犬に必要なタンパク質の量って?
公開日:2022/08/16 / 最終更新日:2023/05/29
犬の必須栄養素「タンパク質」
タンパク質は
三大栄養素の一つで、
犬に欠かせない栄養素です。
ビタミンやミネラルも
大事な栄養ですが、
タンパク質は
犬の体の50%を占め(水を除く)、
筋肉や内臓、皮膚、
骨などあらゆる組織
細胞の源になっています。
犬はもともと肉食でしたが、
人との生活の中で
「肉食寄りの雑食」に
進化しました。
効率的にエネルギーを作るためには
肉だけでなく
野菜などもバランス良く食べる
必要がありますが、
今でも私たち人間より
タンパク質を多く必要とする
体をしています。
犬が1日に必要なタンパク質の量・割合
飼い主さんが
ドッグフード選びで
気にされることの一つに、
「どれくらいのタンパク質が含まれる
フードを選ぶべきか」があると思います。
ペットフードの
栄養基準を決めている世界的な団体
「AAFCO」(全米飼料検査官協会)によると、
水分を抜いた状態のフードに対し、
成犬の場合は18%以上、
子犬は22%以上の
タンパク質が含まれるべきと
されています(※)。
※乾物1kg、代謝エネルギー4000kcal当たり
「AAFCO」(全米飼料検査官協会)のほかに
国産ドッグフードでは
ペットフード取引協議会、
ヨーロッパ産では
FEDIAF(欧州ペットフード工業会連合)などが
栄養基準を決めています。
フード選びの際は、
それらの基準に沿った
総合栄養食になっているかどうかを
確認するようにしてください。
タンパク質が不足した場合に見られる症状
犬はタンパク質が不足すると
成長不良や貧血、
食欲不振、毛艶が悪くなる
といった症状が
見られるようになります。
総合栄養食を食べていても
食べる量が少なければ
タンパク質は
不足してしまいますので、
その子に合ったごはんを
与えるようにしてください。
食べる量が少なくなりがちな
シニア犬(老犬)は
特に注意が必要です。
エネルギーが不足すれば、
筋肉をエネルギー源にするため
分解されてしまいます。
体を動かしにくくなって
余計に食べる量が減ってしまう
悪循環になってしまいますので、
好みのごはんを見つけたり、
食べやすい環境を
作ってあげたりすることが大切です。
高タンパクフードのメリット・デメリット
犬にとって
タンパク質が重要なら、
より高タンパクなごはんを
選ぶのがいいのではないかと
考える方もいるでしょう。
実際、犬は
高タンパクなフードを
好む傾向にあり、
もともと肉食であったことを
考えれば当然と言えます。
しかし、
肉食だったのは過去の話。
先ほど話した通り、
現在は肉だけでなく
野菜もバランス良く食べる
必要があります。
過剰に摂取すれば、
特定の栄養が不足したり
消化の際に肝臓や腎臓に
負担をかけてしまったりします。
高タンパクフードのメリット
タンパク質は
子犬期の成長に
欠かせないものですし、
シニア犬(老犬)や
闘病中の筋力減少を抑えるために
より多く必要な
場合もあります。
しかし、
あえて「高タンパクフード」を
選ぶ必要はありません。
全ての総合栄養食は
必要なタンパク質を
含んでいるからです。
また、タンパク質は
脂質や炭水化物と違って、
たくさん摂取したとしても
体内で蓄積することはできません。
過剰なタンパク質は
ただエネルギーとして燃やされるか、
脂肪に変わって
蓄えられるだけです。
飼い主さんに
注目していただきたいのは、
タンパク質の量ではなく質です。
一言で「タンパク質」と言っても、
フードのタンパク質源として
使われている食材はさまざまです。
量が多くても、
質が悪ければ
実際の消化・吸収率は
低いかもしれないのです。
高タンパクフードのデメリット
犬は人と共に生活する中で
遺伝子を変化させ、
炭水化物も消化して
エネルギーにできるようになりました。
これは単に
食材の選択肢が
広がっただけでなく、
体にとっても
良い効果が生まれました。
