犬に炭水化物は必要なの?
公開日:2024/10/15 / 最終更新日:2024/10/15
犬に炭水化物は不要という意見は嘘
犬にとって炭水化物は
三大栄養素の一つで、
糖質と食物繊維にわかれます。
犬はもともと肉食でしたが、
人と暮らすようになって
進化を遂げ、
今では
糖質も食物繊維も
犬が健康に生きていくために欠かせない
栄養素となりました。
三大栄養素
- タンパク質
- 脂質
- 炭水化物
- 糖質
- 食物繊維
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犬は炭水化物の消化が苦手という誤解
グレインフリーのドッグフードが
良いとする根拠として、
犬は
炭水化物を消化するのが苦手と
言われることがあります。
残念ながらそれは
間違っていますし、
グレインフリーのドッグフードには
メリットがありません
(アレルギーの子には有効です)。
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ただし
人間と犬だけで比べれば、
犬のほうが
炭水化物を消化するのが
苦手というのは正解です。
なぜなら
人間が唾液に
デンプンの分解酵素である
アミラーゼを含むのに対して、
犬は
含まないからです。
人間と犬で違うのは
唾液のアミラーゼの有無だけで、
そこから先は同じです。
もちろん
消化する力は
人間のほうが強いのですが、
犬も
肉食から雑食に進化する中で
この代謝過程を
獲得していったのです。
この遺伝子変化は
科学的に証明されています。
ちなみに
グレインフリーのドッグフードに
穀物は入っていませんが、
サツマイモやカボチャ、
豆類などの
炭水化物は含みます。
ほとんどの犬にとって
グレインフリーは意味が無く、
グレインフリーと書けば
売れるという
メーカー側のメリットしかありません。
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加熱することで消化性が高くなる
私たちは
炭水化物源として
ご飯を主食にしていますが、
食べる時は必ず
炊いてから食べますよね。
なぜ
生米を食べないのでしょうか?
もちろん
美味しくないからというのも
理由かもしれませんが、
消化に悪いというのが
一番の理由です。
これは
犬にとっても同じで、
生米を漁った犬が
下痢をしたというのは
よくある話です。
お米の主成分であるデンプンは
水と熱を加えることで
構造が崩れ、
消化性が高まります。
これをα化(あるふぁか)、
もしくは
糊化(こか)と言います。
ある研究では、
デンプンがα化されている
ドライフードを食べた犬を調べたところ、
小腸で
100%消化されていたそうです。
炭水化物はアレルギーの原因になる?
もう一つ
グレインフリーのドッグフードが生んだ
誤解の一つとして、
「炭水化物(穀物)は
アレルギーになりやすい」という
誤解があります。
だから
「グレインフリーが良い」とつながるのですが、
ドイツ・ミュンヘン大学の
調査結果を見てみましょう。
犬のアレルゲン食品として
最も報告が多いのは牛肉で、
乳製品、鶏肉と続きました。
小麦は4番目、
悪者にされがちな
トウモロコシは7番目、
米は11番目でした。
つまり、穀物が
アレルギーの原因になりやすい
という科学的な根拠は
無いわけです。
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犬が炭水化物を摂ることのメリット
人との生活を始めた犬は、
炭水化物を仕方なく
摂り始めたのかもしれません。
しかし、
新たな食生活は、
犬にとって
メリットが大きいものでした。
具体的には、
- 「効率的なエネルギーの生成」
- 「腎臓の負担軽減」
- 「食物繊維の有効活用」
が挙げられます。
効率的なエネルギーの生成
もともと犬は肉、
つまり
タンパク質から
エネルギーを生成していました。
食べた肉は
胃酸や膵液によって
アミノ酸に分解され、
小腸から肝臓を通って
全身で利用されます。
脳の栄養源は
ブドウ糖ですが、
肉食動物はそれを
アミノ酸から作りだすこともできます。
それなら、
「やっぱり犬も肉だけで問題ないのでは?」と
思うかもしれませんが、
