犬のヘルニア!原因や、症状、予防法って?
公開日:2024/04/05 / 最終更新日:2024/04/05
犬のヘルニアの種類
ヘルニアとは、
体内にあるべき臓器や
脂肪組織が
本来の位置から
脱出してしまった状態を指します。
脱出と言っても
「本来あるべき場所から出てしまうこと」
を指すため、
必ずしも
体の外に出てしまうわけではありません。
ヘルニアは
脱出した場所によって
以下のように呼び方が異なります。
犬のヘルニアの種類(代表例)
病名
- 臍(さい・へそ)ヘルニア
脱出した場所 おへそ - 鼠径(そけい)ヘルニア
脱出した場所 足の付け根 - 椎間板(ついかんばん)ヘルニア
脱出した場所 椎間板 - 会陰(えいん)ヘルニア
脱出した場所 肛門 - 大腿(だいたい)ヘルニア
脱出した場所 足の付け根 - 食道裂孔(れっこう)ヘルニア
脱出した場所 横隔膜
脱出した臓器は
押して
元の場所に戻せることもありますが、
「嵌頓(かんとん)ヘルニア」と言って
戻らない場合もあります。
締め付けられた状態が続くと
組織が壊死し、
放置すると
死に至るため
緊急手術が必要です。
それぞれのヘルニアについて
説明します。
1、犬の臍ヘルニアの原因と症状
臍ヘルニアは、
犬の赤ちゃんのおへその周り
(臍帯輪 さいたいりん)の内側
(腹膜)に穴が空き、
臓器や脂肪組織が
脱出してしまった状態を指します。
多くは遺伝性です。
症状として、
おへその周りに膨らみや
こぶのようなものが見られます。
通常、
犬に痛みはありませんが、
脱出した組織が締め付けられて
血流が阻害される
「嵌頓(かんとん)ヘルニア」に進行すると
痛みを感じる可能性があります。
多くは
成長とともに自然治癒しますが、
嵌頓ヘルニアが疑われる場合は
早期に治療が必要です。
関連記事
犬の臍ヘルニア(さいヘルニア)デベソとの違いって?
2、犬の鼠径ヘルニア
鼠径ヘルニアは、
犬の足の付け根部分(鼠径部)にある
筋肉や靱帯の弱い部分から、
腸や脂肪組織が
脱出することで発生します。
原因として
遺伝性もありますが、
加齢や肥満、
過度の運動や
外傷でも生じます。
症状として、
足の付け根に膨らみや
こぶが見られることが一般的です。
腸が脱出し
閉塞を起こすと
嘔吐や食欲不振、
腹痛、便秘や下痢などの
消化器症状が現れます。
睾丸、膀胱、前立腺、
子宮などの臓器が脱出した場合、
排尿困難、腹部膨満、
性腺の変化などの
症状が出ることがあります。
関連記事
犬の鼠径(そけい)ヘルニア!症状や原因、治療法って?
3、犬の椎間板ヘルニアの原因と症状
椎間板ヘルニアは
犬の脊椎(せきつい)の
椎骨(ついこつ)の間にある
「椎間板」が飛び出し、
脊椎を圧迫することで
痛みや麻痺など
神経症状が生じる疾患です。
主な原因と症状は
以下の通りです。
椎間板ヘルニアの原因と症状
原因
- 遺伝的
一部の犬種
(特にダックスフンドや
コーギーなどの胴長短足犬種)は、
遺伝的に
椎間板ヘルニアを発症しやすい
傾向があります。 - 加齢
犬が年を取ると
椎間板の構造が変化し、
ヘルニアのリスクが高まります。 - 肥満
体重過多は
脊椎に余計な負担をかけ、
椎間板ヘルニアの発症リスクを
上げます。
関連記事
シニア犬(老犬)に多い病気!症状や健康診断の準備は?
関連記事
犬が太る!肥満の原因は?病気のリスクって!?
症状
- 痛み
脊椎が圧迫されることで
痛みを感じる場合があります。 - 歩行障害
圧迫された神経により
歩行時に足を引きずったり
動かなくなるなどの症状が見られます。 - 麻痺
重度の椎間板ヘルニアでは
足に麻痺が生じることがあります。 - 排尿・排便障害
脊髄の圧迫が原因で
排尿や排便のコントロールが
できなくなることがあります。
関連記事
犬の椎間板ヘルニア!症状や原因って?
4、犬の会陰ヘルニアの原因と症状
会陰ヘルニアは、
犬の肛門周囲の
筋肉のすき間から
脂肪組織や腸などの
臓器が脱出してしまう状態です。
原因として
筋肉の問題
(遺伝、加齢による筋肉の衰え)や
外傷が挙げられ、
未去勢の成犬や
シニア犬(老犬)に多く見られます。
症状として、
肛門周辺に膨らみや
しこりが見られます。
押すことで
元の位置に戻る場合もありますが、
強く押すと
痛みを引き起こすことがあるため
注意が必要です。
初期症状として
排便障害が
見られることがあります。
脱出した臓器が締め付けられ、
組織の壊死が起こると
緊急手術が必要になります。
関連記事
犬の会陰(えいん)ヘルニア!原因や初期症状、手術方法って?
