犬のクッシング症候群!原因や症状・予防法って?
公開日:2024/04/08 / 最終更新日:2024/04/08
犬のクッシング症候群とは
クッシング症候群は
アメリカの脳神経外科医の
ハーヴェイ・ウィリアムス・クッシング氏が、
初めて
「クッシング病」を報告したことから
その名前がつけられました。
クッシング症候群は
副腎皮質ホルモンの
過剰に起因する病気です。
副腎は
「皮質」と「髄質」から構成されます。
これらは機能的に異なります。
副腎皮質から合成・分泌される
ステロイドである
糖質コルチコイドは、
生体を維持するために
不可欠なホルモンです。
このホルモンが
体内で過剰となり、
持続することで、
さまざまな臨床症状
あるいは臨床検査上の
異常を示します。
この状態を示した
内分泌疾患の総称を
クッシング症候群といいます。
クッシング症候群の種類
実際に副腎機能が高まった状態の
「自然発生クッシング症候群」と、
副腎皮質ホルモンを
薬として過剰に投与した場合の
「医原性クッシング症候群」があります。
この2つは
症状が似ていますが、
機能が違っています。
すなわち、
「自然発生クッシング症候群」は、
下垂体のホルモン異常で
副腎が大きくなっていたり、
あるいは
腫瘍化して大きくなっていたりするので、
本当に機能が亢進しています。
※亢進とは
病状などが高い度合いまで進むことを指す言葉
しかし、
「医原性クッシング症候群」は
副腎が実際に萎縮しており、
機能が低下しています。
クッシング症候群になりやすい犬種・年齢
クッシング症候群になりやすい
犬種は
以下などが挙げられます。
- プードル
- ダックスフンド
- テリア(すべての品種)
- ビーグル
- ジャーマン・シェパード・ドッグ
- ラブラドール・レトリーバー
また、
中齢から老齢の発症率が高く、
発症平均年齢は
12歳(6カ月~17歳の範囲)
といわれています。
性別に関係なく
発症しますので
上記犬種かつ中齢の場合は
用心するに
越したことはありません。
犬のクッシング症候群の症状
人のクッシング症候群の発症傾向は
10万人に1人程度、
猫では
非常にまれです。
そして、
犬では500頭に1頭で、
人や猫に比べ、
比較的発症頻度が高いです。
症状はさまざまですが、
典型的な臨床症状は
以下などがあります。
- 多尿
- 多飲
- 多食
- 沈鬱
- 腹部膨満
- 脱毛
- 筋肉虚弱
上記臨床症状だけでなく、
- 「肺血栓塞栓症」
- 「神経症状」
- 「糖尿病」
- 「膵炎」
- 「皮膚感染症」
- 「尿路感染症」
- 「膀胱炎」
- 「全身性高血圧症」
などが
続発することもあります。
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犬のクッシング症候群の日常生活での注意事項
クッシング症候群に
罹患している場合、
日常生活で注意したいことは
「シャンプー」と
「ご飯の量」の2点です。
シャンプーのしすぎは皮膚に毒
シャンプーをしすぎることで
皮膚バリアが
障害を受けることがあります。
シャンプーの仕方や
その他、
入浴方法や保湿の仕方、
外用薬の使用方法などは
動物病院の獣医師と相談しましょう。
多食だからご飯の量を減らすべきか
食事は成分を考慮し、
規定量を与えることを
まず考えます。
その次に
ご飯の量や回数を増減する場合は、
動物病院の獣医師と相談しましょう。
犬のクッシング症候群の原因
「自然発生クッシング症候群」には、
大きく分けて
「下垂体性(全体の80%~90%)」と
「副腎腫瘍性(全体の10%~20%)」の
2つのタイプがあります。
下垂体性クッシング症候群
下垂体性の
副腎皮質機能亢進症は、
脳の中の下垂体が腫瘍化し、
副腎皮質刺激ホルモンを
過剰に分泌します。
すなわち、
副腎へ
糖質コルチコイドを作るように
過剰な指令を送っている状態です。
当然、
その指令を副腎が受け取ると、
過剰な副腎ホルモンが
体内に放出されます。
また、
この病気は
更に3つのタイプに分かれ、
- 「下垂体小型腺腫(80%)」
