犬にミネラルは必要なの?
公開日:2021/07/28 / 最終更新日:2023/05/30
犬にミネラルは必要?
ミネラルは118種類ある元素のうち、
炭素・水素・窒素・酸素を除いた
元素の総称で、
無機質や灰分(かいぶん)と呼ばれることもあります。
ミネラルはエネルギー源になりませんが、
体を動かすために
欠かせない存在として
五大栄養素に数えられます。
ミネラルは犬にとっても必要不可欠なもので、
体内で作ることができないため
食事から摂取しなければいけません。
不足すれば体に不調が起きますし、
摂り過ぎれば中毒症状が出る場合があります。
ミネラルは必要な量によって
「多量ミネラル」と「微量ミネラル」にわけられます。
多量ミネラル
- カルシウム
- リン
- ナトリウム
- マグネシウム
- カリウム
- 塩素
- 硫黄
微量ミネラル
- 鉄
- 亜鉛
- 銅
- ヨウ素
- セレン
- マンガン
- コバルト
- モリブデン
- フッ素
- ホウ素
- クロム
ミネラルはバランス良く摂ることが大事
ミネラルは他のミネラル
やビタミンと相互に作用するため、
バランスが崩れたときの
体への影響が少なくありません。
特定の作用を期待して
サプリメントで安易に補給することはやめましょう。
ミネラルの推奨摂取量は(米国飼料検査官協会)や
(欧州ペットフード工業連合会)によって定められています。
食材だけで
ミネラルバランスを保つことは難しいため、
総合栄養食のドッグフードで
ミネラルを添加することが一般的です。
各ミネラルの主な働きと犬の必要量
ミネラルには
それぞれどのような働きがあるのでしょうか。
主要なミネラルを
犬の必要量とともに紹介します。
カルシウム
骨と歯を形成。
血液や筋肉、神経の働きに関与
必要量0.5~1.8%
リン
骨と歯を形成。
エネルギーの産生をサポートし、
心臓や腎臓、神経の働きに関与
必要量0.4~1.6%
カリウム
細胞の浸透圧維持。
血圧低下。
神経や筋肉の働きに関与
必要量0.6%以上
ナトリウム
細胞の浸透圧維持。
糖質とアミノ酸の吸収、神経や筋肉の働きに関与
必要量0.08%以上
塩素
胃酸に含まれタンパク質の消化をサポート。
血液のpH調節。
肝機能をサポート
必要量0.12%以上
マグネシウム
酵素の活性化、
炭水化物と脂質の代謝に関与
必要量0.06%以上
鉄
血液中で酸素を運搬
必要量40mg/kg以上
亜鉛
200種の酵素を構成。
タンパク質合成や炭水化物代謝、
発育、傷の治癒に関与
必要量80mg/kg以上
銅
貧血予防、免疫力向上。
心臓機能、エネルギー産生に関与
必要量7.3mg/kg以上
マンガン
窒素を尿素に変えて排泄。
骨の発育に関与
必要量5.0mg/kg以上
セレン
抗酸化酵素として過酸化物質を分解、
免疫機能に関与
必要量0.35~2mg/kg以上
ヨウ素
甲状腺ホルモンの原料、成長促進
必要量1.0~11mg/kg以上
犬のミネラル不足と過剰摂取
(米国飼料検査官協会)は
各ビタミンの犬が摂るべき最小値と
最大値を設定していますが、
リスクが低く設定されていないものもあります。
特にビタミンB群、
ビタミンCは
水溶性で過剰分が尿から排出されるため、
最大値は設定されていません。
ただし、サプリメントによる
過剰摂取には注意が必要です。
特に人間用のビタミン剤を与えてしまうと、
犬とっては過剰摂取になる場合があります。
カルシウム
不足で起こる症状
骨粗鬆症、痙攣、くる病、低カルシウム血症
過剰摂取で起こる症状
高カルシウム血症、尿路結石、発育不良、骨軟骨症、股関節異形成
リン
不足で起こる症状
食欲低下、筋力低下、毛並みの悪化
過剰摂取で起こる症状
尿結石、腎機能障害、カルシウムの吸収阻害、体重減少
カリウム
不足で起こる症状
食欲不振、筋力低下、低カリウム血症、心臓と腎臓の障害、衰弱
過剰摂取で起こる症状
高カリウム血症、四肢のしびれ
ナトリウムと塩素
不足で起こる症状
食欲不振、疲労、脱毛
過剰摂取で起こる症状
喉の乾き、便秘、高血圧、てんかん、死亡
