犬に食物繊維は必要なの?
公開日:2021/07/27 / 最終更新日:2023/05/30
食物繊維は犬にも大切な栄養素
食物繊維は三大栄養素の一つ、
炭水化物に含まれ、
犬にも大切な栄養素です。
実は古くから
「栄養としての価値はなく、食感を悪くする邪魔者」
として扱われてきたのですが、
近年の研究によって
その価値が見直されてきました。
タンパク質や脂質、糖質は
消化管から出る酵素によって消化されますが、
食物繊維は
消化されずに腸内制菌の発酵を受けて
短鎖脂肪酸となります。
短鎖脂肪酸は脂肪の材料になったり、
エネルギー源になったり、
pHを低下させて
病原性細菌の増殖を抑えたりします。
※短鎖脂肪酸は
牛や馬などの草食動物にとって
重要なエネルギー源ですが、
消化管が短い犬では
主なエネルギー源にはなりません(5%以下)。
犬が食物繊維を摂ることで期待できる効果
食物繊維は「水に溶けやすい水溶性」と
「水に溶けにくい不溶性」の2種類の特性を持ちます。
水溶性は水に溶けて
ゲル状になって胃腸に溜まり、
不溶性は保水して
フードや糞便をかさ増しするのが特徴です。
期待できる効果
共通
- 腸内細菌のエサとなり腸内環境を改善
- 食後の血糖上昇をゆるやかにして糖尿病を予防
- 腸内の病原性細菌を減らし腸疾患やがんを予防
- 短鎖脂肪酸がナトリウム、塩素、水の吸収を促進
水溶性
- 胃に溜まり満腹感を持続
- 下痢の改善(過剰な水分を吸水)
- LDLコレステロールを低下させる
- 増粘安定剤やゲル化剤など食品添加物として利用
不溶性
- フードのかさ増しによるダイエット効果
- 便秘の改善(糞便の保水、腸の動きを活発化)
代表的な食物繊維を
水溶性と不溶性にわけると
以下のようになります。
ペクチンやグアーアムは
腸内細菌による発酵を受けやすく、
セルロースは保水力が高い
※1、ペクチンは野菜や果物に含まれ、
粉末を精製する際は
リンゴや柑橘類などの
絞りカスが利用されます。
※2、寒天は水溶性食物繊維だけでなく
不溶性食物繊維も含みます。
食物繊維は犬の腸内環境を整える
腸内にはさまざまな細菌がいることから
「腸内細菌叢(そう)」や、
お花畑に例えて「腸内フローラ」と呼ばれます。
腸内細菌が体に与える影響は大きく、
バランスが崩れると
アレルギーや炎症性腸疾患、
下痢につながります。
腸内環境を整えるためには、
腸内細菌「プロバイオティクス」や
腸内細菌の増殖を促進する「プレバイオティクス」
が重要です。
食物繊維はプレバイオティクスとして、
腸内環境の改善に役立ちます。
食物繊維の摂りすぎに注意
食物繊維が
体に良い影響を与えてくれると言っても、
摂りすぎれば逆効果になります。
例えば食物繊維はタンパク質や脂質、
糖質のエネルギー利用効率を低下させるため、
ダイエットが必要ない子は
エネルギー不足になってしまいます。
便秘の改善に効果的な不溶性食物繊維も、
摂りすぎると
便秘を悪化させる場合があります。
特に腸の動きが強すぎることで起こる
「けいれん性便秘」の場合、
かさ増しによって
余計に刺激を与えてしまいます。
水溶性の場合も摂りすぎると
下痢を悪化させる可能性があります。
ダイエットのために
高繊維食を手作りしたり、
サプリメントとして
食物繊維をトッピングしたりする際は、
与えすぎに注意しましょう。
犬が摂るべき食物繊維の量
食物繊維は
犬にとって大切な栄養素ですが、
必須ではありません。
そのため総合栄養食の
栄養基準を策定している(米国飼料検査官協会)は、
食物繊維について
必要量の基準値を設けていません。
必須ではないものの、
健康な体をつくるためには
乾物中5%未満の繊維量が目安とされています。
摂り過ぎは良くありませんので、
減量用でも乾物中12~25%、
肥満再発予防でも10~20%が推奨されています。
※ドッグフードの成分表に表記されている
「粗繊維」の「粗」は「大まか」という意味で、
繊維を厳密に算出することが難しいため
用いられる表現です。
特に水溶性の繊維が除外され、
実際の繊維量より
少なく表示されている場合があります。
犬にオススメの食物繊維が多く含まれる食べ物
食物繊維を多く含む
野菜や果物を
毎日のごはんにトッピングしたり、
おやつとして
食べさせてあげたりしてはいかがでしょうか?
食べ過ぎれば肥満になってしまいますので、
1日の最適カロリー量の
10%を超えないように注意してください。
食物繊維を多く含む野菜
- じゃがいも
- さつまいも
- 枝豆
- モロヘイヤ
- じゃがいも
- かぼちゃ
- オクラ
- ブロッコリー
- とうもろこし
食物繊維を多く含む果物
- キウイ
- 桃
- 洋梨
- りんご
- 柿
- びわ
- いちご
- さくらんぼ
食物繊維を多く含むその他の食べ物
- 寒天
- 海苔
- 小麦
- 蕎麦
- 納豆
- 栗
- きのこ
- ひじき
まとめ
- 食物繊維は犬にも大切な栄養素
- 水溶性と不溶性で特徴が異なる
- 腸内環境を整えて健康に
- 摂りすぎると逆効果
長らく「いらないもの」と
考えられてきた食物繊維ですが、
ダイエットから病気の予防、
下痢や便秘の改善など
三大栄養素の一つとして
重要な役割を担っています。
ただ、摂りすぎれば逆効果。
愛犬に最適な量を確認して、
旬の食材などから
美味しく食べさせてあげてくださいね。
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