犬のアレルギー!検査で何がわかるの?
公開日:2022/12/22 / 最終更新日:2023/11/08
犬はアレルギー検査を受けたほうが良いの?
結論から先に言うと、
アレルギー症状が出ていない
健康な子が
アレルギー検査をすることには
あまり意味がありません。
逆にデメリットのほうが
大きくなってしまう可能性があります。
例えば、
牛肉を使ったごはんを
食べている子が
アレルギー検査を受けて、
牛肉アレルギーに陽性反応が出た場合、
飼い主さんとしては
どうでしょうか?
「牛肉を避けたほうがいいのかな」
と思うはずです。
実際、
何か症状が出たことも
獣医師から止められたこともないのに、
「うちの子は◯◯アレルギーだから」
と決めつけて
陽性が出た食材を
避けてしまう飼い主さんもいます。
愛犬の食事の選択肢を
狭めてしまうことになりますので、
アレルギー検査は
やる意味を
理解して受けるようにしましょう。
※アレルギー検査の結果で
陽性反応が出たとしても、
症状が出る犬と出ない犬がいます。
反応が弱い食材で
症状が出ることもありますので、
アレルギーかどうかは
実際にフードを与えてみないと
判断できません。
血液を使ったアレルギー検査は
アレルゲンを見つけるための
参考にはなりますが、
確定診断を行うための価値は
ほとんどありません。
犬のアレルギーとは
そもそもアレルギーとは、
免疫機能が
過剰に働くことを意味します。
みなさんの中にも、
毎年、
花粉症で悩んでいる方が多いと思います。
アレルギー反応が起こると
皮膚疾患や
下痢・嘔吐などが生じます。
まれですが、
狂犬病ワクチン接種後に
アナフィラキシーが起こって
死に至ることもあります。
アレルギーを起こす物質は
「アレルゲン」と呼ばれ、
大きく「環境アレルゲン」
「食物アレルゲン」の二つにわけられます。
環境アレルゲン
- ハウスダスト
- 花粉(スギ、ヒノキ、ヨモギ、ブタクサなど)
- ダニ
- ゴキブリ
- ラテックス(ゴム)
- マラセチア(真菌)
など。
食物アレルゲン
- 牛肉
- 豚肉
- 鶏肉
- 鹿肉
- 卵
- ミルク
- 大豆
- コーン
- 小麦
- 魚
- 玄米
など。
ドイツの研究チームによると、
犬のアレルゲン食品として
最も報告が多いのは牛肉で、
乳製品、鶏肉、小麦と
続いたそうです。
犬にアレルギー症状が出る理由
アレルギー症状は
何か一つの「アレルゲン」によって
発症してると
思われがちですが、
実は「環境」や「体質」も含めた
3つの要素が
重なり合った結果として発症します。
環境というのは、
大気汚染や化学物質の
皮膚への付着や
食事からの摂取が挙げられます。
居住環境や衛生環境も含まれ、
近年私たちのアレルギー症状が
増加している原因の一つに、
大気汚染など
環境悪化が関係していると考えられています。
また、
犬もアレルギーを発症しやすい体質の子と
そうでない子がいます。
遺伝的な場合もありますし、
後天的な場合もあります。
例えば、
人の場合では
赤ちゃんの頃に
衛生的すぎる環境にいた子は
大人になってから
アレルギーを発症しやすいことが
わかっています。
アレルギーコップ説
アレルギーは
何か一つの原因で発症するものではなく、
- アレルゲン
- 環境
- 体質
という3つが重なり合った
結果として
発症すると説明しました。
しかし、
それらが重なり合ったからといって
必ず発症するというわけではありません。
アレルギー発症のメカニズムを
説明するのに
よく用いられるのが
「アレルギーコップ説」
というものです。
体をコップに例え、
そこに先ほどの要素が
水として注がれていきます。
そしてコップから
水が溢れたとき、
アレルギーが発症するという考え方です。
アレルギーを発症しやすい犬と
そうでない犬がいるのは、
体質が大きく影響しています。
アレルギー体質の子は
コップに水が入った状態からスタートし、
環境やアレルゲンなどの要素が
注がれていきますので、
アレルギー体質でない子に比べて
コップがいっぱいになりやすいのです。
犬のアレルギー検査とは
アレルゲンは
何十種類もありますので、
何が愛犬にとっての
アレルゲンなのかを知るためには、
アレルギー検査をする
必要があります。
アレルギー検査と
一言で言っても、
調べる種類や
調べ方によって種類があります。
犬のアレルギー検査の種類
アレルギー検査には
主に3つの種類があります。
- 特異的IgE抗体検査
- 非特異的IgE抗体検査
- リンパ球反応検査
「特異的IgE抗体検査」は
特定のアレルゲンに
反応するかを調べるものです。
「非特異的IgE抗体検査」は
アレルギー体質かどうかや、
何か症状が出たときに
アレルギー反応が出ているかを
確かめるために行われます。
「リンパ球反応検査」は
アレルギー性皮膚炎など
皮膚疾患で
アレルギーが疑われる際に利用されます。
犬のアレルギー検査のやり方・期間
アレルギー検査は
採血をして、
血液検査によって行われます。
専門機関に送られて
検査をしますので、
結果がわかるのは1~2週間後です。
犬のアレルギー検査の値段・費用
アレルギー検査の値段や費用は、
