犬にカルシウム!必要量と過剰摂取のリスクって?
公開日:2022/08/10 / 最終更新日:2023/11/07
犬のカルシウムの必要量
カルシウムは
犬の体に最も多く含まれるミネラルで、
その99%は
骨と歯を形成しています。
残る1%は
細胞や血液に含まれ、
筋肉の収縮や
神経を安定させる作用があります。
カルシウムの必要量として、
AAFCO(米国飼料検査官協会)が策定する
総合栄養食の栄養基準が参考になります。
成犬では
乾物1kg、代謝エネルギー4000kcalあたり
0.5~1.8%のカルシウムを含むことが
推奨されています。
ただし、カルシウムは単体で
推奨量を満たしても
ビタミンDや、リンの摂取量に
大きく影響を受けて
必要量より不足、もしくは
過剰になる可能性がありますので
注意が必要です。
カルシウムとビタミンD
ビタミンDは
カルシウムとリンの吸収を促進します。
AAFCO(米国飼料検査官協会)は
総合栄養食の基準として
ビタミンDの摂取量を12.5-75μg(※)としており、
※乾物1kg、代謝エネルギー4000kcal当たり
過不足は
カルシウムの過不足に直結します。
カルシウムとリン
カルシウムとリンの比率は
1:1~2:1が推奨されていますが、
発育期は比率以上に
カルシウムがどれだけ含まれているかが
特に重要です。
成長中の子犬(特に大型犬)は
1.2%が推奨量とされています。
リンが適切なのに
カルシウムが不足すると、
続発性副甲状腺機能亢進症や
低カルシウム血症といった
病気につながります。
逆に過剰になると
骨格異常を引き起こします。
犬のカルシウム不足と過剰摂取
カルシウムは
不足だけでなく
過剰摂取でも病気の原因になるため、
ビタミンDや
リンの摂取量も考慮した
バランスの良い摂取が重要です。
カルシウムが不足した場合
カルシウムが不足すると
骨折や低カルシウム血症、
食欲低下や
痙攣といった症状のほか、
成長期では
発育不良につながります。
カルシウムを過剰摂取した場合
カルシウム不足は
骨の異常を引き起こしますが、
過剰でも骨軟骨症や
股関節異形成といった
骨の異常につながり、
大型犬は特に
発症リスクが高くなります。
過剰なカルシウムは
亜鉛の吸収を阻害するため、
脱毛や皮膚異常、
免疫不全といった
亜鉛欠乏症のリスクも高めます。
カルシウムを多く摂ることの
メリットとして、
腸内でシュウ酸と結び付くことによる
シュウ酸カルシウム結石の
予防が挙げられます。
ただし、過剰になると
カルシウム結石につながる
可能性もあるため、
摂り過ぎにも注意が必要です。
犬にカルシウムサプリを与えても大丈夫?
総合栄養食を食べている犬の場合、
カルシウムのサプリメントや
カルシウムを含むおやつを与えると、
カルシウムの
過剰摂取につながります。
特に大型犬の
子犬は要注意で、
発育期の整形外科疾患を
発症する可能性が高まります。
「与えないほうがいい」ではなく、
与えてはいけません。
シニア犬にカルシウムサプリは必要?
人では高齢になると
骨粗しょう症が問題になるため、
犬でも注意したほうがいいのではと
心配になる飼い主さんも
いると思います。
犬の場合は
総合栄養食を食べている限り、
カルシウムが
不足することはありませんので
心配する必要はありません。
サプリメントで
カルシウムを与えてしまうと
過剰になったり、
リンとの比率が崩れたりします。
カルシウムは
摂れば摂るほど
骨や歯が
丈夫になるというものではありません。
バランスの良い食事を続けることが
長生きの秘訣です。
手作りごはんは摂取量に注意
手作りごはんの場合は
食材からカルシウムを摂取することが
簡単ではないため、
市販のサプリメントや
卵殻を粉末にするなどして
与える必要があります。
カルシウムだけでなく
リンやビタミンDの摂取量にも
注意してください。
カルシウムが多い食材
手作りごはんやトッピング、
おやつを与える際の参考として、
果物や野菜など
カルシウムを多く含む
食べ物を紹介します。
実際に与える際は、
各食材にどれくらい
カルシウムが含まれるかを確認して、
不足もしくは
過剰にならないよう注意してください。
カルシウムが多い果物
カルシウムは
イチゴやキウイ、パイナップル、
バナナなどのフルーツに多く含まれます。
カルシウムが多い野菜
カルシウムは
モロヘイヤやしそ(大葉)、
小松菜、ほうれん草などの
野菜に多く含まれます。
カルシウムが多いその他の食材
カルシウムは
果物や野菜以外では
煮干しやごま、チーズ、
ヨーグルトなどの食材に
多く含まれます。
与える際の注意点
総合栄養食へのトッピングや
おやつとして与える場合は、
1日の最適カロリー量の
10%以内にしてください。
まとめ
- ミネラルの中でも重要度が高い栄養素
- ビタミンDやリンの摂取で吸収率が変化
- 不足だけでなく過剰も病気の原因に
- バランスの良い食事が大切
カルシウムは
骨や歯を作る
大切なミネラルですが、
不足だけでなく
過剰摂取でも病気の原因になります。
総合栄養食を食べている限り、
サプリメントなどの
添加は必要ありません。
食事は愛犬の健康、
寿命に直結するもの。
バランスの良い食生活を
心掛けましょう。
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