犬のケンネルコフ(伝染性気管気管支炎)!原因や症状って?
公開日:2024/10/15 / 最終更新日:2024/10/15
犬のケンネルコフ(伝染性気管気管支炎)とは
ケンネル(kennel)は英語で
「犬の預かり所」という意味を持ち、
コフ(cough)は
「発咳」の意味を持ちます。
ケンネルコフは
「犬伝染性気管気管支炎」、
または
「犬舎病」とも呼ばれ、
咳が出る呼吸器の感染症です。
多数の犬同士が
接触した後に起こる
犬の一過性の上気道炎を示す
伝染性疾患の症候群で、
細菌やウイルス、
マイコプラズマなどの病原体による
飛沫感染や接触感染によって、
単独あるいは
混合感染します。
肺炎を伴わない
発咳を主とする症状を示し、
通常、
症状は軽度であり、
ほぼ1週間で回復します。
ケンネルコフにかかりやすい犬種・年代
犬種による差はありません。
室内で飼育している場合、
自然発生はまれですが、
発症している犬との直接、
または
間接的な接触により
感染する可能性があります。
全ての時期で
発生する可能性がありますが、
特に
注意が必要な時期は、
老犬やワクチンによる
免疫を獲得していない
幼犬期です。
多頭飼育や
不衛生な環境下で飼育される犬に
発生が多く、
これらの場合も
注意が必要です。
また、
気管虚脱などの
呼吸器疾患を持っている犬や
免疫を持たない犬では、
症状が
急激に悪化することがあるので
注意が必要です。
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犬のケンネルコフと診断することは容易ではない
ケンネルコフの原因となる病原体は
以下の通りです。
これらの病原体が、
単独あるいは
混合感染することが原因で
起こります。
ウイルス
- 犬パラインフルエンザウイルス
- 犬アデノウイルス2型
- 犬ヘルペスウイルス
- レオウイルス
- 犬呼吸器コロナウイルス
- 犬ジステンパーウイルス
など
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ウイルス以外の病原体
- 気管支敗血症菌(ボルデテラ・ブロンキセプチカ)
- パスツレラ菌
- レンサ球菌
- マイコプラズマ
など
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犬のケンネルコフの症状
ケンネルコフの主な症状は
咳です。
呼吸器系に限られ、
特徴的な短い乾燥した
咳をします。
潜伏期間は5~7日間で、
感染直後は
無症状です。
一日中、
咳をしているわけではないので、
「病気ではない」と思う
飼い主さんもたまにいます。
感染症の原因が単独の場合は
軽症ですが、
混合感染の場合は
重症になります。
軽症の場合は、
発咳が認められ、
その他の症状もなく、
治癒へ向かいます。
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重症の場合は
眼脂や鼻汁がみられ、
発熱、食欲不振、元気消失などの
全身症状を示します。
さらに
病気が進行すると、
二次的に肺炎を起こして
死亡することもあります。
また、
無気肺などの症状が残る
場合もあります。
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犬のケンネルコフの発生状況
ケンネルコフは、
接触感染や
飛沫感染などにより、
罹患犬から
直接的に感染します。
また、
汚染水や感染犬と接触した
ヒトの手などを介して、
間接的に感染します。
集団で
犬が生活する環境下では、
1匹が感染すると
他の犬に
次々と伝染する
可能性があります。
ドッグランなどの
犬が集まる場所では、
ワクチン接種済み証明書の提示が
必要なところもありますが、
ワクチンは
完璧なものではなく、
ワクチン接種を受けた場合でも
病原体に感染する
可能性があります。
国内の発生状況
国内でも
発生が認められており、
初めて発生報告がされたのは
1985年です。
約150匹を飼育するブリーダーで
発生したことから、
ペットショップや
ブリーダーで飼育されている子犬は
注意が必要と考えられます。
犬の出入りが頻繁な
ペットホテルや
ペットの美容室で発生することも
知られており、
これらも注意が必要です。
国内では
犬呼吸器感染症の病原学的検査が
2004年から2007年にかけて
行なわれています。
その調査の結果、
呼吸器病を患っている犬119匹のうち、
63匹(52.9%)から
病原体が検出されました。
最も多く検出されたのは
気管支敗血症菌28匹(23.5%)で、
次に
犬呼吸器コロナウイルス19匹(16.0%)、
犬パラインフルエンザウイルス18匹(15.1%)、