「検査の種類」や
「調べるアレルゲンの種類」によって
変わります。
動物病院によっても
異なりますが、
1~3万円ほどで行われています。
ペット保険は
治療の一環で行われる場合に
適用されるのが一般的です。
特にアレルギー症状が見られない子を
検査する場合、
保険は適用されません。
保険会社によっても
条件が異なりますので、
事前に確認するようにしましょう。
犬のアレルギー検査のメリット・デメリット
アレルギー検査は
アレルギー症状の治療をする際に
有効です。
メリット・デメリットがありますので、
それぞれ説明します。
犬のアレルギー検査のメリット
アレルギー症状が出た場合、
問題になるのは
「原因が何か」です。
いつもと違う食べ物を食べたり
散歩中に草むらに入ったりなど、
明らかに
いつもと違う行動があれば
原因は見つけやすくなります。
しかし
慢性的に出ている症状であれば、
何が原因なのか
特定するのは難しいでしょう。
そこでアレルギー検査を
手がかりにすることができます。
特に環境アレルゲンの陽性反応は
信頼性が高いと考えられています。
犬のアレルギー検査のデメリット
アレルギー検査は
手がかりをみつけるためのものです。
アレルギー検査で
原因を特定することはできません。
特に食物アレルゲンの結果は
信頼性が低いと考えられており、
陽性反応が出も
症状が全く出ない場合があります。
飼い主さんの中には
「アレルギー検査で
◯◯が陽性だったから◯◯は食べさせない」
という方がいますが、
本当に食べていけないのかは、
食べさせてみないとわかりません。
症状が出ていないのであれば、
少しずつ食べさせながら
様子を見るようにしてください。
アレルギー検査は、
「食べてはいけないものを見つける検査」
ではなく、
「注意すべき食材の優先順位を決めるための検査」
と考えていただくのが
いいと思います。
犬のアレルギー症状の治療法・対処法
アレルギー症状の治療法や
対処法として、
薬を使った治療や、
アレルゲンを全て
もしくは一部除去する方法、
慣れてしまう方法
(減感作療法)などがあります。
花粉症の方は
イメージしやすいかと思います。
ここで思い出していただきたいのが、
先ほどの
アレルギーコップ説です。
アレルゲンを除去してしまえば
水はこぼれなくなると思いますが、
別の水を減らすことでも
こぼれなくなることに
お気づきでしょうか。
例えば
都会に住む花粉症の人が
山に遊びに行ったとき、
花粉症が酷くなるどころか
逆に楽になることがあります。
これはアレルゲンとしては
増えてしまっても、
綺麗な空気や開放感で
減った別の水のほうが多かったために
起こると考えられます。
ですから、
食物アレルギーの場合は
すぐ「除去すればいい」と考えず、
どれくらいまでなら
食べても大丈夫なのか
環境や体質を改善できないか
と考えることが大切です。
ただし、
間違った対処をしてしまい
症状が悪化すると
大変ですので、
獣医師に相談しながら
取り組むようにしましょう。
犬のアレルギーの原因を特定する方法
動物病院では、
「除去食試験」と「食物負荷試験」
が行われます。
除去食試験では、
アレルギー専用の
療法食を用いながら
アレルギーを発症しない
フードを見つけていきます。
問題ないフードが見つかれば、
今度は
アレルゲンの疑いがある食材を加えて、
症状が出るかを確認します。
それが食物負荷試験です。
これにより、
「何をどれくらい食べると症状が出るのか」
ということがわかり、
逆に言うと
「どれくらいまでなら食べても大丈夫なのか」
ということも
わかるようになります。
全く食べさせないようにしていたけど、
実は少量であれば
食べても大丈夫だった
ということは珍しくありません。
犬のアレルギーが気になる場合のドッグフード選び
ドッグフードを選ぶ際に
アレルギーが
気になる飼い主さんも多いと思いますが、
特に症状が出ていないのであれば
気にせず与えて大丈夫です。
アレルギー症状が出て
食べ物が疑わしい場合は、
アレルギー検査や
食物負荷試験を受けて
原因を特定するのが
一つの解決策になります。
まとめ
- アレルギー検査は症状が出ている子が受けるもの
- 「陽性だったから食べさせない」は正しい使い方ではない
- 原因の除去だけでなく環境、体質の見直しで改善することも
アレルギー検査は
アレルギー症状の原因が
何かを探る際の
手掛かりとして使うものです。
食物アレルギーの陽性反応も
信頼性が高いとは言えず、
陽性だったものを
食べたからといって
必ず発症するわけではありません。
症状が出ていない場合に行うと
飼い主さんを無駄に
不安にさせてしまうこともありますので
注意してください。
症状が出ていないのに
「◯◯はアレルギーだから」
と決めつけてしまうと、
愛犬の食事の選択肢を
狭めてしまいかねません。
本当に食べてはいけないのか、
どれくらいまで
食べて大丈夫なのか、
飼い主さんがしっかり判断して
愛犬の食生活を
より良いものにしてあげてください。
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