犬のてんかん!痙攣の原因!症状や、治療法って?
公開日:2024/07/30 / 最終更新日:2024/07/30
犬のてんかん発作(痙攣)とは
一般的に
てんかん発作とは、
脳の神経細胞が
過剰に興奮することで生じる
症状で、
激しい全身の
痙攣を伴うことが一般的です。
通常、
脳は興奮したり、
それを抑制する働きがあり、
普段は均衡が取れた状態を
維持しています。
何らかの原因で、
脳の興奮が
過剰になってしまったときに
てんかん発作が起こります。
発作というと、
人の心筋梗塞などで生じる
心臓発作や、
突然呼吸が苦しくなる
喘息発作など、
さまざまなものが含まれますが、
今回は脳が原因で起こる
突発的な発作症状である
「てんかん発作」についてです。
犬のてんかん発作(痙攣)の症状
てんかん発作といっても
症状はさまざまであり、
大きな痙攣を伴う発作から
局所的な症状しか示さない
小さな発作もあります。
まずは
代表的な発作の症状について
解説します。
- 焦点性てんかん発作
- 全般性てんかん発作
- 非痙攣性全般てんかん発作
焦点性てんかん発作
手足が引きつるなどの
体の一部にのみ
限局して生じる発作です。
通常、
意識は正常に見られることが
多いです。
- 「流涎(りゅうぜん(よだれを垂らす)」
- 「顔面の一部がピクピクする」
などの症状が
犬では比較的よく見られます。
全般性てんかん発作
犬で最も一般的な
てんかん発作のタイプです。
突然意識を失い、
横になり
手足を痙攣させる
全身性の発作のことを
示します。
焦点性てんかん発作から始まり、
全般性てんかん発作へ
移行することもあります。
通常意識はなく、
飼い主の呼びかけにも
正常な反応ができません。
四肢が緊張し
強く突っ張ってしまう発作を
「強直性発作」といいます。
その他、
四肢が遊泳するように
リズミカルに動く
「間代性発作」、
両方が続いて起こる
「強直間代性発作」が、
一般的な
全般性てんかん発作として
見られます。
流涎や失禁などの症状が
同時に見られることも多いです。
多くは
2、3分程度で
激しい痙攣症状は
消失します。
発作が起きる前に、
不安そうにソワソワしたり、
性格が変化するなどの
「前兆」が見られることがあります。
また、
大きな発作が終息した後も、
うろうろ徘徊・歩き回ったり、
呼びかけに反応が鈍かったり、
ふらつくなどの発作の後遺症が
数十分程度続くことがあります。
通常このような後遺症は
時間とともに完全に消失します。
非痙攣性全般てんかん発作
脳の中では
発作が生じているものの、
上記のような
全身の痙攣を伴なわないものもあります。
動物は力が抜けて
脱力していたり、
一見寝ているだけのように
見えることもあります。
発作かどうかの区別が
非常に難しくなります。
犬の「痙攣」と「震え」の違い
てんかん発作による
痙攣と判断が難しい症状として
「震え」があります。
「振戦(しんせん)」と
呼ばれることもあります。
このような
筋肉の小刻みな動きは、
- 「興奮」
- 「緊張」
- 「疼痛」
- 「ストレス」
- 「寒さ」
などにより
生理的に見られることもあれば、
てんかん発作以外の
脳の病気や
筋肉の問題で
起こることもあります。
前述の
全般性てんかん発作などの
大きな痙攣が見られる場合は、
判断は容易ですが、
激しい痙攣を伴わない場合は、
てんかん発作による痙攣と
その他の原因で起こる
「震え」との判断が
難しい場合があります。
生理的な震えの場合は、
緊張やストレスがかかる
特定の環境下で
症状が出やすかったり、
一般的に数分で終息する
てんかん発作と異なり、
比較的
持続的に見られることが多いです。
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震えに似た症状
震えに似た症状で、
突然
手足や顔面の筋肉が
「ビクッ」となる症状が
見られることがあります。
これは
「ミオクローヌス」と呼ばれる症状で、
「しゃっくり(横隔膜のミオクローヌス)」などのように
生理的に見られることもあります。
繰り返し
頻繁に起こる場合は、
ミオクロニー発作と呼ばれる
てんかん発作の1つである
可能性があります。
てんかん発作なのか、
そうでない
別の症状であるのか、
見分けることが
非常に難しいことも多いです。
はっきりしない場合は、
動画などで撮影し
主治医や専門医に
相談することをお勧めします。
また、
どのような時に
その症状が起こるのかを
記録しておくことも
良いでしょう。
犬がてんかん発作を起こした場合に
考えられる原因・病気
