犬のアトピー性皮膚炎!症状や原因って?
公開日:2024/08/07 / 最終更新日:2024/08/07
犬のアトピー性皮膚炎とは
犬のアトピー性皮膚炎は
「特徴的な臨床症状を伴う遺伝的素因を有した
炎症性・掻痒性のアレルギー性皮膚炎であり、
症状のほとんどが環境アレルゲンに対する
IgE抗体と直接関連する」と
定義されています。
そして
その環境アレルゲンとして、
室内飼育犬では
ハウスダストマイト
(コナヒョウダニ、ヤケヒョウダニ)に対する
IgE増加が
多く見られます。
しかし、
犬アトピー性皮膚炎に合致した
臨床症状を有す症例の
約10%で
環境アレルゲンに対する
IgEの上昇が
見られないといわれており、
このような病態を
アトピー性皮膚炎と呼ぶ
ことがあります。
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犬のアトピー性皮膚炎が出やすい犬種・年代
犬のアトピー性皮膚炎の
好発犬種として、
以下の犬種が
報告されています。
- ラブラドールレトリバー
- ウエストハイランドホワイトテリア
- ミニチュアシュナウザー
- パグ
- ヨークシャーテリア
発症年齢は
一般に6カ月~3歳頃までですが、
より高齢での
発症の報告もあります。
犬のアトピー性皮膚炎の症状
主な症状は
- 湿疹(しっしん:皮膚表面に発生する炎症)
- 鱗屑(りんせつ:皮膚表面の角質細胞が剥がれたもの)
- 脂漏(しろう:皮脂腺の分泌が過剰な状態)
- 紅斑(こうはん:皮膚表面が赤い状態)
- 苔癬化(たいせんか:象の皮膚のように厚く硬くなった状態)
などの病変です。
その病変の分布は
左右対称性であり、
眼囲、口囲、耳介(耳の穴より外部に突出した部分)、
四肢関節部、脇の下、太ももの付け根、
腹部、指と指の間によく見られます。
二次的な感染症
(膿皮症、マラセチア、外耳炎等)が
併発疾患として
見られることもあります。
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犬のアトピー性皮膚炎の原因
犬種により
犬アトピー性皮膚炎の発症率に
差があることから、
遺伝的な影響が
考えられています。
また、
犬種および居住地域
(気温や花粉の影響など)を含む
多くの要因によって
発症年齢が決定されると
考えられています。
犬のアトピー性皮膚炎の検査・診断方法
犬アトピー性皮膚炎は、
病歴や皮疹の分布などの臨床症状と、
他の
掻痒性疾患の除外で診断されます。
また、
皮膚科的検査により
細菌や真菌の感染や
外部寄生虫の有無などを調べたり、
採血を行い
アレルギー検査により
アレルギー反応を起こす原因を
調べたりするなどを、
必要に応じて行います。
アレルギー検査は、
特異的IgE検査と呼ばれ、
どのアレルゲンに反応する
(アレルギーの原因となる物質)
IgE抗体を持っているかを
調べる検査です。
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犬のアレルギー!症状や原因って?
以下に
代表的な検査項目を示します。
- チリダニ(コナヒョウダニ・ヤケヒョウダニ)
- コナダニ(ケナガコナダニ・アシブトコナダニなど)
- カビ(アスペルギルスなど)
- 虫(ノミ・蚊など)
- 花粉(ブタクサ・スギなど)
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また、
犬アトピー性皮膚炎には、
Favrotらにより提唱された
犬アトピー性皮膚炎
診断基準があります。
以下の8項目中、
5項目以上を満たす場合に
犬アトピー性皮膚炎と診断すると、
感度85%・特異度79%であるというものです。
これは、
犬アトピー性皮膚炎の犬で
この診断基準に合致する犬は85%で、
犬アトピー性皮膚炎でない犬で
この診断基準に合致しない犬は
79%であるということを
意味します。
- 初発が3歳未満
- 主に室内飼育
- グルココルチコイド(ステロイド)に反応する痒み
- 初発時は皮膚病変がなく痒みのみ
- 前肢の病変
- 耳介の病変
- 耳介辺縁は病変がない
- 腰背部は病変がない
※感度・特異度とは
感度・特異度共に100%に
近ければ近いほど
正確な検査であるといえます。
ちなみに、
感度とは
ある病気にかかっている人の
検査陽性者の割合で、
特異度とは
ある病気にかかっていない人の
検査陰性者の割合のことです。
犬のアトピー性皮膚炎の治療方法
まず、
犬アトピー性皮膚炎の
治療原則として、
単一の治療法が
全ての犬アトピー性皮膚炎の治療に
効果的であるとは限りません。
そこで
治療効果を
最大限に発揮すると同時に、
費用と副作用を最小限に止めるため、
治療法を組み合わせることを
考慮します。
犬アトピー性の治療方法は、
大きく
以下の三つに分けられます。
- 皮膚炎を悪くするアレルギーや
刺激(増悪因子)を避けること - スキンケアをすること
- 痒みを抑える治療を行うこと
増悪因子回避の例
- 非季節性の痒みの場合、食物除去試験を行う
- アレルゲン検査により環境アレルゲンを同定し、
可能な限りアレルゲンを回避する - 皮膚や耳に細菌感染やマラセチア感染があれば、
抗菌薬による治療を行う
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スキンケアの例
- 低刺激性シャンプーによる洗浄を行う
- 必須脂肪酸サプリメントを投与する
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痒みを抑える薬・治療法の例
経口グルココルチコイド(ステロイド内服薬)
- 抗炎症作用や免疫抑制作用などにより、
皮膚炎などにおける湿疹、痒み、赤みなどを和らげる - 汎発性の皮疹において、急性期および慢性期の治療に用いる
外用グルココルチコイド(ステロイド外用薬)
- 剤形には、軟膏剤、クリーム剤、液剤、スプレーなどがある
- 限局性の皮疹において、急性期および慢性期の治療に用いる
- 再発予防として間欠的に用いる(プロアクティブ療法)
オクラシチニブ
- ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬に分類される
- さまざまなアレルギー性疾患に有効である
- 汎発性の皮疹において、急性期および慢性期の治療に用いる
シクロスポリン
- カルシニューリン阻害薬に分類される
- 高用量で免疫抑制作用、低用量で消炎作用がある
- 慢性期の治療に用いる
組み換え犬インターフェロンγ
- 免疫系および炎症の調節などの働きをする
サイトカインの一種である - 犬アトピー性皮膚炎における症状の緩和に用いられる
減感作療法
- 原因抗原への暴露による症状を緩和するため、
アレルギーの原因として考慮される抗原の抽出物を
ごく少量から徐々に量を増やし繰り返し投与する治療法である - アレルギー性疾患における唯一の
原因特異的治療法と考えられている - 皮下投与と経口減感作療法がある
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犬のアトピー性皮膚炎の予後
慢性・反復性の経過をたどり、
ほとんどの犬は
生涯にわたる治療が
必要となります。
また、
犬アトピー性皮膚炎の治療は
獣医師によって異なるので、
治療をしていても
症状が治まらない場合は、
他の動物病院を
受診してみるのも良いでしょう。
治療の期間も長く、
繰り返すことも多い病気なので、
獣医師との相性も大切です。
まとめ
犬のアトピー性皮膚炎は獣医師と相談を
犬アトピー性皮膚炎は、
ほとんどの犬が
生涯にわたる治療が
必要となるので、
さまざまな治療法について検討し、
獣医さんと
よく相談してみるといいでしょう。
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