犬のアンダーショット・オーバーショットって?

公開日:2025/01/17 / 最終更新日:2025/03/06
犬のアンダーショット・オーバーショットとは
犬の歯は乳歯で28本、
永久歯で42本です。
乳歯は遅い子で
1歳くらいまで残りますが、
多くは
生後3~7カ月前後で
生え変わります。
犬の噛み合わせは主に
4種類あり、
正しい状態を
「シザーズバイト」と呼びます。
それ以外は
噛み合わせが正しくない状態で
「不正咬合」と呼ばれます。
(ふせいこうごう)
不正咬合の原因は
遺伝と環境にわかれ、
生まれつき
上下の顎の長さに
問題がある場合や
生え変わりのタイミングで
噛み合わせに問題が起こる場合、
怪我で
上下・左右が
アンバランスに成長してしまった場合
などがあります。
不正咬合とは呼びますが、
日常生活に問題がなければ
直ちに
治療が必要というわけでは
ありません。
例えば
アンダーショットが
犬種標準になっている
犬種もあります。
他にも
一部の歯の位置に問題がある
「クロスバイト」や
左右の歯がアンバランスな
「ライバイト」などもあります。
シェットランドシープドッグ
(シェルティー)は
遺伝的にクロスバイトが
起こりやすいと言われています。
シザーズバイト(鋏状咬合)
多くの犬にとって
正しい噛み合わせです。
上の前歯が
下の前歯より
少し前に出ている状態を
言います。
レベルバイト(水平咬合、切端咬合)
上の前歯と下の前歯が
ずれることなく
噛み合っている状態のことです。
アンダーショット(アンダーバイト、下顎突出咬合)
上顎より下顎が長く
下の前歯が
出っ張っている状態のことで、
上下の前歯に隙間ができて
噛み合っていない、
いわゆる
「しゃくれ」の状態です。
飼育頭数が多いこともあり
トイプードルやポメラニアンで
アンダーショットの傾向が
見られやすい印象です。
ブルドッグ、ペキニーズ、パグ、
ボストンテリア、フレンチブルドッグなどの犬種は
アンダーショットが
JKC(ジャパンケネルクラブ)など
血統書発行団体の
スタンダード(犬種標準)になっています。
オーバーショット(オーバーバイト、上顎前出咬合)
下顎より上顎が長く
上の前歯が出っ張っていて、
上下の前歯に隙間ができて
噛み合っていない状態で、
いわゆる
「出っ歯」です。
飼育頭数が多いこともあり、
ダックスフンドやチワワで
オーバーショットの傾向が
見られやすい印象です。

アンダーショット・オーバーショットの原因
アンダーショット
オーバーショットの原因として、
「遺伝」や「乳歯遺残」
「怪我」などの可能性が
挙げられます。
「遺伝」によるアンダーショット
- ブルドッグ
- ペキニーズ
- パグ
- ボストンテリア
- フレンチブルドッグ
などの特定の犬種は
アンダーショットが
犬種標準として
繁殖が行われています。
「乳歯遺残」によるアンダーショット・オーバーショット
乳歯が抜けずに
永久歯への
生え変わりを邪魔する
「乳歯遺残」で
歯並びが悪くなり、
アンダーショット・オーバーショットの
傾向が出ることがあります。
「怪我」によるアンダーショット・オーバーショット
顎が
アンバランスに成長してしまったり、
怪我などによって
顎がずれてしまった場合に
アンダーショット・オーバーショットの
傾向が出ることがあります。

アンダーショット・オーバーショットの治療
治療は
問題が「見た目」なのか
「犬にとって苦痛」なのかで
必要性が変わります。
犬自身の生活に
問題がないのであれば
積極的に
治療を行う必要はありません。
治療では
抜歯手術をする場合があり、
全身麻酔で行う
リスクなどもあります。
見た目を良くする
審美歯科治療は
犬に余計な苦痛を与えるため
推奨できません。
抜歯手術
アンダーショット・オーバーショットは
顎の長さが原因となるため
抜歯では
根本的な治療にはなりませんが、
乳歯遺残の場合に
乳歯を抜く処置をします。
歯が口の中で刺さっている、
もしくは
歯と歯がぶつかり
変な音がする、
歯肉への悪影響がある場合は
抜歯をする必要があります。
刺さらない長さに
歯を切る
選択肢もありますが、
露出した歯髄の処置を
適切に行う必要があるため
歯科治療に
力を入れている病院でなければ
抜歯が選択されます。
歯を抜くことに
抵抗を感じる飼い主さんも
多いとは思いますが、
犬は人と違って
ごはんを丸飲みするため
デメリットは大きくありません。
矯正
犬の場合、
ほとんどの問題は
抜歯や切断で解決できるため
矯正は審美治療になります。
インクラインプレインなどの
矯正器具はありますが、
人と同様に
長期間の装着が
必要になるため
犬の負担を考えて
通常は行いません。

アンダーショット・オーバーショットでよくある質問
不正咬合は、
その名称や
見た目のわかりやすさから
飼い主さんが
気にしやすい問題です。
よくある質問を紹介します。
アンダーショット・オーバーショットは治る?
顎の長さは
変えられないため
根本的に治ることはありません。
根本的に治すには
顎の切断手術が
必要になりますが、
犬の負担や
リスクが大きすぎるため
通常は行われません。
歯が口の中で刺さっている場合は
抜歯や歯を切断することで
問題を解決することができます。
歯石がつきやすくなる?
歯並びが良くないことで
歯垢・歯石がつきやすくなる
可能性はあります。
アンダーショット・オーバーショットに
限ったことではありませんが、
毎日の歯磨きをすることで
健康的な口内環境を
維持することができます。

まとめ
- 原因は遺伝と環境の可能性がある
- 歯肉に悪影響を与える場合に治療する
- 生活に支障がなければ治療の必要はない
- 歯周病を防ぐため毎日の歯磨きが大切
犬の歯並びは
シザーズバイト以外は
「不正咬合」とされます。
アンダーショット・オーバーショットも
「不正咬合」ですが、
ブルドッグなど
犬種によって
標準とされる場合もあります。
アンダーショット・オーバーショットの
原因として
歯が
口の中に刺さってしまっているなど
犬にとって
苦痛がある場合は
抜歯などの治療を
行うことがありますが、
そうでない限り
積極的な治療を
行う必要はありません。
歯並びによって
歯石が溜まりやすくなりますので、
日常の歯磨きなど
お口のケアを
しっかり行ってあげるように
しましょう。

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