犬の子宮蓄膿症!症状や、原因、予防法って?
公開日:2024/04/09 / 最終更新日:2024/04/09
犬の子宮蓄膿症を知る前に
発情サイクルを知ろう
最初に、
ワンちゃんの発情サイクルからです。
ワンちゃんの発情は、
- 「発情前期」
- 「発情期」
- 「発情後期(発情休止期)」
- 「無発情期」
に分かれます。
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発情前期
発情前期は
約14日と言われています。
この時期には
卵胞が発達し、
発情(卵胞)ホルモン
(エストロジェン)の分泌が
盛んになってきます。
外陰部が発達して
大きく分厚くなるとともに、
出血が始まります。
これがいわゆる「生理」です。
発情期
出血が徐々に少なくなってくると、
ワンちゃんは
発情期を迎えます。
この時期は、
交尾を許容する時期であり、
妊娠可能な
期間でもあります。
発情期は7日~10日くらいです。
発情後期(発情休止期)
発情期が終わると、
発情後期(発情休止期)が
約2カ月間続きます。
この時期は
妊娠期間と同じ長さであり、
妊娠していなくても、
ワンちゃんの体の中では
妊娠したのと同じような
変化が起こります(偽妊娠)。
乳腺が発達し、
お乳が出る事もあります。
また、
この時期に
ホルモンバランスを崩して
食欲や元気を無くす子もいます。
子宮に膿が溜まる
危険な病気「子宮蓄膿症」も、
この時期に起こる
可能性があります。
無発情期
発情後期が終わると、
無発情期が
約3~4カ月続きます。
この時期は
卵巣が活動を停止している
時期に当たります。
避妊手術をする場合には、
卵巣や子宮の
血管の発達が弱く、
出血のリスクが少ない
この時期に行うことが
すすめられています。
このように、
ワンちゃんは
発情前期~無発情期までを、
約6カ月のサイクルで
繰り返します。
そのため、
ワンちゃんの生理出血は
年に2回あります。
また、
ワンちゃんは
人と違って閉経がないので、
高齢になっても変わらず、
生理は一生続きます。
ただし、
徐々に出血量が減ったり
生理の間隔が
伸びたりするため、
年齢とともに
生理がわかりずらくなる事が
多いです。
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犬の子宮蓄膿症の症状
子宮蓄膿症は、
一般には
妊娠・出産の経験のない
5~7歳齢以上の
ワンちゃんによく見られます。
出産の経験があっても、
長時間繁殖を
中止している場合には、
やはり発症しやすくなります。
初期症状
症状は、
発情終了後、
数週から2~3カ月以内に
現れる事が多いようです。
初期の症状は、
飼い主さんが病気として
気にするほどのものではなく、
元気も食欲も
ほとんど異常が見られませんが、
時々食欲にムラがある程度です。
症状が進行した場合
子宮蓄膿症の症状が
徐々に進むと、
まず外陰部が腫れ、
発情には見られないような
臭いのきつい灰黄色の
膿汁や赤褐色の分泌物、
いわゆる
「おりもの」が
排出されるのが特徴的です。
ワンちゃんが
陰部を舐めたり、
寝床のシーツを
血膿で汚したりして、
初めて飼い主さんが気付きます。
子宮が膿で
大きく膨らんでくると、
外部からも腹部が膨れて、
垂れ下がったように見えます。
さらには
嘔吐が見られるようになり、
元気も食欲もなくなります。
また、
水を異常に飲みたがるので
尿の量も多くなります。
体温は
平熱よりやや高い程度の熱が
しばらく続き、
子宮に多量の膿汁が溜まったり、
膿汁が吸収されたりして
発熱し、
40度以上になる事もあります。
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危険な状態
子宮蓄膿症で
極めて危険な状態で
問題となるのは、
膿汁が吸収されて
汚れた血液が体中に回り、
敗血症からの
腎機能の低下や
ショック状態に陥り、
遂には
体温が平熱以下に下がるときです。
早期発見のポイント
陰部から
おりものが出ているにも関わらず、
ワンちゃんが舐めてしまって
症状の発見が
遅れてしまう事があります。
そのため、
生理が終わった頃から、
陰部の周りの被毛が
汚れていないか、
または
膿でガビついていないかなどを
見てみる事が
早期発見につながる事があります。
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犬の子宮蓄膿症の原因
子宮と外界との
連絡路である膣には、
健康であっても
大腸菌、レンサ球菌、ブドウ球菌などの
常在菌が存在しています。
ワンちゃんの発情期間は
2週間前後と
比較的長く続き、
発情期には
子宮の入り口である
子宮頸管が緩むため、
その期間が
長ければ長いほど
子宮内に細菌の侵入が
起こりやすくなります。
侵入した細菌が
子宮で増殖すると
炎症を起こして
膿ができますが、