- 「下垂体巨大腺腫(15%)」
- 「癌(5%)」
のタイプがあります。
下垂体腫瘍自体は
良性のことがほとんどです。
通常、
下垂体小型腺腫は
内科療法に対する反応が良好ですが、
下垂体大型腺腫は
副作用が強く発現し、
治療には
危険性が高くなってしまいます。
また、
ホルモンを大量に分泌するため、
良性の腫瘍であっても、
体にとって有害な腫瘍です。
こういったホルモンを
大量に分泌する腫瘍を
機能性腫瘍といいます。
癌については
治療方法が
完全にはわかっていません。
そして、
これらの鑑別には
CT検査が必要です。
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副腎腫瘍性クッシング症候群
副腎腫瘍性の
副腎皮質機能亢進症は、
副腎が腫瘍化した状態です。
腫瘍化していますので、
糖質コルチコイドが
過剰に産生されます。
副腎皮質刺激ホルモンによる指令は
関係なく産生します。
副腎の腫瘍は、
悪性と良性の割合が半分ずつです。
この病気の鑑別には、
エコー検査と
CT検査が必要です。
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犬のクッシング症候群の検査・診断
飼い主さんが
獣医師に症状を伝えることで、
仮説がたてられやすい
病気です。
例えば
- 「多飲」
- 「多尿」
- 「多食」
- 「腹部膨満」
- 「左右対称の脱毛」
などです。
次に、
「医原性クッシング症候群」かどうかを
判断するため、
副腎皮質ホルモンの
投薬歴を確認します。
また、
血液検査や血液生化学検査、
血圧検査、尿検査、
レントゲン検査を行います。
その後、
クッシング症候群なのかどうかを
診断するために、
ACTH刺激試験(※)や
低用量デキサメタゾン抑制試験(※)を
行います。
下垂体性クッシング症候群か、
あるいは
副腎腫瘍性クッシング症候群かどうかを
診断するために、
エコー検査を実施します。
さらに、
CT検査を行うこともあります。
※ACTH刺激試験
副腎皮質刺激ホルモンをわざと注射し、
注射前後の血液中の
コルチゾールの量の変化をみる試験のこと
※デキサメタゾン抑制試験
「デキサメタゾン」という薬を服用後、
血液中のコルチゾールの濃度、
または尿の中のコルチゾールの濃度など
を翌日に測定する検査のこと
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犬のクッシング症候群の治療法
主に「内科療法」での
治療になります。
トリロスタンやミトタンといった
飲み薬で
副腎皮質ホルモンの産生を
抑制します。
治療薬に対する反応には
個体差があるので、
個体ごとの投薬量で治療します。
その他に、
「外科療法」や「放射線治療」も
行うこともあります。
癌の場合を除き、
ほとんどの場合は
寿命をまっとうできます。
犬のクッシング症候群の予防方法
腫瘍性疾患は、
食事の見直しや
運動不足の解消などで
なりにくくする(予防する)ことは
できるかもしれません。
しかし、
完全に予防することはできません。
クッシング症候群の症状を疑う場合、
早めに
病院に行くようにしましょう。
また、
定期的な健康診断を行うことで、
早期発見、
早期治療につながります。
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まとめ
犬のクッシング症候群は
早期発見を心がけましょう
犬のクッシング症候群は
放置した場合、
突然死することもある
恐ろしい病気で、
さらにさまざまな症状が
複雑にみられます。
診断方法や治療方法も
1つではないことを
理解していただいたら幸いです。
普段から
愛犬の様子をよく観察することで、
早期発見・早期治療につながります。
この病気だけでなく、
少しでも愛犬の変化や
異常に気がついたら、
速やかに動物病院へ連絡し、
獣医師と診察方法や
治療方法について相談しましょう。
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