犬の分離不安って?

公開日:2021/10/12 / 最終更新日:2023/05/30
犬の分離不安とは
犬の「分離不安」とは、
犬が愛着を抱いている対象の、
飼い主や他の犬と離れることにより、
強い不安や恐怖などを感じて
精神的パニックを起こすことです。
起こる場所としては
自宅が多いですが、
ペットホテルやトリミングサロンなどでも
起こり得ます。
分離不安にも、
程度の弱いものから強いものまであり、
程度が強いものでは、
さまざまな問題に発展する
きっかけになります。

犬の分離不安の症状
分離不安の症状はさまざまで、
鼻鳴きを短時間続ける程度から、
我を失うほど
極度のパニックになるケースもあります。
体調の変化を伴う場合もあります。
よく見られる犬の分離不安の症状
- 何時間も激しく鳴き(吠え)続ける
- 家の中を動き続け、暴れ回る
- 物を破壊する
- ケージから脱走する、家から脱走しようとする
- 足や尻尾を舐めたり噛んだりの自傷行為をする
- トイレ以外の場所の至るところで粗相をする
犬の分離不安の症状がひどいケース
- 留守番の度に嘔吐や下痢といった体調の変化が起こる
- 暴れて家の壁に大穴を空けたり、
ソファーをボロボロにしたりする - ハウス内で暴れ、鼻先や顔周りをぶつけたり、
爪が剥がれたりして流血する - ケージを破壊しようとして歯が折れる
- 毛が抜け落ちて皮膚も破れ、
肉が見えるくらいまで前足を舐めたり噛んだりする

犬の分離不安の原因
犬が分離不安になる
主な原因として、
飼い主など特定の対象への
過度な愛着形成が挙げられます。
重度の場合、
何らかの身体的疾患も
かかわっている可能性もあるため、
獣医師の診察を受けるようにしましょう。
- 子犬期に、親兄弟と早く引き離されたことによる、不安傾向
- 子犬の頃から1匹だけになる経験の不足
- 社会化トレーニング不足等による不安傾向
- 引っ越し後など、場所に慣れていない環境的要因
- トレーニングの未実施による、
一人でリラックスできない状況 - 飼い主の愛犬への過保護・過干渉による、
一人でリラックスできない状況 - 不安を強める何らかの疾患
犬の生まれもった気質も、
個体差として関係しています。

犬の分離不安の治療・対処法
軽度の場合は、
飼い主さんによる
トレーニングを行うことで
改善していくこともありますが、
悪化させることもあります。
専門家の指導を受けるように
することをお勧めします。
良く行われるトレーニングについて
お伝えします。

クレートトレーニング
クレートを安心できる
大好きな自分の部屋にすることで、
飼い主と離れる
不安な気持ちをかなり軽減できる
可能性があります。
- 「飼い主と離れること」
- 「一人で過ごすこと」
に慣れさせていくことが大切です。
クレートトレーニング方法
- 普段の生活空間にキャリー/
クレートの扉をあけて(扉を外して)設置し、
自由に出入りできるようにする。 - キャリー/クレートの中におやつを入れ、
自分からオヤツを取りに行かせる
※Point
無理に中に入れないように気を付けましょう。
はじめはハウスの手前にオヤツを置くことがコツです。 - 警戒心がなくなるまで、2を何回も繰り返す。
- おやつの置く位置を徐々に奥の方にして、
全身が入るようにする。 - 無理なく全身が入るようになったら、
キャリー/クレートの中でくるっと回って、
出てこようとする時(出入口から顔を出した時に)
オヤツを与える。 - 『ハウス』と声をかけて、おやつを投げ入れて、
取りに行かせるようにする。
これを繰り返し、おやつを手に持ち
『ハウス』と言うと勝手にハウスに入るようになったら、
次のステップへ進む。 - 『ハウス』の指示と誘導で、
キャリー/クレートに入ったら、
飼い主さんがハウスに近づき、おやつを投げ入れる。
オヤツを食べたら『オイデ』で呼び
もう一つオヤツを与える。 - 『ハウス』の指示と誘導で、
ハウスに入ったら、飼い主さんがハウスに近づき、
手からおやつを与える。
オヤツを食べたら、『オイデ』で呼び
もう一つオヤツを与える。 - 『ハウス』の指示と誘導で、
キャリー/クレートに入ったら、中でマテのトレーニングをし、
マテができたらハウスに接近し、
手からオヤツを与える。
オヤツを食べたら、『オイデ』で呼び
もう一つオヤツを与える。 - マテをしている間に、扉の開け閉めを行い、
オヤツを与える。
オヤツを食べたら、『オイデ』で呼び
もう一つオヤツを与える。
※各ステップで唸る様なら練習を中止し、
前のステップに戻りましょう
※Point
クレートで一人にさせる間は、
飼い主の匂いのついた衣服や
タオルなどを置いたり、
嗜好性の高いおやつを使った知育オモチャ、
長持ちするアキレスなどを用意すると、
愛犬も安心しやすくオススメです。

「マテ」のトレーニング
「マテ」のトレーニングは、
直接的には
分離不安へのトレーニングとはなりませんが、
続けることで
飼い主さんとの信頼関係も強くなり、
愛犬に自信がつくことで、
精神的にも安定していきます。
「マテ」のトレーニング方法
マテの練習は、
はじめから
マテを教えないことが大切です。
- 犬にオスワリを教える。
- オスワリを指示して、
座ったらすぐにおやつを与えて褒める。 - オスワリを指示して、
座ったら1秒後におやつを与えて褒める。 - オスワリを指示して、
座ったら3秒後におやつを与えて褒める。 - オスワリを数秒維持できるようになったら、
徐々に時間を伸ばしていく。 - オスワリを指示して、10秒くらいオスワリの姿勢を
維持できるようになったら、
「マテ」の練習をはじめる。 - オスワリを指示した後に
「マテ」と声をかけ、手を伸ばし手の平をみせ、
マテのハンドサインを示す。
10秒そのまま維持できたらおやつを与えて褒める。 - オスワリ、マテをかけた状態で、
半歩後ろに下がってすぐ戻る。
犬が動かずに待てることができたら、おやつで褒める。 - その後、1歩動く、2歩動くというように、
失敗させないように
徐々にマテのレベルを上げていく。
※Point
「マテ」は失敗させないことが大切です。
失敗したら成功できるレベルまで、
レベルを下げましょう。
愛犬の気質や
家の環境によっても
トレーニングの方法は変わってくるため、
それぞれに合った方法を取らないと、
逆効果になる場合もあります。
獣医師に投薬治療を勧められるほどの
重度の分離不安症の場合もあります。
性格や環境にもよるため、
まずはドッグトレーナーや
獣医師に相談することを強くオススメします。

まとめ
犬が分離不安になっても焦らず根気よく
- 飼い主や同居犬への依存心が強く、
問題行動を起こすことを「分離不安」という - まずは「クレートトレーニング」や「マテ」の練習がおすすめ
- お留守番できるように少しずつ慣らしていくことが大切
吠えたり鳴いたりしていると
「かわいそうでお留守番させられない」
という意見もありますが、
分離不安を放置すると愛犬が
もっとかわいそうな状態になります。
飼い主さんも愛犬も
健全で快適な生活を過ごしていくためにも、
焦らず根気よく
分離不安を改善していきましょう。

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