犬の前立腺癌!症状や原因って?
公開日:2024/08/13 / 最終更新日:2024/08/13
犬の前立腺癌とは
前立腺とは、
オス犬の肛門の
すぐ内側にある臓器で、
精液に含まれる液体を
生成することから
副生殖器に分類されます。
この組織が機能を失って
異常増殖し癌化するのが
「前立腺癌」です。
犬では
非常にまれな病気ですが、
シニア犬(老犬)で
多くなります。
前立腺にできる腫瘍は
悪性であることが多く、
- 「移行上皮癌」
- 「扁平上皮癌」
- 「平滑筋肉腫」
などの場合もありますが、
最も多いのが
「前立腺癌」です。
前立腺癌は浸潤(※)
転移の可能性が非常に高く、
発見できても
すでに転移が進み
予後不良であることが
少なくありません。
※浸潤(しんじゅん)
がん細胞が周りの組織を壊しながら、
水がしみ込むように拡大していくこと。
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前立腺癌の好発犬種
前立腺癌の発症に
犬種の違いはなく、
どの犬でも
なる可能性があります。
ただし
メス犬には前立腺がないため、
メス犬が
前立腺癌になることはありません。
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犬の前立腺癌の症状
前立腺癌になると、
初期症状として
排尿の問題が見られます。
これは前立腺が
尿道の途中にあるためです。
前立腺が
尿道を圧迫することで
尿が出にくくなり、
少量の排尿を何回もする
頻尿が見られます。
尿道が完全に閉じてしまう
尿道閉塞になると
尿毒症によって死に至ります。
前立腺の上には
大腸(結腸)があり、
前立腺の圧迫によって「しぶり」
(排便ポーズを取るものの便が出てこない状態)など
排便の問題が
起こる場合もあります。
他にも
以下のような症状が
見られる可能性があります。
- 排尿障害
- 血尿
- 排便障害(しぶり)
- 血便
- 腹痛
- 体重減少
- 食欲不振
- 痛みで鳴く
- 元気がない・ぐったりしている
前立腺癌は
転移する可能性が多く、
末期では
転移した場所に応じて
上記以外の全身症状が
起こるようになります。
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犬の前立腺癌の原因
前立腺癌ができる原因は
明確になっていませんが、
遺伝的素因や
環境的要因が関係している
可能性があります。
環境的要因では
感染症や発がん性物質の摂取
(食事、タバコの煙、大気汚染、薬剤など)、
紫外線の曝露や
免疫機能の異常などが考えられます。
前立腺肥大の場合は
男性ホルモンが関与しているため
去勢手術が有効な
予防法・治療法ですが、
前立腺癌は
ホルモンを原因としないため
去勢手術の有効性は
確認されていません。
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犬の前立腺癌の治療法
前立腺癌の診断では、
血液検査や尿検査と共に
X線(レントゲン)、超音波(エコー)、
CT、MRI検査などの画像検査を行い、
前立腺の大きさや
左右の対称性、
石灰化の有無を調べます。
細胞を採取する針生検は
移行上皮癌だった場合、
転移のきっかけ(播種)になるため
画像診断が優先されます。
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治療は
「外科手術」や「放射線治療」を
状況に応じて選択します。
尿道の閉塞が起きている場合は
前立腺の全摘出によって
改善が見込めます。
浸潤の可能性が高い場合は
尿道の大部分や膀胱など
広く組織を摘出することもあります。
抗がん剤(化学療法)は
有効性が確認されていません。
一方、
近年の研究で
免疫療法が生存期間を延ばすのに
有効であったとする
報告が出ています。
放射線治療
前立腺癌の犬に
放射線治療を行った事例では、
生存期間の中央値と平均値が
それぞれ114日と196日で
有効性が確認されています。
しかし、
放射線治療は
実施できる病院が限られ、
麻酔を使った
複数回の処置が
必要になります。
麻酔や副作用、
通院など犬への負担、
手術費用が高額になるため
飼い主さんの
経済的な負担も考慮する
必要があります。
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まとめ
- 前立腺癌は犬ではまれな病気
- シニア犬で多く見られる
- 悪性度が高く予後は良くない
- 早期発見・早期治療が大切
犬の前立腺癌は
転移や再発の可能性が高く、
診断された時点で
余命は長くない病気です。
しかし、
早期に発見することができれば、
生存期間を延ばし
体の負担を減らすための治療が
行えます。
特に
シニア期になってからは
定期健診を欠かさず、
愛犬の異変を感じた場合は
できるだけ早く
かかりつけの獣医師に
相談するようにしてください。
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