「肉だけ食べる」ではなく、
「炭水化物も摂る」というのが
ポイントです。
同じ栄養でも、
脂肪やタンパク質より
炭水化物のほうが
効率的にエネルギーを作れるのです。
犬は人間との生活の中で
狩りの機会が減りましたが、
炭水化物を含む人間の残飯が
手に入るようになりました。
炭水化物を摂ることは、
人間と生活する犬にとって
効率的にエネルギーを生み出す
大きなメリットになったのです。
腎臓の負担軽減
タンパク質が
アミノ酸に分解される際、
有害な
アンモニアが出ます。
このアンモニアは
肝臓で尿素に変換され、
腎臓でろ過されて
おしっことして排泄されます。
健康な子であれば
タンパク質の量を
気にする必要はありませんが、
腎臓病の場合は
注意が必要です。
腎臓の負担を減らすため、
タンパク質を制限する
食事療法を行います。
しかし、
タンパク質を減らすと
エネルギーの生成量が
減ってしまいます。
そこで、
変わりのエネルギーを
炭水化物や脂肪から
カロリーを補う必要があります。
犬は
炭水化物を摂ることで、
腎臓の負担を減らしながら
エネルギーを得ることができるように
なったのです。
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食物繊維の有効活用
炭水化物は
「糖質」と「食物繊維」の
二つに分けることができます。
食物繊維は
長らく栄養としての価値はなく
食感を悪くするだけの
邪魔者とされてきましたが、
近年の研究で
健康に欠かせないものであることが
わかってきました。
食物繊維の役割の一つは、
腸内細菌の餌になることです。
腸内細菌も
近年の研究により
肥満や糖尿病、癌、腸疾患など
さまざまな病気に
関連があることがわかってきました。
腸内環境を良くすることで
アレルギーの予防・治療に
つながることもわかっています。
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もう一つの役割として、
便秘の解消があります。
水溶性の食物繊維は
水分を含んで
ゲル状になることで
満腹感を維持したり、
不溶性の食物繊維は
うんちのかさを増やして
腸の動きを
良くしたりしてくれます。
人でも同じですから、
意識して摂っている方
も多いと思います。
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犬がタンパク質ばかり摂ることのデメリット
実は
タンパク質ばかり摂るのは
デメリットがあることも
分かってきました。
高タンパクフードは
犬の攻撃性を高める
可能性があるのです。
体内の
アミノ酸濃度が高くなると、
セロトニンが少なくなり、
イライラ感につながることが
わかっています。
また、
炭水化物を摂らないと
タンパク質から
エネルギーを作らなければいけません。
タンパク質には
皮膚や被毛、内蔵、筋肉、骨、
血液などを作る
大事な仕事がありますので、
エネルギー作りは
炭水化物に任せることで、
効率的な分業ができるのです。
現代の犬は雑食です。
体に良いからと言って
何かを摂り過ぎれば
逆効果になる場合もあります。
何事も
バランスが重要。
バランスの良い食事をすることで、
それぞれの栄養が
体の中で効率的に働き、
健康を維持することができます。
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犬が摂るべき炭水化物の必要量と割合
ある調査によると、
エネルギーを特に必要とする
妊娠したメス犬に
炭水化物を含まない
高タンパク・高脂肪の
食事を与えたところ、
エネルギーが不足して
低血糖や
子どもの減少などが
見られたそうです。
妊娠・授乳期は少なくとも
23%の炭水化物が
必要としています。
なお、
一般的なドライフードは
粒状に加工する際に
デンプンを必要とするため、
30~60%の
炭水化物が含まれています。
ごはんを手作りする際も、
同程度の炭水化物量を
目安にするといいでしょう。
炭水化物量とともに、
カロリー量も大切です。
犬ごとに必要な量は
異なります。
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犬は炭水化物を食べると太る?