発情期以外は
一般に
子宮頸管は閉じているため、
膿は外に出されず、
子宮内に溜まっていきます。
普通は、
子宮に細菌が侵入しても
免疫の働きで
撃退できるのですが、
ホルモン作用が
アンバランスだと
細菌が増殖してしまいます。
発情ホルモンと黄体ホルモン
発情と排卵、
妊娠には各種の性ホルモンが
複雑に関与しています。
発情期には、
発情(卵胞)ホルモン
(エストロジェン)の分泌が
盛んになるとともに、
適当量の黄体ホルモン
(プロジェステロン)も分泌されて、
発情徴候が現れます。
発情期がおさまり、
黄体期に入ると
黄体ホルモンの分泌が
増加します。
一般に黄体ホルモンは
子宮内膜の環境を整えて
受精卵の着床を助けるため、
子宮内膜上皮の増殖と
子宮内膜の腺の分泌を
もたらします。
発情ホルモンは、
妊娠すると消失します。
ところが
黄体ホルモンは
妊娠をしなくても
発情が終わってから
2カ月以上にわたって
長期的に分泌されている事が
あります。
そして、
子宮内の組織に
長い間作用し、
嚢胞と呼ばれる
組織の増殖を
起こすようになります。
この事が
侵入して来た細菌への
抵抗力の低下につながり、
細菌が増殖しやすい環境を
作ってしまう事になるのです。
自然交配の時代と違い、
交配を
飼い主が管理する現代では、
発情があっても
交配をさせない事が
多くなっています。
妊娠を避ける事を
繰り返していると、
子宮蓄膿症を
招きやすくなります。
また、
高齢になって
ホルモンバランスが崩れる
原因になります。
犬の子宮蓄膿症の検査・診断方法
子宮蓄膿症の症状が
見られる場合、
以下の手順で
検査・診断を行います。
- 問診
- 身体検査
子宮蓄膿症は、腹部の触診によって
膿の充満した子宮を触る事もできますが、
多くの場合、子宮は破れやすくなっており、
破裂する可能性があります。
破裂すると腹膜炎を起こし、
死亡する事があります。
触診時はもちろんですが、
診察台へワンちゃんを抱き上げたりするときにも
お腹の圧迫には十分注意が必要です。 - 血液検査
- X線検査
- 腹部超音波検査
- 細菌学的検査
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犬の子宮蓄膿症の治療・予後
子宮蓄膿症の
最も最善な治療法は、
外科的に
卵巣と子宮を同時に
摘出する事です。
しかし、
若齢期に発症して
今後繁殖を行いたい場合や
高齢、
麻酔手術のリスクが高い場合、
飼い主さんが手術を
希望しない場合には、
内科的治療を
適用する事が可能です。
ただし、
内科的治療は
治癒に時間がかかること、
必ずしも
100%の治癒率ではなく、
卵巣腫瘍または
重度な
嚢胞性子宮内膜増殖を
伴ったものでは
効果が見られない事があること、
治癒したワンちゃんは、
発情回帰後の黄体期に
本疾患を高い確率で
再発する可能性が高いことなどの
問題点があるため、
注意が必要です。
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子宮蓄膿症の初期治療
本疾患の
初期治療に際しては、
適切な抗生物質の投与
および
輸液療法の併用が必要です。
特に
抗生物質においては、
外科的治療および
内科的治療のいずれにおいても
広域スペクトルを有するものを
使用するのが
一般的ですが、
可能であれば
細菌学的検査を行い、
感受性のある
抗生物質を確認することが
推奨されます。
ちなみに、
最も一般的な細菌は、
ワンちゃんも猫ちゃんも
大腸菌である事が
知られています。
子宮蓄膿症の外科的治療
最善の治療方法は
外科的な治療だと思いますが、
飼い主さんには
外科的治療と、
内科的治療法の利点および
問題点を十分に理解した上で、
治療方法を選択して
いただきたいと思います。
子宮蓄膿症では
重篤な
全身状態になっている事が多く、
一般的に行われる
避妊手術よりも
細心の麻酔管理と
術前術後の管理が必要となります。
術前に脱水の見られる
ワンちゃんには
補液を行い、
電解質異常も
必ず補正しておく
必要があります。
また、
抗生物質を
全身的に投与します。
貧血や低蛋白血症となっている
場合には
輸血を行わなければなりません。
術中は
血圧の低下に十分注意して、
子宮蓄膿症では
体温低下が起こりやすいので、
輸液のラインを温めたり、
湯たんぽなどを用意したりして
保温します。
手術が無事終了しても
すぐに安心はできません。
細菌が一度放出した
エンドトキシン
(細菌が産生する内毒素)によって、
術後に体温が低下したり、
血圧が低下したりして
ショック状態に陥ることが
あるからです。
手術後も頻繁に
体温や血圧、脈拍、呼吸状態などを
チェックすることが大事です。
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子宮蓄膿症の内科的治療
内科的治療法として、
