犬にあじさい(紫陽花)は危険!

公開日:2021/07/05 / 最終更新日:2023/05/30
あじさいとは
あじさいは漢字で書くと「紫陽花」で、
唐の詩人「白居易」の漢詩に由来します。
漢字の通り紫の花を咲かせる植物だと
考えている方も多いと思いますが、
実は花のように見える部分はガクです。
ガクは花を包み保護する役割を担うために
葉が変形したもので、
実際のあじさいの花はこの内側に小さく咲いています。

開花時期
あじさいの葉は冬の終わりに芽吹き始め、
花は5月から7月にかけて開花します。
雨に強く丈夫な葉と色鮮やかな花をつけることから、
梅雨時期の花の代名詞となっています。
秋から冬にかけて枯れたようにも見えますが、
根と枝は次の季節へと準備をしています。
種類
日本原産の「ガクアジサイ」「ホンアジサイ」
と呼ばれる品種は街路樹としてもよく見られる品種で、
花の周りに大きな四角いガクがついているのが特徴です。
一方で近年は西洋から逆輸入した
品種も多く流通しており、
「ダンスパーティー」と呼ばれる品種のように
一見あじさいには見えないタイプのものもあります。
あじさいの危険性
犬があじさいを食べたことで
食中毒症状を起こしたという
事例が数多く報告されています。
肌への接触が有害であるという
明確なデータは今のところ公式に発表されていないため、
あじさいを食べる危険性について紹介します。

毒性
一般的には、あじさいの
「根」「蕾(つぼみ)」「葉」
に含まれる青酸配糖体(アミグダリン)という物質が
中毒の原因だと考えられています。
この青酸配糖体自体に毒性はないものの、
動物が食べると
消化の際に出される酵素に反応して
猛毒のシアン化水素が発生し、
中毒症状を引き起こします。
青酸配糖体は梅やアーモンド、
モモなどにも含まれます。
ただ、厚生労働省は
あじさいの品種によっては
青酸配糖体が含まれないものもあり、
毒性成分は明らかにはなっていないとしています。
いずれにしても料理の飾りとして出た
あじさいの葉を食べた客が
食中毒を起こしたという事例が報告されていますので、
動物にとって
注意すべき植物であることに変わりはありません。
特に土を掘ることが好きな犬の場合、
根を掘り出して食べてしまう可能性もあります。
もし庭など犬が自由に行動できる
場所にあじさいがある場合は、
まだ葉をつけていない季節や
花が咲いていない時期でも十分な注意が必要です。
症状
犬が毒性のある部分を食べてしまった場合、
ふらつきや興奮、
過呼吸、嘔吐、痙攣、
麻痺などさまざまな症状が見られます。

毒を持つその他の身近な植物
あじさいだけでなく、
ヒガンバナやスズラン、
オナモミ、スイセンなども
犬が間違って食べると危険な植物です。
また、ユリやチューリップなどの
球根類も犬が食べてしまうと
中毒症状を起こす植物なので、
芽が出ていなくても
庭やプランターに植えた記憶がある方は、
愛犬が掘り出してしまう前に
確認するようにしてください。
犬があじさいを食べてしまったら
まずは動物病院へ
症状の有無に関わらず、
まずは動物病院へ連絡してください。
食べた量や時間、
症状によってその場での
応急処置が可能な場合もあります。
獣医さんの指示に従ってください。
実際に診察を受ける際には、
可能であれば食べたものと同じ株から
枝などを持って行けると
診察の参考になる場合があります。
可能な限りの情報を伝えられるようにしてください。

応急処置
まずは口や足の周りについた
残りの毒をさらに舐めてしまわないように、
水でよく洗い流してください。
状態によっては吐かせることができると
症状が重篤化するのをくい止めることもできますが、
慣れない対処は逆効果になる場合もあります。
無理はせず、動物病院へ連絡して
獣医師の指示を仰ぐことを優先してください。
犬の誤飲事故を防ぐために
愛犬が誤って
あじさい食べてしまわないように、
以下の項目ができているか確認しましょう。
危険な環境になっていないか確認する
あじさいを庭やプランターに植えている場合は、
可能であれば犬が届かない場所へ移動させましょう。
サイズが大きいなどの理由から
移動させることが難しい場合は、
フェンスをつけるなど、
犬が近付けないように対策を講じてください。
また、その場所で愛犬を遊ばせる際には
目を離さないようにしましょう。

しつけをする
普段からしつけをしておくことで
事故を防ぐことができます。
散歩中のしつけ
散歩中、犬の思いのまま歩かせるのは危険です。
つねに目と手の届くところ、
飼い主の横を歩けるように
しつけをしておくのが理想的です。
コマンドを教える
犬がおもちゃをくわえている時に使う
「出せ」「ちょうだい」など、
口に入れたものを出させ
のコマンドを教えることも効果的です。
犬がおもちゃをくわえている時にも使いますが、
何かをうっかり口に入れてしまった場合にも使えます。

グッズを使う
猿ぐつわや口輪で
不意な誤食を防ぐこともできます。
欧米では通行人へのマナーとして
散歩中に猿ぐつわをつけることもありますが、
日本では一般的ではないでしょう。
日本に住んでいる飼い主さんは、
有効性の高いコマンドで
しつけをすることをおすすめします。
散歩コースを変える
犬が散歩であじさいの株に
興味をもっている様子が見られる場合には、
散歩コースを変えたほうがいいかもしれません。
単純にほかの犬の匂いがして
それを嗅いでいるだけかもしれませんが、
万が一の事故を防げる方法があるならば
その方法を選ぶに越したことはありません。

まとめ
愛犬とあじさいを楽しむために
あじさいが毒性を持っているからといって
愛犬と一緒にあじさいを楽しめないのは、
少し寂しい気もしますよね。
基本的には食べなければ問題がないため、
リードでコントロールしながら
一定の距離を置いて
散歩をすれば神経質になりすぎる必要はありません。
また、愛犬と一緒に
あじさいの名所を訪れる場合は
多くの人で混雑していることも考えられますので、
抱っこして鑑賞するといいでしょう。
抱っこができないサイズの犬は
カートに乗せるなどの工夫で、
あじさいの誤食と
人混みの中を歩く危険を避けることができます。
ぜひ梅雨の間も四季の移り変わりに触れながら、
安全に愛犬との散歩を楽しんでください。
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