最近は人間の
「糖質制限ダイエット」が
広く知られるようになり、
「炭水化物=太る」という
イメージを持っている方も
少なくないと思います。
炭水化物は
糖質と食物繊維に分けられますので、
「炭水化物=太る」というのは
半分間違いです。
食物繊維は
血糖値の上昇を抑え、
便通を良くする効果があります。
ですから、
食物繊維は
ダイエットに有効な成分です。
一方、
糖質は血糖値を上昇させ、
下げるために分泌された
インスリンによって
脂肪へと変わっていきます。
糖質は
エネルギー源として
重要な栄養ですが、
摂りすぎれば太ります。
ダイエットが必要な子は
糖質の多いおやつに
気をつけましょう。
おやつを与える場合は、
1日の最適カロリー量の
10%以内のカロリーになるように
してください。
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犬に与えて良い・悪い炭水化物の食材
手作りごはんやトッピング、
おやつを与える際に
オススメ・オススメしない
炭水化物源を紹介します。
犬に与えて良い食材
- ご飯・お米
- パスタ
- さつまいも
- 栗
- ボーロ
- うどん
- そば
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犬に与えてはいけない食材
- 玄米
- お餅
- タピオカ
- 乳製品
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犬に必要な炭水化物などが含まれるごはん
犬の食べ物は
「エサ」と呼ばれていた時代から、
家族の「ごはん」と
呼ぶ時代へ変わりました。
私たちと同じように、
犬も
栄養バランスの良い
ごはんを食べることで
健康を維持することができます。
ごはん選びをする際は、
以下の2点を
気を付けていただくといいでしょう。
1、総合栄養食を適量与える
犬が必要とする栄養は
人間と同じではありません。
そこで生まれたのが
「総合栄養食」と呼ばれるごはんです。
おやつなど
「一般食」や「副食」と呼ばれる
ごはんだけ食べていると
体を壊してしまいますので、
「総合栄養食」のごはんを
選ぶようにしましょう。
総合栄養食を食べていても
与える量が少なければ
痩せてしまいますし、
多ければ
太ってしまいます。
パッケージに書かれた食事量は
目安ですので、
ボディ・コンディション・スコアで
「3」の「理想体型」を
維持できる量を
与えるようにしてください。
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2、添加物の少ない新鮮なごはんを選ぶ
犬のごはんと聞いて
「カリカリ」と呼ばれる茶色い豆粒を
想像される方も多いと思いますが、
正しくは
「ドライフード」と呼ばれる
加工食品です。
保存しやすく
食いつきも良いことから
犬のごはんとして
一般的になりましたが、
高温加熱によって
食材本来の栄養が失われ、
添加物も多く含まれることから
見直しが進んでいます。
新鮮な野菜を
犬や猫に与え続けることで、
様々ながんに罹るリスクを
軽減することが
研究で判明していたり、
市販のドライフードを製造する
工程の1つである
高温加熱処理が、
タンパク質の品質劣化を招き、
熱に弱いビタミンを破壊し、
さらには
発がん性物質を生成してしまうことが、
研究により判明しています。
そこで生まれたのが
素材本来の旨味や香りが楽しめ、
余計な添加物も入っていない
「フレッシュフード」と呼ばれる
新鮮なごはんです。
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まとめ
- 犬は炭水化物で効率的にエネルギーを得る
- 「タンパク質だけ食べていればいい」は間違い
- 「炭水化物はアレルギーになりやすい」も間違い
- 1日の最適カロリー量を把握して適量を与える
三大栄養素の一つ、
炭水化物は
犬にとっても欠かせない
栄養素です。
犬は人と暮らす中で、
炭水化物から
効率的に
エネルギーを生み出す術を
身につけました。
今では
タンパク質より
炭水化物を好む犬もいるようです。
ただし、
糖質の摂り過ぎは
肥満や糖尿病のもとになりますし、
食物繊維の摂り過ぎは
お腹の調子を
悪くすることもあります。
特定の物だけを
たくさん食べたり、
食べ続けたりすることは避け、
栄養バランスや
1日の最適カロリー量に
注意するようにしてください。
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