犬のホルネル症候群!症状や原因、治療法って?
公開日:2024/12/09 / 最終更新日:2024/12/09
犬のホルネル症候群とは
ホルネル症候群とは、
眼と脳をつなぐ交感神経に
何らかの障害が起こることで生じる
目の異常で、
以下4つの症状を
総称します(※)。
※スイスの眼科医「ヨハン・フリードリヒ・ホルネル」
(Johann Friedrick Horner, 1831-1886)の名から
名付けられました。
ホルナー症候群と呼ばれることもあります。
犬種や年齢、性別に関係なく、
どの犬でも
発症する
可能性があります。
- 縮瞳(しゅくどう)
瞳が小さくなる - 瞬膜突出(しゅんまくとっしゅつ)
白い膜が目を覆う - 眼瞼下垂(がんけんかすい)
上まぶたが下がる - 眼球陥没
目が奥にヘコんだように見える
このうち1つ、
もしくは
複数の症状が片目で起こり、
両目で起こることは
非常にまれです。
いずれも
目が小さくなったように見えるのが
特徴で、
基本的に
痛みや痒みを伴うことはありません
(症状を引き起こす原因によって
痛みや痒みを伴う可能性はあります)。
ホルネル症候群は
さまざまな原因で起こりますが、
多くは
数日から数カ月で
自然治癒します。
ただし、
中には命に関わる病気が
原因になっている
可能性もありますので、
放置せず動物病院で
検査するようにしてください。
犬のホルネル症候群の症状
ホルネル症候群では
先ほど挙げた
4つの症状が見られますが
原因は別にあり、
それが神経に
障害を起こした結果として
症状が現れます。
そのため
原因によっては
4つの症状以外にも
食欲不振や過剰な唾液分泌で
よだれが垂れる流涎(りゅうぜん)、
麻痺、痙攣などが
見られることもあります。
1、縮瞳(しゅくどう)
瞳は
明るい場所で小さくなり(縮瞳)、
暗い場所で
大きくなる(散瞳)のが正常ですが、
ホルネル症候群では
片方の瞳が
常に小さい状態になります。
そのため
明るい場所では
左右の瞳の大きさが異なり、
暗くなると
その差がさらに顕著になります。
見えにくくなることで
モノにぶつかりやすく
なるかもしれません。
2、瞬膜突出(しゅんまくとっしゅつ)
瞬膜は
目頭から出てくる膜のことで、
瞬間的に出てくることから
「瞬膜」と呼ばれます。
鳥や爬虫類は
瞬膜でまばたきをしたり
ゴーグルのように覆ったりして
目を保護しますが、
犬は
目を開けている時に
出ることがないため
「第三眼瞼」(だいさんがんけん)とも
呼ばれます(※)。
※ヒトを含む多くの哺乳類は
瞬膜が退化して痕跡器官になっています。
ホルネル症候群では
目を開けても
瞬膜が収まらずに出ている状態
「瞬膜突出」が見られます。
同じ瞬膜突出でも
瞬膜が
(正確には瞬膜の裏にある涙を出す瞬膜腺)
サクランボのように腫れた状態は
「チェリーアイ(第三眼瞼逸脱)」と
呼びます。
3、眼瞼下垂(がんけんかすい)
眼瞼は
まぶたのことで、
上まぶたが通常より下がって
目を開けようとしても
開かない状態になります。
眠そうに見えるかもしれませんが、
ホルネル症候群では
片目だけ起こるのが特徴です。
4、眼球陥没
眼球陥没は
(眼球後退)
眼球が収まっている眼窩(がんか)に
後退することで
陥没したように見える状態です。
眼球自体が
陥没するわけではなく、
視力に異常もありません。
ホルネル症候群では
片方の目が後退して
小さく見えます。
犬のホルネル症候群の原因
ホルネル症候群の原因は
さまざま考えられ、
特定することが難しく
多くが原因不明(特発性)です。
いずれにしても
脳から脊髄、胸、首などを通って
眼に至る
交感神経のどこかで
問題が起きていると考えられます。
原因を特定するために
交感神経は大きく
以下3つの経路にわけられます。
- 1次(中枢)
脳(視床下部)から脊髄まで - 2次(節前)
脊髄から首の神経節(神経が集まるところ)まで - 3次(節後)
首の神経節から眼までの末梢神経
1次ホルネル症候群で考えられる原因
ホルネル症候群以外の
神経症状が見られることがあります。
- 脳梗塞
- 腫瘍
- 頚椎骨折
- 脳脊髄炎
- 椎間板疾患
- 炎症
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2次ホルネル症候群で考えられる原因
交通事故や
チョークチェーン、
リードによる外傷で
起こることがあります。
- 外傷
- 腫瘍
- 炎症
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3次ホルネル症候群で考えられる原因
- 中耳炎
- 腫瘍
- 膿瘍
- 炎症
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犬のホルネル症候群の治療法
目の異常から
ホルネル症候群が疑われる場合、
他に
も体に異常が見られないか
以下のような
検査を行います。
- 触診
- 行動観察
- 血液検査
- 眼科検査
- 神経学検査
- X線(レントゲン)検査
- 超音波検査
- CT・MRI検査
- 脳脊髄液検査
- フェニレフリン検査
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原因が見つかった場合は、
その治療が
ホルネル症候群の治療に
つながります。
フェニレフリンという
瞳を大きくする点眼液が
効く時間を計ることで、
問題が起きている経路を
判別できる場合があります。
ホルネル症候群は
原因不明であることが多いものの、
多くは
数カ月以内に
自然治癒します。
ただし、
原因が腫瘍や椎間板ヘルニアに起因する
進行性脊髄軟化症などであった場合、
放置すると
死に至る可能性があります。
まとめ
- ホルネル症候群は神経の問題で起こる
- 目が小さく見える変化で気付きやすい
- チョークチェーンで起こることも
- 自然治癒が多いものの検査は必要
ホルネル症候群は
神経の障害によって
目に異変が起こります。
ほとんどは片目で起こり、
目が小さく見えるのが
特徴です。
多くは自然治癒しますが、
重症化する病気が原因の
可能性もあります。
必ず
動物病院で
検査を行うようにしてください。
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