犬にフケが出る!原因や対処法は?
公開日:2024/12/09 / 最終更新日:2024/12/09
犬のフケとは
皮膚の一番外側は
「表皮」と呼ばれており、
人の表皮は約0.2mmです。
犬や猫は、
1/5~1/3ほどしかありません。
人と違って
犬や猫は、
ほぼ全身に
毛が生えているため
表皮が薄いと
考えられています。
その皮膚表面は、
多数の細胞が
きれいに並んでいます。
細胞も
我々と同様に年を取ります。
皮膚の下の方からは
どんどん若い世代が出てきて、
その細胞の
世代交代が行われます。
これを
「ターンオーバーといいます。
肌の生まれ変わり(新陳代謝)」
犬や猫の
皮膚のターンオーバーは
約20~25日くらいで、
人の約28日と比較すると
若干早いです。
その皮膚のターンオーバーが進み、
下から出てきた皮膚細胞に
押し出されるように
皮膚から剥がれた細胞を
「フケ」と呼びます。
したがって、
フケは正常な状態でも
若干が出ますが、
いつもより
フケが多く出る状態では、
何かしらいつもと違う
皮膚の状態であることが
ほとんどです。
それでは、
そのいつもと違う
皮膚の状態について、
その原因を挙げながら
説明していきます。
犬にフケが出る原因
- 細菌・真菌感染
- 脂漏症
- ビタミンA反応性皮膚症
- アトピー性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎
- 内分泌疾患
- 血液循環の悪化
- 寄生虫
1、細菌・真菌感染によるフケ
細菌や真菌の感染が起こると、
その特徴として
皮膚に丸い輪っかのように広がる
赤い病変があります。
この
「輪っかのように広がる」というのが
重要です。
皮膚の一点に
何らかの細菌や
真菌が感染し、
それが広がりを見せることで、
皮膚における
感染部位が広がります。
「菌のいいようにはさせまい!」と
体が菌を退治しようと、
皮膚の細胞は
動き始めます。
感染したとき
最も簡単に
その菌を追い出そうとするなら、
皮膚が
押し出せばいいのです。
その結果、
菌を押し出そうとして
皮膚のターンオーバーが早くなり
フケや脱毛が
認められるのです。
脱毛の際は
円形に脱毛しますが、
その円の中心に近い部分が
最初に感染を起こした
部分です。
そして
円形の一番外側の部分が、
今まさに
最も激しく戦っている部分で、
このあたりで
フケが出てきます。
激しく戦っていると、
皮膚のターンオーバーは
いつもよりも早くなります。
また、
フケが増えますので
皮膚表面で
激しい戦いが起こっていると
想定してください。
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2、脂漏症によるフケ(ベトベト・カサカサ)
皮膚の表面には
正常でも少量の脂があり、
皮膚を乾燥から
守っています。
しかし、
その脂が何らかの状態で
過剰に出てしまう状態は、
「脂漏症」と呼ばれます。
脂漏症には
その名からイメージされる通り、
皮膚が
ベトベトするタイプもあれば、
カサカサした(乾燥した)フケが出る
「本態性脂漏症」といわれるタイプの
2種類があります。
本態性脂漏症の場合、
あまりにひどいと
毛穴付近で固まった
大きな塊のフケが
出ることもあります。
脂漏症になると、
皮膚のターンオーバーが進み、
通常の倍以上でその
ターンオーバーが進みます。
その早さは、
5~10日です。
正常よりも
ターンオーバーが早いために、
多くのフケが出る
状態になります。
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3、ビタミンA反応性皮膚症によるフケ
毛の根元に
くっつくようなフケや
脱毛や脂漏症が認められます。
ビタミンAの量が足りなくて
フケが出ているのではなく、
ビタミンAを追加していくことで
皮膚の症状が落ち着くといった
病気です。
バランスのとれた
ご飯をとっていても
症状が出ます。
特定の犬種で
認められることが多く、
コッカースパニエル、ラブラドールレトリーバー、
ミニチュアシュナウザーに
多いといわれています。
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4、アトピー性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎によるフケ
アトピー性皮膚炎や
アレルギー性の皮膚炎の子は、
皮膚の水分を保持する機能が
健康な子より
劣っています。
そのため、
水分が
皮膚から逃げやすくなり、
カサカサ肌になることで、
かゆみやフケが出ます。
カサカサ肌になって
痒くてかくと
皮膚が傷付き、
水分が抜けたり、
傷付いたところから
細菌やアレルゲンが
(アレルギーの原因となる物質)
入ってきやすくなったりして
痒みが増す、
という悪循環に陥ります。
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5、内分泌疾患による犬のフケ
皮膚は、
時に
体の内部の状態に
影響を受けることもあります。
その一つに
「内分泌疾患」というものがあります。
内分泌疾患というのは、
体の内側にホルモンを
分泌する部分がありますが、
そこに
何らかの異常が出て、
ホルモンが過剰に出たり、
ホルモンの出る量が
足りない場合に起こる病気のことを
内分泌疾患といいます。
その症状ですが、
ほとんどは
脱毛がメインになります。
他に
内分泌疾患で
フケが出る病気には
どのようなものがあるのか
紹介します。
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
副腎という臓器が
過剰に働くことで起こる病気を
「副腎皮質機能亢進症」と呼びます。
副腎からは
体にとって必要不可欠なホルモン
「ステロイドホルモン」が分泌されますが、
このステロイドホルモンが
過剰に分泌されることで
内臓に異常が出ます。
特に
肝臓の検査の数値が上昇し、
コレステロールの数値が
上昇します。
皮膚においては
皮膚が薄くなり、
症状が進むと
石灰沈着という状態になり、
皮膚にコラーゲン線維や
カルシウム成分が沈着する
