犬のヒゼンダニ(疥癬虫)症!症状や治療方法って?

公開日:2024/10/09 / 最終更新日:2025/02/13
犬の疥癬とは
犬の疥癬とは、
疥癬虫(かいせんちゅう(ヒゼンダニ)が
皮膚の表面に寄生し、
非季節性で
強い痒みを生じる
伝染性の犬の皮膚疾患で、
イヌセンコウヒゼンダニが原因となります。
(Sarcoptes scabie var. canis)
感染経路は
犬同士の接触で、
宿主特異性は高いですが、
猫や狐、ヒトにも
感染することが知られています。
宿主特異性とは、
寄生虫が
特定の生物のみを宿主とする
(宿主が厳密に限られている)
性質のことです。

犬の疥癬が出やすい犬種・年代
犬の疥癬は、
一般的に若い犬(2歳以下)に
見られることが多い疾患です。
また、
特定の犬種に疥癬が
出やすいことはありませんが、
クッシング症候群や
免疫抑制剤を使用している犬では
注意が必要です。

犬の疥癬の症状
犬の疥癬の主な症状としては、
初期病変は痂皮(かひ(かさぶた)
形成を伴う丘疹(きゅうしん(小さい皮膚の隆起)があり、
次第に数が増えて
分布が広がり、
急速に
痒みを生じてきます。
病変分布は、
典型的には
体幹腹側、肘、踵に分布し、
70%以上の症例で
顔と耳介に分布します。
重症例では
脱毛、紅斑(こうはん(皮膚表面の発赤)、
牡蠣殻様と言われるような
分厚いフケを作り、
重度の痒みを訴えます。
さらに、
痒みだけでなく、
二次的な体重減少や
衰弱が起きることもあります。
なお、
感染後数日で犬は
痒がるようになり、
その後
ヒゼンダニの増加に比例して
痒みが増していきますが、
ある時点で
爆発的に
痒みが出るようになります。
典型的には、
感染後21日から30日後と
言われています。
さらに、
ヒゼンダニ感染後2~5週間後、
臨床症状が出てから
1~3週間後に
抗体が陽性になることが
報告されています。
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犬の疥癬の原因
イヌセンコウヒゼンダニが
(Sarcoptes scabie var. canis)
皮膚の表面に
寄生することが原因となります。
犬同士の接触により
感染が起こる病気です。
そのため、
ドッグランやペットホテル
さらに
トリミングショップや動物病院の待合など
犬が集まる場所に
感染の危険があります。
センコウヒゼンダニは、
皮膚の角質層に
トンネルを作り産卵します。
卵は幼ダニ、若ダニ、成ダニと成長し、
ライフサイクルは
2~3週間と言われています。

犬の疥癬の検査・診断方法
犬の疥癬の確定診断には、
皮膚掻爬検査
(ひふそうはけんさ(皮膚表面をこする検査)により
イヌセンコウヒゼンダニの成虫
もしくは
虫卵等の検出が必要となります。
そのために
複数回の皮膚の掻爬が
必要になることもありますが、
検出率は20%~50%と
報告されています。
つまり、
臨床症状で犬疥癬を疑い、
皮膚掻爬検査で
陰性であっても
可能性は否定できません。
症状が似た病気としては、
- 接触性皮膚炎
- アトピー性皮膚炎
- 食物アレルギー
- マラセチア皮膚炎、
- ツメダニ
- 耳ダニ
などがあります。
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また、
「耳介-足反射」という
症状があります。
これは
犬の耳介を軽く擦ると、
ひっかき反射が
誘発されることを指します。
この反射がみられると
犬疥癬が疑われますが、
この病気に特有な
反射ではありません。
最終的には、
臨床症状で
疥癬が疑わしければ、
実際に駆虫を行う
治療が必要になることもあります。

犬の疥癬の治療
犬の疥癬の治療は、
駆虫薬を用いて行います。
代表的な駆虫薬に、
- イベルメクチン(注射薬、内服薬)
- セラメクチン(外用薬)
- ミルベマイシン(内服薬)
などがあります。
ただし、
薬剤の代謝に関連する
遺伝子変異がある犬は、
(コリー系犬種等)
重篤な副作用が出やすいので
(神経症状(運動失調、ふらつきなど)
注意が必要です。
治療期間は
方法によりさまざまですが、
例えば
イベルメクチンの治療では
14日間隔での注射や
7日間隔での内服、
また
セラメクチンの治療では
14日間隔での滴下などが
症状に応じて数回行われます。
また、
補助的な外用療法として
硫黄サリチル酸シャンプーなどでの洗浄、
同居犬がいれば
その治療、
犬舎や寝床等の環境中の清掃も
行うとよいでしょう。
環境中の清掃とは、
寝床の処分や
犬舎内の徹底的な洗浄、
殺虫剤の使用などがありますが、
具体的な方法は
状況によるので
動物病院で
相談されるとよいでしょう。
なお、
犬から離れた疥癬虫は、
環境中では
長期間生存できませんが、
最長21日まで生存することが
報告されています。

犬の疥癬の予後
犬の疥癬は、
駆虫が成功すれば
予後は良好です。
また、
飼い主に感染することもあり、
感染後7~14日程度持続する
痒みがあると言われています。

まとめ
犬の疥癬は病気の可能性あり
犬の疥癬は
強い痒みを生じる
伝染性の犬の皮膚疾患で、
ヒトにも感染することが
知られています。
犬が
皮膚の強い痒みを
訴えている時には、
この病気の可能性があるので、
動物病院に連れて行くと
よいでしょう。

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