犬のジステンパーウイルス感染症!原因や症状、予防法って?
公開日:2024/11/18 / 最終更新日:2024/11/18
犬ジステンパーとは
犬ジステンパーは、
18世紀から知られている
古くからある病気で、
国内も含めて、
世界各国で発生しています。
発病率は25~75%で、
死亡率は50%から90%と
高い数値です。
原因となる
イヌジステンパーウイルスは、
ヒトの麻疹(はしか)ウイルスと
性状、臨床症状、
発病機構が似ていることから、
医学領域でも
研究モデルウイルスとして
使用されています。
古くから
多くの知見があり、
国内では
生ワクチンが
普及されておりますが、
根絶はしていません。
犬ジステンパーの原因発生状況
イヌジステンパーウイルスは、
子犬や
ワクチンを注射していない犬に
感染します。
2010年の報告では、
国内で呼吸器症状を示した
119匹の犬のうち、
イヌジステンパーウイルス遺伝子が
検出されたのは
11匹(9.2%)でした。
犬の他には、
サル、オオカミ、キツネ、タヌキ、イタチ、
フェレットやアライグマなどが感染し、
種によって
症状や致死率は異なります。
中国では
ジャイアントパンダ22頭のうち、
6頭が
イヌジステンパーウイルスに感染し、
予防注射を接種していた
1頭が生き残り、
残りの5頭は
死亡しました。
国内の野生動物では、
アライグマやイノシシ、シカ、
テン、タヌキ、ハクビシン、イタチ、
アナグマなどでの感染が
知られています。
2017年の国内の報告では
7%のアライグマが
抗体を保有していました。
2008年には
国内の検疫所で輸入ザル
432匹で
イヌジステンパーウイルスの感染が
起きたことが報告されました。
霊長類のサルに感染したことから、
ヒトでの発症が
心配になりますが、
今のところ
発症はありません。
しかし、
注意は必要です。
犬ジステンパーの症状
犬ジステンパーの臨床症状は、
沈うつ、白血球の減少、
二峰性の発熱、消化器症状、呼吸器症状、
皮膚症状や神経症状などが
認められます。
これに細菌や
他のウイルスなどの
二次感染が伴うので、
多種多様な症状がみられます。
さらに、
重篤の場合は
死に至るものから、
ほとんど症状を示さないものも
ありますので
臨床症状は多岐にわたります。
ウイルスは
上皮系組織やリンパ系組織、
神経細胞に感染し、
リンパ系組織で増殖します。
その後、
ウイルスは
血流に乗って全身へ移動し、
最後に
中枢神経系へ移動します。
免疫応答が弱い場合、
上皮系組織障害により
死に至ることもありますが、
上皮系組織障害から回復した場合は
ウイルスが脳内に侵入し、
中枢神経系組織障害を発症するものと
考えられています。
ただ、
侵入の機序について
多くは明らかにされていません。
神経細胞に感染した場合
は脱髄性脳炎を起こし、
神経症状(神経障害)がみられる場合と、
慢性脳炎を起こす場合があります。
生き残った犬には、
ハードパッド(硬い肉球)病や
チックなどの
後遺症が残ることがあります。
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犬ジステンパーの検査・診断法
イヌジステンパーウイルスは
感染動物の鼻汁や唾液、
眼分泌物、血液、尿などから排泄され、
感染動物との直接接触、
分泌物や排泄物との接触、
飛沫した呼吸器からの
分泌物の吸入などから感染します。
潜伏期間は
1週間以内から4週間で、
症状を表さないまま、
長期間経過した後に
神経症状を示すこともあります。
診断方法には、
病原学的診断と
血清学的診断があり、
病原学的診断は、
犬の生殖器や肛門、鼻粘膜、結膜のスワブ、
目脂、唾液、鼻汁、血液、
便からのウイルス抗原の検出、
遺伝子の検出を行ないます。
血清学的診断は、
採血した犬の血液から得られた
血清を使い、
中和抗体の検出などを
行ないます。
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犬ジステンパーの治療法
犬の感受性は
年齢、性別、品種間に差がなく、
ワクチン歴の無い
若い犬における致死率は
高いとされています。
感染を疑う時は、
まず、
他の動物への感染を避けるために、
隔離します。
動物病院では、
院内で
別の動物への感染を避けるため、
時間指定を
お願いされるかもしれません。
環境中のウイルスは
消毒液、洗剤等によって、
簡単に死亡しますが、
体内に入ったウイルスの
有効な治療法は
現在のところ無いため、
対症療法を行ないながら、
回復のチャンスを待ちます。
対症療法は、
脱水を起こしていれば
輸液や栄養補給を行ない、
熱があれば
解熱剤を投与します。
細菌感染を伴えば、
抗菌剤を投与するなどの方法も
有用です。
犬ジステンパーの予防法
犬ジステンパーは
致死率の高い感染症ですが、
弱毒生ワクチンを接種する
予防が最も有用です。
弱毒生ワクチンの普及により、
国内における
犬ジステンパーの発症数は
減少してきましたが、
現在もウイルスは
分離されています。
まず、
ワクチンの接種は
母犬からの移行抗体を考慮し、
子犬を感染から守ることが
必要です。
残念ながら、
1回の注射だけで
生涯の免疫を獲得する
ジステンパーワクチンの開発は
されていないため、
成犬になってからも
ワクチンを接種することで、
防御抗体を
維持する必要があります。
ワクチンの選択や
接種時期は、
動物病院の獣医師と
相談しましょう。
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まとめ
犬ジステンパーは致命率が高いものの予防接種が有効
1761年に
スペインで初めて発見された
犬ジステンパーは、
現在まで
たくさんの知見があります。
弱毒生ワクチンも開発されており、
発症率は
減ってきています。
しかし、
残念ながら根絶されておらず、
野生動物を含めて
ウイルスが分離されています。
この病気は、
感染犬が
臨床症状を示さないこともありますが、
発病率や
致死率が高いことから、
予防をする必要があります。
予防のための
犬用のワクチンが
数種類販売されていますので、
接種しましょう。
どのワクチンを注射したらよいかの
判断をする際には、
動物病院の獣医師に
相談することを
お勧めいたします。
この病気だけでなく、
犬の感染症をよく理解し、
飼い犬が病気にならないように
予防できる病気は
予防していきましょう。
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