てんかん発作を起こす原因は、
「脳の病気で起こるもの」と
「それ以外の原因から二次的に起こるもの」が
考えられます。
主な原因・病気と
それぞれの特徴は以下の通りです。
特発性てんかん
正確な原因の特定は
難しいことが多く、
そのようなてんかんを
特発性てんかんと呼ばれます。
多くは
6歳までに初めて
てんかん発作を起こし、
繰り返し症状が見られます。
てんかん発作以外の症状は
見られません。
発作がない時は
いたって正常で、
普段通りの生活が可能です。
診察室で獣医師が行う
神経の評価
(神経学的検査)でも
異常が全く見られません。
さらに、
血液検査やMRI検査などでも
異常は見かりません。
このように、
てんかん発作が見られる以外は
すべて正常であり、
反応性てんかんや
構造性てんかんが除外されたものが
「特発性てんかん」と
分類されます。
遺伝などの素因が疑われますが、
前述した通り
正確な原因の特定は困難です。
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反応性てんかん
- 「低血糖」
- 「腎不全」
- 「肝不全」
- 「ミネラルの異常」
などで起こります。
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脳に器質的な
異常はないものの、
二次的に
脳の過剰な興奮が生じ、
てんかん発作が起こります。
内臓の病気と
関連している場合は、
てんかん発作以外にも、
食欲などの一般状態に
異常をきたしていることが
多いです。
これらの
反応性てんかんは、
一般的な血液検査で
異常が見つかることが多いため、
初めて
てんかん発作を起こしたときは、
血液検査を
しっかり行うことが
推奨されます。
また、
熱中症で
高体温になったときや、
中毒などでも
二次的に
てんかん発作が
見られることがあります。
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構造的てんかん
脳炎や脳腫瘍、
脳梗塞、脳出血、頭部外傷など、
いわゆる「脳の病気」で
発作が起こります。
発作以外にも
神経の異常
(失明、旋回、徘徊などの行動異常、歩様異常)
などが見られることが多いです。
一般的に、
脳腫瘍や脳梗塞、
脳出血は
高齢の犬での発症が多く、
脳炎の場合は
比較的若い年齢で
発症することが多いとされていますが、
さまざまな年齢で
発症が知られいます。
一部の犬種では
脳腫瘍の罹患率が
高い傾向にあり、
犬種や年齢によって
起こりやすさに違いはあるものの、
通常MRI検査や
脳脊髄液検査を行って、
脳の中を調べること
で診断が下ります。
これらを鑑別するために、
まずは
中毒物摂取歴を確認したり、
血液検査により
反応性てんかんの
除外を行います。
必要に応じて
MRI検査などを行い、
脳に病気がないかを
調べることも重要です。
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犬がてんかん発作を起こした場合の対処法
愛犬が痙攣、
てんかん発作を
起こしてしまった場合の
対処法を
- 「飼い主さんができることと注意したいこと」
- 「病院を受診したほうが良い場合」
に分けてご紹介します。
飼い主さんができることと注意したいこと
大きな痙攣発作を起こしても、
まずは
慌てないことが重要です。
痙攣発作中、
犬は意識がなく
周りの状況が
わからなくなってしまっています。
無理に抑えつけようとすると、
噛まれて
負傷してしまうこともあります。
特に舌を噛まないよう
口にものを噛ませることは
危険ですのでやってはいけません。
まずは、
無理に触らずに、
そっと見守ることが必要です。
周囲にぶつかって
危険なものがある場合は、
なるべくどけて
犬が怪我をしないようにします。
どかせないものは、
毛布やクッションで
カバーするようにしましょう。
また、通常は
2、3分で大きな痙攣は終息します。
その後は、
しばらく落ち着かない様子が
続くこともありますが、
優しく声をかけながら
見守ることが重要です。
また、
痙攣発作なのかどうか
わかりづらいこともあります。
一瞬で終息してしまう場合は
難しいかもしれませんが、
携帯電話などの動画で
撮影することで
判断がしやすくなります。
言葉だけで
症状を伝えることは
難しい場合でも、
動画見せることで
診断のヒントが
得られることがあります。
繰り返し
痙攣発作が起こる場合は、
発作の頻度や
持続時間を記録することも
重要です。
また、
発作が起こったときに、