独特の症状を示します。
それが破裂すると
かさぶたができて、
その周囲に
フケができます。
そのような
状態になるときには、
犬の外見上にも
変化が起きていて、
おなかがぽっこりと出て
毛も薄くなって、
独特の外見を示します。
時に獣医師は
その変化から
仮診断をして、
検査を実施することもあります。
この病気を診断するには、
副腎から出るホルモンを調べる
検査方法があります。
単純に
ホルモンの検査でわかりますが、
念のため副腎を
超音波検査で見ていくことで、
まれにある
悪性の腫瘍を
除外することができます。
副腎皮質機能亢進症の治療法には、
飲み薬が用いられます。
この疾患は、
治療しないと
命に関わりますので、
診断したらすぐに
治療することになります。
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甲状腺機能低下症
甲状腺は
首のところに
左右一対で存在する臓器で、
ここも
ホルモンを分泌します。
この場合も
フケが出ますが、
脱毛が
先に見られることがあります。
年を取ったので
毛が薄くなったということを見逃して、
フケを気にされる
ケースもあります。
甲状腺機能低下症は、
慢性的な病気を持つときにも
認められますので、
しっかりとした検査が
必要になることがあります。
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その他の犬の内分泌疾患
ここまでいくつかの代表的な
フケを伴う内分泌疾患を
紹介しましたが、
性ホルモンの異常でも
脱毛は起きますし、
ポメラニアンに多い
原因不明の脱毛など、
さまざまな原因があります。
重要なことは、
「たかがフケ」
というわけではありません。
検査を行い
原因究明を行いましょう。
6、血液循環の悪化によるフケ
「耳輪皮膚症」と呼ばれます。
耳の辺に
フケらしきものが出て、
毛がボソボソと
抜けていきます。
ミニチュアダックスフンド、トイプードル、
ミニチュアピンシャーなどで
よく見られます。
どうして
そのようになるのかは
明確にはなっていませんが、
血液循環が落ちるのと、
環境用的要因があると
いわれています。
寒さが厳しい1月を過ぎ、
寒さが緩む2月から3月くらいに
症状が出てくる子が多いです。
皮膚のターンオーバーが
1カ月弱くらいということは
既出の通りです。
そのため、
血液循環が落ちた
約1カ月後に症状が出てきます。
暖かくなってくる
5~7月くらいには
毛が生えてきますが、
何かしたい場合、
血液循環が良くなるように
ビタミンEや
角化治療のための
ビタミンAの内服を飲ませます。
マッサージクリームで
耳の先をマッサージをしてあげたり、
シャンプー療法をしてあげたりすることを
お勧めしています。
7、寄生虫による犬のフケ(毛包虫・疥癬)
毛包虫(もうほうちゅう)、
疥癬(かいせん)などの
外部寄生虫感染も
フケを出す原因になります。
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毛包虫
毛包虫は毛包の中に、
疥癬は皮膚の下に
トンネルを作って寄生します。
毛包虫は
毛を抜いたり、
痛そうですが
皮膚を削り取ったりして
顕微鏡検査で発見できます。
皮膚の症状もさまざまで、
「え、これが毛包虫症?」という
皮膚の外見をとる時もあります。
痒みが出たり出なかったり、
フケも出たり出なかったり、
いろいろな症状です。
皮膚の免疫力が
大人になり切れていない
子犬の時か、
年を取って
いろいろな病気を抱えている
老犬の時に
なりやすい病気です。
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疥癬
疥癬は
どの年代でも
かかりうる病気です。
こちらは
人畜共通伝染病になりますので、
接触している同居動物、
人にも
かかる可能性があります。
検査方法は
皮膚にセロハンテープで
フケをくっつけてみたり、
皮膚を削り取ってみたり、
体中を掻いてあげて
落ちたフケを顕微鏡で見たりします。
皮膚の中に
トンネルを作っていると
そのため検査で
発見できないこともあります。
その時は
他の皮膚病ではないか考え
治療することもあります。
場合によっては、
診断的治療といって、
疥癬が発見できなくても
疥癬の治療をすることがあります。
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犬のフケを予防する食事とは
毎日、口から入るご飯は
とても重要です。
皮膚病用のご飯は
被毛や皮膚にいい成分が
(オメガ3、6の脂肪酸、EPA、DHAなど)
強化されていて、
「湿疹が出にくくなった」「痒みが減った」
という報告も
上がっています。
食餌アレルギーも
考えられる場合は
お薬を使うより、
まず、毎日口にする
ご飯の方を
重視してほしいです。
ご飯を変えた場合は、
1~2カ月は様子を見てください。
手作り食をしている方には、
「亜麻仁油やシソ油をティースプーン1杯
餌にかけてあげてください」。
そうすることで
皮膚にいい脂肪酸を
摂取することができます。
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まとめ
- フケは、正常な状態でも出ます
- 目立つフケはさまざまな病気のシグナル
- たかがフケと甘くみてはいけません
- フードやシャンプーで改善される可能性があります
「フケ」といっても
病的なものから生理的なものまで、
さまざまな
フケのタイプがあることが
わかっていただけたでしょうか?
病的な場合はフケだけでなく、
かゆみ、赤み、脱毛、
痂疲などが伴ってくるものです。
病名を診断できないまでも、
これは病院に行ったほうが
いいタイプのフケなのか、
それともまずは
家でシャンプーして
皮膚をきれいにしてあげることで
収まりそうなフケなのかを
見極められたら、
OKだと思います。
本人が気にしていない場合は
まず
シャンプーをしてあげてください。
「フケ」の奥深さを
わかってもらえたら幸いです。
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