関連記事
犬に麻酔!リスクや必要な理由って?
5、犬の大腿ヘルニアの原因と症状
大腿ヘルニアは
犬ではまれですが、
太もも付近の筋肉や
靭帯にできたすき間から
腸や脂肪などの
臓器が脱出した状態です。
原因として
加齢による筋肉の衰えや
過度な運動、
外傷、遺伝が挙げられます。
症状は
股関節付近で起こる
鼠径ヘルニアと異なり
歩行障害や痛みが特徴的で、
歩く際に
不自然な姿勢を取ることがあります。
痛みや不快感から
犬が自分の太ももを舐めたり、
触られるのを
嫌がることもあります。
6、犬の食道裂孔ヘルニアの原因と症状
食道裂孔ヘルニアは
肺と胃を隔てる
横隔膜のすき間から
肝臓や腸などの臓器が
脱出してしまった状態です。
犬ではまれです。
原因は
遺伝や肥満、
過度の運動、
外傷などが考えられます。
症状は
胃の内容物が
食道に逆流することで起こる
逆流性食道炎が典型的で、
嘔吐や唾液の過剰分泌、
体重減少、
食欲不振などが見られます。
重症化すると、
呼吸困難や
心臓の合併症が起こる場合もあります。
関連記事
犬が太る!肥満の原因は?病気のリスクって!?
関連記事
犬が吐く!原因や対処法って?
関連記事
犬が痩せる!原因は!痩せすぎの判断方法って?
関連記事
犬の心臓病!初期~末期症状とは?
犬のヘルニアの治療法
ヘルニアは
種類によっては
自然治癒する場合もありますが、
問題のある症状が出ている場合は
内科治療や
外科治療を行います。
ヘルニアの内科治療
ヘルニアの種類によります。
椎間板ヘルニアでは、
手術を行わずに
症状を緩和する内科治療で
- 「抗炎症薬および鎮痛剤の投与」
- 「食事や運動の見直しによる体重管理」
- 「サポート器具の使用」
が挙げられます。
症状が改善しない場合は
外科治療を検討します。
その他のヘルニアは、
外科治療により改善します
ヘルニアの外科治療
脱出した臓器を
元の位置に戻し、
穴をふさぐことが
ヘルニアの基本的な外科治療です。
会陰ヘルニアでは、
再発のリスクがある場合、
人工的なメッシュを使用して
ふさいだ穴を
補強することもあります。
その他、
椎間板ヘルニアでは
椎間板の圧迫を取り除く
手術を行います。
会陰ヘルニアでは
骨盤の形状を修正する
手術も行われることがあります。
食道裂孔ヘルニアでは
胃を固定する手術
(胃底縫合術)が
行われることもあります。
犬のヘルニアの予防法
ヘルニアの原因は
先天性と後天性に分けられ
遺伝が関係する
先天性に予防法はありませんが、
後天性の椎間板ヘルニアでは
「適切な食事と運動」や
「定期的な健康診断」によって
発症リスクを
下げることが可能です。
適切な食事と運動
犬の体重を管理し、
体型を維持することが
ヘルニア予防につながります。
適度な運動によって
体型を維持し、
関節の柔軟性を高めることで
ヘルニアのリスクを
低減できます。
ただし、
犬の年齢や体重、
体力に応じた運動量と
強度にしてください。
無理な運動は
ヘルニアのリスクを
高める可能性があります。
定期的な健康チェック
犬のヘルニア予防には、
定期的な
健康チェックが重要です。
動物病院でも
健康診断やワクチン接種の際に
見つけることができますが、
日常的に
飼い主さんが愛犬の体を触って
異常がないか
確かめることが重要です。
特にヘルニアが発生しやすい部位
(腹部、足の付け根、肛門周辺など)に
しこりや
こぶがないか確認しましょう。
関連記事
シニア犬(老犬)に多い病気!症状や健康診断の準備は?
まとめ
- 犬のヘルニアは臍、鼠径、椎間板、会陰が多い
- 先天性のほか肥満が原因になることも
- 日頃から愛犬を触ることが早期発見につながる
犬のヘルニアには
- 椎間板ヘルニア
- 臍ヘルニア
- 鼠径ヘルニア
- 会陰ヘルニア
などがあり、
臓器が本来の位置から
脱出することで起こります。
原因は遺伝的要因や
加齢もありますが、
肥満が
リスクを高めることがあるため、
食事量と
運動量の適正化が重要です。
愛犬の体を
日頃から触ることで、
ヘルニアの早期発見に
つながることがあります。
PR
「シニア犬の病気」カテゴリーの関連記事
「ドッグフードの違い」カテゴリーの関連記事
「健康寿命」カテゴリーの関連記事
「犬のヘルニア」カテゴリーの関連記事
「老犬のしつけ」カテゴリーの関連記事
「老犬の食事」カテゴリーの関連記事