犬のメラノーマ(悪性黒色腫)!なりやすい犬種や症状は?
公開日:2024/08/09 / 最終更新日:2024/08/09
犬のメラノーマとは
犬のメラノーマの中で
最もよく見られるのが
口腔内メラノーマ(口腔内悪性腫瘍)です。
歯肉に発生することが多く、
口唇、頬粘膜にも発生します。
まれに
舌に発生することもあります。
他には
爪床に発生することもあり、
口腔内と同様
転移や浸潤といった
悪性の性質を持つことが多いです。
皮膚や
目に発生することもあり、
黒色のしこりができるため
飼い主さまが
気づかれることも多いです。
皮膚や目にできるものは
口腔や爪床のものと比べると
良性であることが
多いとされていますが、
はっきりしたことは
見た目だけでは分からないため
発見した時点で
早期に診断をすることが
その後の治療に重要となります。
口腔内に発生するメラノーマは
悪性度の
高いものであることが多く、
しこりを形成し、
骨に浸潤したり、
大きくなったしこりに
口腔内の細菌が感染することで、
ひどい口臭になったりすることが
多いです。
関連記事
犬の口臭がひどい!病気?原因や対処法って?
関連記事
犬の口腔腫瘍!特徴や予防法って?
メラノーマになりやすい犬種・年齢
高齢犬で発生することが多く、
平均年齢は
10~12歳とされています。
コッカースパニエルやダックスフンド、
プードル、ゴールデンレトリーバーなどの犬種で
発生が多いとされていますが、
どの犬種にも
発生しうる腫瘍です。
性別による発生の差は
はっきりしていません。
関連記事
シニア犬(老犬)に多い病気!症状や健康診断の準備は?
犬のメラノーマの症状
黒い腫瘍が
できることが多いです。
メラノーマが生じた部位によって
症状は異なりますが、
最もよく見られる部位である
口腔内の場合は、
ひどい口臭、
歯茎からの出血といった
初期症状が出ます。
進行すると、
口腔内だけに留まらず
リンパ節や肺に転移します。
関連記事
犬の歯周病!原因や治療法、放置リスクって?
犬のメラノーマの検査・診断
診断は
見えるしこりを
一部切除することにより
病理診断することで行います。
病理診断には種類があり、
細い針で
細胞を調べる細胞診、
もしくは
腫瘤の一部をとって検査する
組織生検などで行います。
通常
病理検査のための
組織をとるためには
麻酔をかける必要がありますが、
ここで切除するのは
あくまで診断のためであり、
見た目は
腫瘍がなくなったように
見えることもありますが、
口腔内メラノーマであれば
通常
再発が認められるため、
診断後に外科的に再度広範囲に
追加切除をしなければならないことが
多いです。
メラノーマは
できた部分だけではなく、
肺やリンパ節などに
転移することが多く、
診断された時点で
転移しているケースも
珍しくありません。
そのため、
口腔内や爪床のメラノーマが
疑われる場合、
レントゲンやリンパ節の
細胞診などの検査も行い、
診断時に
明らかな転移が成立していないかを
判断します。
関連記事
犬のレントゲン検査!何がわかるの?
関連記事
犬に麻酔!リスクや必要な理由って?
犬のメラノーマの治療法
メラノーマの治療には
主に以下の
4つの治療法があります。
- 外科治療
- 放射線治療
- 抗がん剤治療
- 免疫療法
治療は
局所の腫瘍を
いかにコントロールするかと
転移の制御の両方を
考慮する必要があります。
そのため、
メラノーマの疑いがある場合や
診断された時、
その時点でどこまで拡がっているのかを
把握することが重要です。
例えば
下顎の骨に
浸潤しているケースや
リンパ節や肺に転移していることもあるため
レントゲン検査やCT検査、
リンパ節の針生検を行って
拡がりを把握します。
外科治療・放射線治療
局所の治療は
外科治療、放射線治療が
メインとなります。
見えている腫瘍を
摘出するだけでは
すぐに再発してしまうことが多いため
骨ごと切除するような
積極的な外科治療が
適応となることもあります。
放射線治療は
有効なことが多いですが
大きな腫瘍には
効果が薄いことが多く、
外科治療後の補助治療として
行うことで
効果が上がりやすいとされています。
放射線治療ができる施設は
限られているため
主治医の先生と話し合い、
治療方針を決めて行く
必要があります。
抗がん剤治療・免疫療法
外科治療や放射線治療で
口腔内の腫瘍を
コントロールすることが
重要ではありますが、
残念ながら
口腔内の腫瘍が
コントロールできていたとしても、
リンパ節や肺などの
他の臓器への転移を
防ぐことは困難です。
そのため
見える腫瘍を除去した後は
抗がん剤治療や
免疫療法などの
全身に効果のある治療に進むことで、
転移の機会を抑えることが
多いです。
関連記事
犬の免疫力を高める!低下する理由って?
犬の口腔内メラノーマは完治が難しい?
口腔内のメラノーマは
悪性度が高く、
根治が難しい腫瘍です。
口腔内のメラノーマと
診断された犬の飼い主さまの中には
「完治しないのなら……」と
治療を希望されない方も
いらっしゃいます。
しかし、
口腔内の腫瘍の治療を行わないと、
よだれや感染による口臭、
不快感から
腫瘍を掻きむしってしまい
大量に出血するなど、
愛犬の生活の質は
著しく低下します。
治療を選択する上で
さまざまな悩みが
生じると思いますが、
口腔内の病変を取り除くことで、
たとえ将来的に
転移が出てきたとしても、
それまでの口臭や不快感、
出血から解放され、
快適な生活を送れる可能性は
十分にあります。
犬のメラノーマの予後
一般的に
口腔のメラノーマは
進行の早いものが多く、
発見時の
腫瘍のステージにもよりますが、
治療をしなかった場合の
生存期間は
65日との報告があります。
現在のところ
積極的な外科治療と
抗がん剤治療の併用が
最も
治療成績が良いとされています。
犬のメラノーマの予防
原因が
明らかになっていないため、
予防ができない病気ですが、
紫外線など
愛犬に
慢性的な外的刺激を与えるものは
避けたほうが
無難とは考えられています。
しかし
予防を意識し過ぎて
散歩に行かないなどになってしまうと
かえって
愛犬にストレスを与えてしまいかねません。
そのため
予防策を講じるというよりは
定期的な健康診断により、
早期発見・早期治療を
おすすめします。
まとめ
犬のメラノーマは最善の選択を
愛犬に飼い主さまがいらっしゃり、
主治医がいると思います。
それぞれの愛犬を
一番理解している飼い主さまと
主治医が一緒に
その子にとって
最も良い治療方法を考えていくことが
大切だと思います。
気になることや心配なことは
よく相談して
この病気と向かい合ってください。
スポンサーリンク
「犬に麻酔」カテゴリーの関連記事
「犬のがん」カテゴリーの関連記事
「犬のメラノーマ(悪性黒色腫)」カテゴリーの関連記事
「犬のレントゲン検査」カテゴリーの関連記事
「犬の死因」カテゴリーの関連記事
「犬の肥満細胞腫」カテゴリーの関連記事