何かいつもと違う
イベントがなかったかどうかも
記録しておくとよいでしょう。
例えば、
- 「来客後に起こった」
- 「天気が悪いとき(気圧が変化したとき)に起こった」
- 「旅行の帰りに起こった」
などの
何らかのきっかけが
あることもあります。
このような
「てんかん発作日記」をつけてることで、
発作を未然に防ぎ、
発作がひどくならないような
対応ができることがあります。
病院を受診した方が良い場合
通常の痙攣発作は、
2、3分で終息することが多いです。
すぐに終息し、
動物の状態が
落ち着いている場合は、
慌てる必要はありませんが、
初めて
痙攣発作を起こした場合は、
なるべく病院を受診することを
お勧めします。
特に、
次のような場合は
早急に病院を受診する
必要があります。
- 5分以上発作が止まらない(発作重積状態と呼びます)
- 1日に複数回の発作を起こしている(発作群発と呼びます)
- 発作後にボーっとする状態(発作の後遺症)が
いつもより長く続いている
このような場合は、
脳のダメージを回避するために、
すぐに
病院で発作を止める必要があります。
また、
一般的に
てんかん発作が長く起こることで
治療に対する反応が
悪くなることが知られているため、
上記のような場合は
早めに治療を開始することが
推奨されています。
病院に受診するか迷った場合は、
直接病院に連絡して
相談しましょう。
犬のてんかん発作が続くとどうなるのか
通常、
短い単発の
てんかん発作で
命に関わることはまれですが、
大きな痙攣発作が長く続き、
止まらなくなった場合や、
繰り返し
痙攣発作を起こすと、
脳に
ダメージが生じることがあります。
特に
30分以上
大きな痙攣発作が続いてしまうと、
脳にダメージが生じ、
後遺症が
残ることも少なくありません。
また、
持続的な痙攣発作により、
脳だけではなく、
心臓や腎臓、筋肉などにダ
メージが生じることもあり、
痙攣発作は
全身に影響する
重篤な状態であり、
最悪の場合に
死に至ることもあると
認識する必要があります。
1回の
てんかん発作で
慌てる必要はありませんが、
止まらなくなってしまったときは
危険だと認識しましょう。
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犬のてんかん発作の治療
てんかん発作の頻度が
多い場合は、
原因が何であっても、
抗てんかん薬と呼ばれる
発作止めの薬が
必要になります。
反応性てんかん発作の場合は、
原因を治療しない限り
発作のコントロールは
難しくなります。
薬を開始するタイミングは、
痙攣発作の原因や
頻度によるため、
主治医と相談が
必要になります。
犬で使用される
抗てんかん薬は
いくつかの種類があり、
動物の年齢や状態、
てんかん発作のタイプ、
投与方法、
投薬費用などによって
適切な薬の選択が
必要となります。
必ずしも選択肢は
1つではありません。
また、
一般的に
抗てんかん薬は生涯にわたって
投与することが多いです。
定期的な血液検査や
血中濃度の測定を行いながら、
副作用がないことを確認し
適切な投薬を行っていくことが
重要です。
急な
抗てんかん薬の中止は、
発作が
ひどくなることもあるため、
毎日忘れずに
投与することも重要です。
また、
脳の病気が原因の
「構造的てんかん」などがある場合は、
抗てんかん薬以外の投薬が
必要になることがあります。
これらを診断し、
適切な治療を行うためには
MRI検査などが
必要になることがあります。
原因の特定が困難な
「特発性てんかん」の場合は、
多くの症例で
抗てんかん薬により
良好に発作がコントロールでき、
発作がなければ
元気にいつも通りの生活が可能です。
約20~30%の症例は
難治性といって
複数の
抗てんかん薬が必要になることがあります。
発作のコントロールが
難しい場合や、
特殊な検査・診断が
必要な場合は、
必要に応じて
専門の獣医師の診療を
受けることをお勧めします。
まとめ
犬のてんかん発作は冷静な対応を
犬のてんかん発作は
誰もが慌ててしまう
心配な症状です。
だからこそ、
もし起こってしまった時に
冷静に対応できるよう、
てんかん発作の原因や
対処法について紹介しました。
原因によって
治療方法が変わることもあるため、
適切な診断・治療を受ける
必要があります。
そのため、
普段から頼りになる
主治医を見つけておくことや、
治療に困った際には
専門医の助言を
受けることも重要です。
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