犬は摂取したタンパク質を
アミノ酸に分解し、
肝臓でグルコース、尿素窒素、
そしてエネルギーに変換します。
さらにタンパク質の
老廃物である尿素窒素は、
腎臓でろ過します。
つまりタンパク質に頼るほど、
肝臓や腎臓に
負担をかけることになります。
また、高タンパクフードは
犬の攻撃性を高める
可能性があります。
体内のアミノ酸濃度が高くなると、
セロトニンを作るトリプトファンが
脳内に入るのを邪魔します。
セロトニンは
精神安定に深く関わっており、
不足すると
イライラ感に
つながってしまうのです。
手作りごはんのメリット・デメリット
しっかりと
犬の栄養学を勉強した方でない限り、
毎日のごはんを手作りにすること
はオススメしません。
新鮮なごはんを
食べることはとても大切ですが、
栄養バランスが偏っていれば
逆に不健康になってしまうからです。
実際、
手作りフードを食べていた子が
体調を崩して
病院に行ったところ、
手作りフードが原因だったという
事例もあります。
健康のためにしていたことが
不健康につながっては
本末転倒ですね。
手作りごはんのメリット
愛犬のごはんを
手作りするメリットは、
大きく二つあります。
一つは
「新鮮な食材を最低限の加工で
食べさせられる」こと。
もう一つは、
「何を食べさせているかが明確」
ということです。
どれだけ良い食材を使っても、
栄養は加工する際に
失われてしまいます。
ドライフードのような
高温調理では、
それが顕著に起こります。
また、
市販のドッグフードでは
例えば原材料に
「肉」とだけ書かれ、
産地や部位が
詳しく説明されていない
ものもあります。
添加物も
どんなものがどれだけ
使われているのか、
一般的な飼い主さんが
すべてを理解するのは
難しいでしょう。
手作りなら
何をどんな目的で使うかは
飼い主さん次第ですので、
安心して食べさせることができます。
ただ、それには
専門的な知識が必要です。
質の良いタンパク質と質の悪いタンパク質
犬のごはんは、
タンパク質の量よりも
質が大事であることを
お伝えしました。
食材自体の質や
鮮度も大事ですが、
消化しやすい食材を
選ぶことも大事です。
犬が消化しやすい高タンパク食材
動物性タンパク質で
消化しやすい食材は、
卵、チーズ、魚が挙げられます。
タンパク質といえば
肉のイメージがあると思いますが、
熱が加えられていない
肉類のタンパク質は
消化にはよくありません。
肉はゆっくり加熱調理することで
消化しやすい食材になります。
トロトロの角煮を
イメージしてみてください。
繊維状の
タンパク質であるコラーゲンは、
加熱すると65度で
最も硬くなります。
しかし75度を超えると
ゼラチン化して柔らかくなり、
消化にも良くなるのです。
生のままだと消化が悪いのは、
肉だけでなく
大豆や小麦も同様です。
こちらもタンパク質を
大豆から分離させた豆腐や、
小麦タンパクを取り除いた
小麦グルテンであれば
非常に栄養価が高く、
消化に良いタンパク質となります。
まとめ
- 犬は総合栄養食で十分なタンパク質が摂れる
- 必要以上のタンパク質は肝臓や腎臓に負担をかける
- 高タンパクフードが犬の攻撃性を高めてしまう場合も
- 専門知識なしで手作り食にするのは危険
- タンパク質は量より質を重視する
ドッグフードを選ぶ際に
気になるポイントとして、
「タンパク質」を挙げる方は
少なくないと思います。
それは、犬がもともと
肉食だったことから
連想されるイメージが
大きいと思います。
しかし、現代の犬は
肉だけでなく野菜なども
必要とするようになりました。
一つの栄養や
一つの食材に偏るのではなく、
いろいろな食材から
いろいろな栄養を
バランス良く摂ることが、
長生きへの近道となります。
正しい知識で、
愛犬に健康的なごはんを
食べさせてあげてください。
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