マグネシウム
不足で起こる症状
食欲不振、筋力低下、痙攣、体重減少、成長抑制
過剰摂取で起こる症状
ストルバイト結石、高マグネシウム血症、嘔吐、下痢
鉄
不足で起こる症状
貧血、成長抑制
過剰摂取で起こる症状
食欲不振、体重減少、肝機能不全
亜鉛
不足で起こる症状
食欲不振、成長抑制、脱毛、皮膚異常、免疫不全、結膜炎
過剰摂取で起こる症状
鉄や銅の吸収阻害、嘔吐、下痢
銅
不足で起こる症状
貧血、成長抑制、被毛脱色、骨格系疾患
過剰摂取で起こる症状
肝炎、神経障害、心不全、腎不全
マンガン
不足で起こる症状
骨の成長不良、生殖能力の低下、脂肪肝
セレン
不足で起こる症状
食欲不振、繁殖障害
過剰摂取で起こる症状
嘔吐、よだれ、爪の変形、脱毛、口臭悪化
ヨウ素
不足で起こる症状
甲状腺機能低下、発育不全、甲状腺腫、脱毛、元気消沈
過剰摂取で起こる症状
甲状腺腫、発熱、免疫力低下、体重減少
ミネラルを多く含む食べ物
各ミネラルを多く含む
食べ物を紹介します。
カルシウム
カルシウムは小松菜やほうれん草、
モロヘイヤ、うなぎ、大豆、
ヨーグルトに多く含まれます。
シュウ酸はカルシウムの吸収を阻害するため、
シュウ酸を含む
ほうれん草のカルシウム吸収率は高くありません。
リン
リンは海苔やホタテの貝柱、
タラ、アジ、サケ、大豆、
卵黄などに多く含まれます。
植物性食品のリンは
動物性食品に比べて利用率が劣ります。
カリウム
カリウムは昆布や海苔、大豆、ほうれん草、
ブロッコリー、バナナ、タラ、マグロ、
鶏肉などに多く含まれます。
水溶性のため茹でると水に溶け出してしまいます。
ナトリウム
ナトリウムはホタテやカニ、イカ、
甘えびなどの魚介類、
わかめ、あおさ、海苔などの
海藻類に多く含まれます。
マグネシウム
マグネシウムはあおさやひじき、
ゴマ、そば、納豆などに多く含まれます。
鉄
鉄は豚レバーや鶏レバー、カツオ、
ゴマ、小松菜、ほうれん草、
豆乳などに多く含まれます。
不足している場合は
同時にタンパク質や
赤血球の合成に必要な葉酸、
ビタミンB12を取ることが重要です。
鉄はタンパク質と結合した
ヘム鉄とそれ以外の非ヘム鉄に分けられ、
非ヘム鉄は
ヘム鉄に比べて吸収率で劣ります。
ヘム鉄は動物性食品、
非ヘム鉄は植物性食品に多く含まれます。
亜鉛
亜鉛は牡蠣や牛肉、ゴマ、大豆、
海苔、カニ、鶏卵などに多く含まれます。
銅
銅は牛レバーやゴマ、大豆、そば、
枝豆などに多く含まれます。
豚レバーにも含まれますが、
利用性は低いとされています。
なお、酸化銅も利用性が低いことから
(米国飼料検査官協会)は
ペットフードでの利用を非推奨としています。
マンガン
マンガンはあおさや海苔、大豆、ゴマ、
そば、パイナップル、柿、しそ(大葉)、
バジル、モロヘイヤ、
枝豆などに多く含まれます。
セレン
セレンはマグロ、カツオ、アジ、
豚レバー、パスタ、鶏卵、
サバなどに多く含まれます。
ヨウ素
ヨウ素は昆布やひじき、あおさ、海苔、
わかめ、タラ、サバ、マグロ、
アジなどに多く含まれます。
クロム
クロムはあおさやひじき、昆布、
ほうれん草、サバに多く含まれます。
まとめ
- ミネラルは過不足のないように摂取する
- サプリメントによる摂取過多に注意
- 総合栄養食ならバランス良く摂れる
五代栄養素の一つであるミネラルは、
犬にとっても欠かせないものです。
各ミネラルは相互に作用し、
ビタミンと相互関係にあるミネラルも存在します。
ある特定のミネラルを過剰に摂ると
別のミネラルや
ビタミンが不足することもありますので、
バランスに注意しましょう。
特にサプリメントによる
ミネラル補給はバランスが崩れる原因となります。
また、食材では摂ることが難しい
ミネラルもありますので、
手作りごはん特に注意が必要です。
ワンちゃんのごはんには、
栄養素が過不足なく配合された
総合栄養食のドッグフードがオススメです。
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