犬の前立腺肥大!初期症状や原因って?
公開日:2024/08/07 / 最終更新日:2024/08/07
犬の前立腺肥大とは
前立腺とは、
オス犬の肛門の
すぐ内側にある臓器で、
精液に含まれる液体を
生成することから
副生殖器に分類されます。
この前立腺が
通常より大きくなった状態を
「前立腺肥大」
(良性前立腺肥大症)と呼びます。
前立腺肥大は
去勢手術をしていないシニア犬(老犬)が
高確率で発症しますが、
ほとんどの場合は
大きな問題になりません。
前立腺が大きくなりすぎると
排尿・排便に問題が生じ、
前立腺炎や前立腺嚢胞など
以下のような前立腺疾患を伴う
場合があります。
- 感染性
前立腺炎 前立腺膿瘍 - 非感染性
前立腺嚢胞 前立腺腫瘍
前立腺肥大は
睾丸から出る
男性ホルモンによって
起こることから
去勢済みの犬では起こらず、
(※前立腺腫瘍の場合は除く)
治療も
去勢手術が最も有効です。
繁殖を考えない限り、
早めの
去勢手術をお勧めします。
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犬の前立腺肥大の症状
前立腺肥大が起こると、
初期症状として
排尿の問題が見られます。
これは前立腺が
尿道の途中にあるためです。
前立腺が尿道を圧迫することで
尿が出にくくなり、
少量の排尿を何回もする
頻尿が見られます。
尿道が完全に閉じてしまう
尿道閉塞になれば
命の危険性もありますが、
前立腺肥大によって
閉塞まで至ることは
めったにありません。
ただし、
尿が出にくくなることで
膀胱炎になる可能性はあり、
腎盂腎炎(じんうじんえん)から
尿毒症まで進んでしまうと
予後は良くありません。
前立腺の上には大腸(結腸)があり、
前立腺の圧迫によって
「しぶり」(排便ポーズを取るものの
便が出てこない状態)など
排便の問題が
起こる場合もあります。
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他にも
以下のような症状が
見られる可能性があります。
- 頻尿
- 血尿
- 便秘やしぶり、長期化で下痢や血便
- 腹痛
- 動くのを嫌がる
- 後ろ足を引きずる(跛行)
血尿や腹痛は
さまざまな病気でも見られますが、
尿に血が混じった
血尿なのか、
排尿に伴って血が垂れる
血尿なのか、
下痢や血便が1回なのか
長期なのかなど
同じ「血尿」「血便」でも
実際は様子が異なります。
便を病院に持参したり、
排尿、排便の様子を観察して
伝えていただくことで、
診察がスムーズに行なえます。
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前立腺肥大に伴って起こる病気
前立腺の肥大に伴って、
膀胱炎などの合併症や
感染性・非感染性の
前立腺疾患が起こる場合があります。
前立腺炎
前立腺肥大の際に起こる
代表的な二次疾患で、
前立腺の細菌感染によって
血尿や発熱、
食欲不振などが見られます。
抗菌剤を投与して
治療します。
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前立腺嚢胞・前立腺膿瘍
前立腺炎が進行すると
体液や血液などの分泌液が溜まった
一つ以上の「嚢胞」(のうほう)ができ、
血尿が見られるようになります。
嚢胞に膿が溜まると
「膿瘍」(のうよう)となり、
炎症が全身に広がる
非常に危険な状態
(敗血症)になります。
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前立腺腫瘍
前立腺腫瘍は
犬ではまれですが、
前立腺肥大が遠因になる
可能性があります。
前立腺腫瘍は転移率が高く、
予後は良くありません。
会陰ヘルニア・鼠径ヘルニア
前立腺の肥大によって
筋肉の隙間に
腸が入り込んでしまったり(会陰ヘルニア)、
肛門から腸が押し出されてしまったり
(鼠径ヘルニア・脱腸)することがあります。
肛門の周りが盛り上がったり、
肛門の位置がズレたりして
見た目にも気づきやすい
病気です。
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犬の前立腺肥大の原因
前立腺は
睾丸で生成される
テストステロンなどの
男性ホルモンによって制御され、
精液に含まれる液体を
生成しています。
そのホルモンに乱れが生じると
前立腺の細胞が異常増殖し(過形成)、
肥大が起こります。
前立腺肥大は
去勢していない
すべてのオス犬で起こる
可能性がありますが、
ホルモンの乱れが生じる理由は
明確になっていません。
基本的には
去勢していないシニア犬(老犬)で
見られる病気ですが、
早ければ
6歳前後で見られる
場合もあります。
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犬の前立腺肥大の治療法
前立腺肥大の検査は
体を触って痛みや
しこりがないかを確認する触診や、
肛門から指を入れて
肥大がないかを確認する直腸検査、
尿検査、血液検査、X線検査(レントゲン検査)や
超音波検査(エコー検査)による
画像診断などを行います。
確定診断は
前立腺の組織を採取する
生検によって行います。
前立腺肥大で
最も有効な治療法は去勢です。
睾丸を取り除くと
男性ホルモンの分泌がなくなるため
前立腺は収縮し、
数週間で
正常な大きさに戻ります。
前立腺炎や
前立腺嚢胞が見られる場合は、
抗菌剤や
抗炎症薬などを投与します。
繁殖犬や
ご家庭での繁殖を望む場合は、
薬剤などを使ったホルモン療法で
前立腺の肥大を抑える
方法もあります。
黄体ホルモン薬や
ステロイド受容体拮抗薬などは
精子に
悪影響を与える可能性があるため、
繁殖の予定がある場合は
使用してはいけません。
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まとめ
- 前立腺肥大は未去勢の高齢犬で起こる病気
- 初期症状として排尿の問題が起こる
- 繁殖の予定がなければ去勢が最も効果的
- ホルモン療法を行う場合は薬の種類に注意
前立腺肥大は
去勢していない
ほとんどのシニア犬(老犬)で起こります。
発症しても多くは
大きな問題になりませんが、
前立腺炎や前立腺嚢胞など
前立腺の病気を併発する
可能性があります。
初期症状では
排尿の問題が見られますので、
異変を感じた場合は
早めに
動物病院へ行くようにしてください。
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