犬とのキスは危険なの?キスで感染する病気って?
公開日:2023/02/13 / 最終更新日:2023/05/27
犬がキスする理由
愛犬が口元を舐めて
キスをしてくるのは、
愛情表現というよりは、
野生動物だった頃の習性が
大きく影響しています。
挨拶
犬が野生動物として
群れをなしていた頃、
キスは
「自分の群れの仲間かどうかの確認」や
「仲間同士の挨拶」として
行われていました。
家庭で暮らしていても、
野生動物だった頃の
親愛行動などは残っていて、
人に抱きついたり
キスしたりするのも
挨拶の1つとして
行われていると考えられます。
おねだり・親愛
犬の祖先であるオオカミでは、
子オオカミは
親オオカミの口元を舐めることによって
「ごはんの催促」をしていました。
その名残で、
飼い主さんの口元を舐めることで
- 「おねだり」
- 「甘える」
- 「親愛の気持ち」
を表現していると考えられます。
美味しそうな匂いがする
食べ物の匂いが
口からすることによって、
舐めてみるという行動をしている
可能性もあります。
それは愛情表現というより
- 「食欲」
- 「好奇心」
による行動と考えられます。
不安・恐怖
強い不安を感じ、
守ってもらいたくて
ペロペロと舐める場合もあります。
執拗に舐めてくる場合は、
何かストレスを感じるものはないか、
生活環境を振り返ってみましょう。
犬とキスするのは危険?
2016年、
野良猫にご飯を与えていた
60歳代の女性が
呼吸困難の症状を呈して
死亡するという出来事がありました。
原因として考えられているのが
「コリネバクテリウム・ウルセランス
(Corynebacterium ulcerance)」です。
この菌は、
古くから牛などの家畜が
持っているといわれていましたが、
近年では
犬や猫からも
検出された報告があり、
人への感染源になっている
可能性があるといわれています。
そのため、
愛犬を媒介して
飼い主が感染する可能性があり、
犬とキスすることは安全とはいえません。
犬のキスで感染する病気(人畜共通感染症)
犬と人間が共通して
感染する感染症のことを
「人畜共通感染症」、
あるいは「人獣共通感染症」と呼びます。
犬のキスで感染する可能性のある
人畜共通感染症として、
代表的なものを紹介します。
パスツレラ症
パスツレラ症は
「パスツレラ・ムルトシダ
(Pasterurella multocida)」という
細菌によって起こる感染症です。
健康な犬や猫の口の中におり、
猫では爪にもいます。
接触やキス、
ひっかかれたり
噛まれたりすることで感染し、
さまざまな症状を引き起こします。
胃がんの原因になるヘイルマンニイ
「ピロリ菌(Helicobacter pylori)」が
胃炎や胃がんの発生と関係がある
という話は有名ですが、
このピロリ菌の仲間に
「ヘイルマンニイ(Helicobacter heilmannii)」
という菌がいます。
ピロリ菌が、
胃炎患者の80%から
検出されるのに対し、
ヘイルマンニイは
1%未満と稀ですが、
犬や猫では
よく見られる菌です。
そのため、
犬や猫などの
ペットが感染源となっていると
いわれています。
キスをしたり、
口移しでごはんをあげたりすることで
感染すると考えられています。
トキソプラズマ
トキソプラズマは、
原虫という病原体によって
引き起こされる感染症です。
感染した成人には
あまり症状を出しませんが、
妊娠中に初めて感染すると、
トキソプラズマが胎盤を通り、
胎児に感染し、
流産したり
先天性の病気を起こしたりする
恐れがあります。
日本では猫で20~50%、
犬で10~30%
感染があった可能性が報告されています。
コリネバクテリウム・ウルセランス症
「コリネバクテリウム・ウルセランス
(Corynebacterium ulcerans)」は、
生産した毒素が
心臓の筋肉や神経をおかし、
呼吸に必要な筋肉を麻痺させることで
呼吸困難を起こしたり、
心不全を起こすような症状を
呈します。
犬や猫では
症状を出さないこともありますが、
皮膚炎をはじめ、目や鼻、
口などの粘膜に
炎症を起こすこともあります。
こういった場所に
グズグズとした症状が出ていたら、
早めに動物病院に連れて行きましょう。
犬とのキスで狂犬病になる?
狂犬病は
狂犬病ウイルスによる感染症で、
人を含め
全ての哺乳類に感染し、
発症すると
ほぼ死亡するという
恐ろしい病気です。
名前に「犬」と付いていますが、
犬限定の病気ではなく、
人を含めた
多くの動物が感染します。
噛まれたところから
感染するため、
キスといった
唾液を介する行為で
感染する可能性は十分あります。
しかし、
狂犬病にかかった犬は
理性が無くなり、
普通の状態ではないため、
狂犬病にかかった犬と
キスをするような
状況にはなりにくいでしょう。
まとめ
犬とキスは感染リスクがあります
- 犬が人にキスするのは、野生動物だった頃の習性が影響している
- 犬とのキスを介して感染してしまう病気がある
- 人も犬も共通してかかる病気のことを「人畜共通感染症」という
さまざまな病気を挙げましたが、
愛犬とのスキンシップが
危険ということではありません。
どんな病気があり、
どんなことで移るのかという
正しい知識を持つことが大切です。
- 「排泄物はすぐに片付けて飼育環境を綺麗に保つ」
- 「手洗いなどの基本的な衛生ルールを守る」
などで、
愛犬との楽しい生活を
守ることができますよ。
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