悪くなった
末期の状態です。
腎臓は
一度痛めると
再生して元に戻ることはありませんが、
飼い主さんが
進行をゆっくりさせるよう
日頃のケアをすることは
可能です。
慢性腎不全を
早期発見するには
定期的に
健康診断を受けることが大切です。
クレアチニンや
血液尿素窒素といった
従来の腎臓の状態をみる
指標のほか、
SDMAなど
鋭敏に腎機能不全を検出できる
バイオマーカーも
利用できるようになってきました。
犬種や基礎疾患、
年齢など
総合的に考慮して、
最適な健診項目を
かかりつけの先生と相談しながら
ケアしていきましょう。
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