犬の口唇炎!症状や原因、治療法って?

公開日:2025/01/09 / 最終更新日:2025/03/06
犬の口唇炎とは
犬の唇に炎症が起こる病気を
「口唇炎」
(こうしんえん)と呼びます。
炎症が口の中で起きれば
「口内炎」、
歯肉で起きれば
「歯肉炎」と呼びます。
口唇炎は
犬ではよく見られ、
細菌感染や
アレルギーなどが原因になります。
炎症の種類
あごの炎症には
- 「ざそう」
- 「せつ」
- 「よう」
という
3つの種類があり、
犬では「ざそう」「せつ」が
多く見られます。
ざそう
毛穴がポツポツと腫れている状態。
いわゆる「にきび」
せつ
ざそうが悪化して膿が溜まった状態(膿庖)。
いわゆる「おでき」
よう
せつが悪化して複数の毛穴がまとまって
腫れ上がった状態。
口唇炎は
痛みや痒みを伴うため、
犬が自分の足で掻いて
なかなか治らなかったり、
余計に悪化したりすることが
少なくありません。
口唇炎で見られる症状
犬は口唇炎になると
炎症によって
上唇や下唇、
また行動にも
以下のような変化が見られます。


犬の口唇炎の原因と治療法
口唇炎の原因は大きく
- 「感染症」
- 「アレルギー」
- 「不正咬合」
の3つに分けることができます。
痛みや痒みを伴う状態は
犬にとってストレスで
生活の質を下げるため、
早めに
動物病院へ行って
治療を始めるようにしてください。
他にも
好酸球性肉芽腫や
遺伝的要因(解剖学的理由)により
起こることもわかっています。
感染症
犬の口の周りは
皮膚が薄いため
傷ができやすく、
細菌やウイルスが入り込むことで
炎症が起こります。
傷ができる原因として
家具にぶつけたり、
散歩中に木の枝や
トゲで切れたりするケースが
考えられますし、
乾燥によって
切れることもあります。
細菌が入り込む原因として
接触性の口内炎など、
口腔内の細菌が
関与しているケースも
見受けられます。
治療は
傷口を綺麗にして
乾かさないように
ワセリンを塗り、
化膿している場合は
抗生物質を投与します。
菌や寄生虫によって
炎症が起こる場合もあります。
真菌では
皮膚糸状菌やマラセチア、
寄生虫では
疥癬(ヒゼンダニ)や
毛包虫などが原因になります。
治療は
原因ごとにシャンプー療法や
駆虫薬の投与などを行います。
アレルギー
アレルギーの場合は
- 「接触性」
- 「食事性」
- 「環境」
に分けられます。
接触性では
植物やシャンプー剤などの
化学薬品や
食器に触れることで
発症しますので、
原因物質を取り除くことで
改善します。
食事性では
普段のごはんに
アレルギー物質が
含まれていることが原因で
口唇炎が起きている
可能性があります。
環境は
環境中のアレルゲン、
いわゆる
アトピーが原因で起こることも
知られています
症状が出ている場合や
予防したい場合は
アレルギー検査を
お勧めしますが、
検査で陽性が出たからといって
あれもこれも
食べさせないというのは
食の選択肢を
狭めることになりますので
やめましょう。
原因食材の特定は
「除去食試験」で行われます。
除去食試験は
時間と労力がかかりますので、
症状が軽ければ
疑わしい食材が含まれない
ごはんに変えて
様子を見てみるのもいいでしょう。
タンパク質が
アレルゲンになりますので、
原因となる
タンパク源をあげない方法や
「加水分解」といって
タンパク質の分子量を小さくして
アレルゲンにしない
方法があります。
最近では
アレルゲンがタンパク源だけに
限らないことも
わかってきています。
除去食試験で
全ての食材を
試せるわけではないため
原因を特定することは難しく、
まずは
症状が軽減できる
食事を探すことが
目標になります。
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不正咬合
犬にも
人間と同じように
「噛み合わせ」があり、
遺伝や成長の変化で
不正咬合が
見られる場合があります。
理想は
上の前歯が
下の前歯より
少し前に出ている
「シザーズバイト」
(鋏状咬合)という状態ですが、
噛み合わせが悪いと
歯が歯肉や唇に当たって
炎症を起こす場合があります。
刺さらない長さに
歯を切る選択肢もありますが、
露出した歯髄の処置を
適切に行う必要があるため
歯科治療に
力を入れている病院でなければ
抜歯が選択されます。

犬の口唇炎と似た病気
口唇炎以外に
口の周りに起こる病気として
「乳頭腫」と「メラノーマ」が
挙げられます。
乳頭腫
乳頭腫は
皮膚にできる
カリフラワーのような
ピンク色のできものです。
子犬など
若い犬で多く見られる乳頭腫は
「パピローマウイルス」
(乳頭腫ウイルス)によるものが多く、
シニア犬(老犬)では
非ウイルス性で
原因は
明確になっていません。
ウイルス性の場合は
他の犬や人に
感染する可能性があります。
どちらも
良性の腫瘍であることが多く、
非ウイルス性で
生活の質に影響がある場合は
切除します。
ウイルス性の場合は
数カ月で自然治癒しますが、
口にできる乳頭腫は
悪性化しやすく
「扁平上皮癌」に
(へんぺいじょうひがん)
進行する可能性があります。
関連記事
犬の乳頭腫!悪性の可能性って?
メラノーマ
唇に
黒いできものがある場合、
「メラノーマ」という
(悪性黒色腫)
口腔腫瘍の
可能性があります。
歯肉に
発生することが多く、
口唇や頬粘膜、
まれに
舌に発生することもあります。
見た目では
悪性か判断できないため、
早期に診断することが
重要です。
関連記事
犬のメラノーマ(悪性黒色腫)!なりやすい犬種や症状は?

犬の口唇炎の予防法
炎症を防ぐために
日ごろより
口の周りを
清潔に保つようにしましょう。
特に
口の周りに毛が多い犬種
- トイプードル
- ミニチュアシュナウザー
- ヨークシャーテリア
- シーズー
- マルチーズ
など
皮膚が垂れ下がった犬種
- ブルドッグ
- セントバーナード
- シャーペイ
など
細菌が繁殖しやすいため
注意が必要です。

まとめ
- 口唇炎は唇に炎症が起こる病気
- 痛みや痒みを伴い自分で掻くと治りが悪い
- 犬にとってストレスで生活の質を下げる
- 早期発見・早期治療が大切
犬の唇に
炎症が起こる病気で、
細菌感染や
アレルギーなどが
原因になります。
痛みや痒みを伴うため、
犬が自分で掻いてしまうと
治りが悪くなります。
犬にとってストレスで
生活の質を
下げる可能性があるため、
異変を感じた場合は
なるべく早く
病院に行くようにしてください。

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