犬ジステンパーウイルス11匹(9.2%)、
アデノウイルス2型が4匹(3.4%)
という結果でした。
犬のケンネルコフの検査・診断方法
診断するためには、
病犬の体から原因となる
病原体そのものや
病原体の一部を捕まえ、
検査を行ないます。
検査は、
動物病院内で
診断キットを使って
短時間で
診断できる場合もありますが、
多くの場合は
動物病院とは別の実験室で
病原体を特定するため、
培養や検査をするために
時間がかかります。
複数の病原体を
特定することは、
さらに
時間がかかります。
そのため
動物病院では
病原体の特定を行ないながら、
犬の年齢、ワクチン接種歴、
飼育環境や過去の病犬との接触歴、
臨床症状などから
診断を行なうことがあります。
診断する場合、
胸部のレントゲン検査や
血液検査などを行います。
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犬のケンネルコフの治療法
一つの病原体が感染した場合は
数週間で回復に向かいますが、
二次感染がある場合には
治癒が遅くなり、
重症化することも考慮しながら、
治療を行ないます。
原因がウイルスの場合には、
ウイルスに有効な薬が無いので
対症療法となります。
抗菌薬の投与の他に、
去痰薬や
気管支拡張薬、抗炎症薬、
鎮咳薬などを選択します。
これらの薬は
経口的に投与されるのが
一般的ですが、
呼吸器から吸入するための
器械(ネブライザー)を使用し、
薬剤を霧状にして
投与する方法もあります。
安静にし、
十分な栄養を与えながら、
治療に適した環境下において
積極的な治療を行なえば
予後は良好となります。
しかし、
治療開始後すべての発咳が
短期間で消失するわけではないことも
十分に理解し、
根気良く治療をする
必要があります。
犬舎の清掃や
消毒も必要です。
治療費は検査数、治療薬の数、
治療期間によって
左右します。
犬のケンネルコフの予防法
国内では、
- 犬パラインフルエンザウイルス
- 犬アデノウイルス2型
- 犬ジステンパーウイルス
を含む
注射投与型の多種混合ワクチンが
市販されています。
気管支敗血症菌は、
(Bordetella bronchiseptica、
ボルデテラ・ブロンキセプティカ)
細菌の一種で、
犬、猫、モルモット、ウサギ、
豚などの動物に広く分布しており、
外国では
ヒトへの感染事例が
報告されています。
この菌が
他のウイルスと
混合感染することによって
臨床症状が
重篤化することも知られており、
犬への予防は
必要と考えられています。
気管支敗血症菌のワクチンは
(ボルデテラ・ブロンキセプチカ)
鼻粘膜投与型のものが
販売されています。
注射投与型ワクチンは
国内では市販されていません。
鼻粘膜投与型のワクチンは、
犬パラインフルエンザウイルスと
犬アデノウイルス2型を含めた
3種混合ワクチンになります。
どのワクチンを使用したらよいか
判断する際には、
動物病院の獣医師にも
相談することをお勧めいたします。
環境整備
高温多湿や冷温乾燥、
過剰なストレスを避け、
衛生的な住環境で
生活させましょう。
冬場は
ウイルスが活性化しやすいため、
保温・保湿を心がけてください。
愛犬の体調が悪い日には
犬が多く集まる場所への
出入りを控え、
散歩中に咳をしている
犬との接触を
避けるようにしましょう。
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対処法
発症した場合には、
消毒を行なうなど
清潔な環境へ犬を移動させ、
十分な換気を行ないます。
さらに、
多頭飼育の場合は
病犬と健康犬の
隔離を行ないます。
まとめ
犬のケンネルコフは咳が続く場合は動物病院へ
ケンネルコフは感染症であり、
ウイルスや細菌などの病原体が
感染することによって、
発症します。
ヒトのインフルエンザの感染と同じで、
ドッグランや、ドッグショー、
トリミングサロンなど
犬が集まる場所に
ケンネルコフを発症し、
さらに咳をしている病犬がいれば、
空気感染することがあります。
それだけではなく、
病犬を触った
ヒトの手などからも
感染する可能性があります。
集団感染することから、
多頭飼育している犬だけの
病気と考えがちですが、
1頭飼いの犬でも、
外出したり、
病犬と接触したヒトによって
感染する可能性はあります。
この病気を
理解していれば、
外出後に犬が咳をした場合、
動物病院へ
早く行くことができ、
そして
早期診断につながるかもしれません。
この病気だけでなく、
その他の
犬の感染症もよく理解し、
飼い犬が病気にならないように
予防できる病気は
予防していきましょう。
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