主に以下の3つが挙げられます。
- 適切な抗生物質の投与
- 輸液療法
- 制吐剤(必須ではないが、使用する事が多いです)
ワンちゃんによって
重症度はさまざまなので、
全身状態、
血液検査などの結果から
他の薬剤を
追加する事もあります。
本疾患の発症に
黄体から分泌されるプロジェステロン
(黄体ホルモン)が
関与していることから、
黄体退行作用を持つ
「プロスタグランジンF2α」
(PG)が主に使用されています。
しかし、
PGは副作用が強く現れるため、
海外で市販されている
副作用のない
プロジェステロン受容体拮抗薬である
「アグレプリストン」
(アリジン)による
内科的治療が注目されています。
アリジンは、
現在世界で市販されている中で
最も安全な
ワンちゃんの
人工妊娠中絶薬として知られており、
着床前のワンちゃんに
投与されたとき、
副作用なく
100%の着床阻止を行う事が可能な
薬剤です。
これを
子宮蓄膿症の
ワンちゃんに投与する事で、
子宮内環境を黄体期から脱し、
細菌の増殖を抑制し、
プロジェステロンの支配を受けていた
子宮頸管を弛緩させることで
排膿を促し、
治癒過程をとることができます。
また、
PGと比較して
副作用が全くないという事が
最大の特徴ですが、
その他の作用も
有していないため、
心疾患のあるワンちゃんや
閉鎖性子宮蓄膿症のワンちゃんにも
投与する事が可能です。
ただ治癒したワンちゃんは
発情回帰後の黄体期に、
本疾患を高確率で再発する
可能性が高い事などの
問題点があるため、
注意が必要です。
犬の子宮蓄膿症の予防法
子宮蓄膿症の予防法は、
ワンちゃんの
自然な発情周期に従って
妊娠・出産させることです。
繁殖を望まないのであれば、
避妊手術を受けておくことが
予防につながります。
子宮や卵巣を摘出すると
ホルモンの影響で
脂肪がつきやすくなり、
肥満がみられるようになります。
食べ過ぎや
運動不足に注意して、
太り過ぎないように注意が必要です。
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犬の子宮蓄膿症に良い食生活
子宮蓄膿症に限らず、
日頃から
いい食生活を心がけること、
腸内環境を
きれいにすることが大事です。
なるべく
小分けにされたドライフード
(開封したら2~3日でなくなるような
小さいサイズ)を選んで
少しでも
酸化が少なくできるようにしたり、
大きいサイズであれば、
ジプロックなどに
小分けに移し替えて
冷蔵庫に保存するのも
いいかもしれません。
また、
手作り食(栄養バランス要注意)に
シソ油やエゴマ油をかけたり、
ブロッコリースプラウトを
加えたりしてみてもいいかもしれません。
また、
腸内環境をきれいにすることで、
免疫バランスや
アレルギーを調節する働きが
期待されます。
現代の食生活に必須の
アルファリノレン酸を多く含んだ
希少な油です。
健康しそ油(食用えごま油)
しそ油&えごま油
しそ油には、
脂肪を減らしたり、
コレステロールを下げたりする
働きがあります。
それにより、
動脈硬化、心筋梗塞、
脳梗塞などの
予防につながります。
また、
なめらかで
柔らかい肌を保つ
効果もあります。
保湿効果があるので、
肌の健康を守るほか、
傷の治療にも役立ちます。
健康な肌を維持しようとする
作用もあり、
アトピーや花粉症、
アレルギーにも効果があるとされています。
しそ油には
脳の機能を保ち、
正常化する効果もあります。
認知症やアルツハイマーなどの
疾患にも
効果があると言われています。
他にも、
喘息や気管支炎の緩和、
湿疹の改善、不眠症の改善、リウマチ改善、
うつ病改善、関節炎の改善などがあると
されています。
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ブロッコリースプラウト
ブロッコリースプラウトには、
カルシウム、ミネラルといった
6大栄養素とともに、
豊富な食物繊維が含まれています。
特に多くの
含有量を誇るのが
スルフォラファンという成分です。
抗酸化作用による
癌予防効果や
免疫力の強化などが期待できます。
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まとめ
犬の子宮蓄膿症にならないように
繁殖の予定がなければ避妊手術で予防を!
子宮蓄膿症は、
およそ10カ月齢以上の
性成熟した雌犬であれば
どの年齢でも患う可能性はあり、
5歳齢以上で多く見られます。
膿汁が吸収されて
汚れた血液が体中に回り、
敗血症からの
腎機能の低下や
ショック状態に陥ることもあります。
子宮蓄膿症の予防法は、
ワンちゃんの自然な
発情周期に従って
妊娠・出産させることです。
繁殖を望まないのであれば、
避妊手術を受けるようにしてください。
PR
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