犬が太る!肥満の原因は?病気のリスクって!?
公開日:2022/08/05 / 最終更新日:2023/11/07
肥満の犬は寿命が短い
肥満の犬ほど
寿命が短いという事実は、
これまで数々の調査研究からも
明らかになっています。
例えば
イギリス・リバプール大学の
研究チーム報告によると、
調査の結果
ヨークシャーテリアや
チワワで2年ほど、
12犬種全てで
肥満の犬ほど
寿命が短くなる傾向が
見られたそうです。
アメリカ・ネスレリサーチセンターも同様に、
ラブラドールレトリーバーを
対象にした調査で、
肥満の犬と
正常な犬で寿命に
2年近い差が出たことを
報告しています。
肥満は見た目の問題だと
楽観的に考える
飼い主さんが少なくありません。
しかし、見た目以上に
体に悪影響を与えている
ということを
理解していただければと思います。
犬が肥満になる原因
1、飼い主さんが原因の肥満
残念ながら
飼い主さんが
肥満の原因を作っている
場合もあります。
ごはんの量が多い
いつもごはんの量を
正確に量っていますか?
知らず知らずのうちに、
量が増えている場合があります。
私たちからすれば
ちょっとした誤差でも、
体が小さい犬には
大きな誤差になっている
かもしれません。
太ったら
ドッグフードのせいと
考えがちですが、
一番重要なことは
カロリー管理です。
ごはんは適切な量でも、
おやつを与え過ぎている
ケースもよくあります。
ご家族の中に
こっそりあげている人がいる
場合もありますので、
家族全員がしっかり
肥満のリスクを理解する
必要があります。
運動量が少ない
毎日しっかり
散歩できているでしょうか?
「小型犬で家の中を走り回ってるから
毎日じゃなくても大丈夫」
と言う飼い主さんが
いるかもしれませんが、
散歩は全ての犬に必要です。
何か問題があって
うまくできない場合は、
ドッグトレーナーを
頼るようにしましょう。
外に出ると
いろいろな匂いがして、
いろいろな出会いがあって、
散歩は犬にとって
毎回が大冒険です。
刺激を受けることは
ストレス発散にもなりますので、
散歩は欠かさないように
してください。
2、病気が原因の肥満
太る病気として、
「甲状腺機能低下症」と
「副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)」という
2つのホルモンの病気(内分泌疾患)が
挙げられます。
甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症になった場合、
基礎代謝エネルギーが
低下することで
体重が増加していきます。
これといった
気付きやすい症状はありません。
「なんとなく元気が無い」
「なんとなく顔に覇気が無い」などが
サインとなります。
副腎皮質機能亢進症
クッシング症候群とも呼ばれる
副腎皮質機能亢進症は、
腎臓の近くにある
副腎と呼ばれる
内分泌腺が
過剰に働いている状態です。
食事量が増えることで
体重が増加したり、
飲水量や尿量が増加したり、
腹筋の筋肉が
薄くなることで落ちて
お腹がぽっこり出てきたりします。
他にも
お腹に水が溜まってしまう病気で
太って見えることがあります。
さらに、肝臓が腫大(膨張)することで
太ったように見えることも
あります。
3、体調の変化が原因の肥満
運動量が低下すれば
体重が増えますが、
その原因は
散歩やドッグランに行く回数が
減ったということだけではありません。
体が痛くて散歩に行けない、
体がしんどくて動けない
といった隠れた
病気が原因の場合があります。
普段と違いがないか
注意して見てあげてください。
日頃から体を触るようにすることで、
腫瘍や痛みのある場所に
気づきやすくなります。
去勢・不妊手術
去勢や不妊手術を行うと
基礎代謝エネルギーが
低下します。
術後は食事量を
30%減にすべきだと
いわれています。
ただ、個体差があり
太ってしまうケースもありますので、
獣医師に相談しながら
コントロールしてあげてください。
肥満が原因で起こる犬の病気
肥満だと
なぜ寿命が短くなるのか。
それは、病気にかかりやすく
なるからです。
人では脂肪が
体内で炎症を起こすことが
わかっており、
おそらく犬でも
同じことが起きていると
考えられます。
さらに、
- 「免疫力を下げる」
- 「臓器に脂肪が沈着して機能が弱る」
- 「体重が増えてその重みが関節に負担をかける」
など、
肥満になると
体中で良くないことが起こります。
具体的な病気としては、
皮膚病や膵炎、
糖尿病になることが
わかっています。
そして心臓病の悪化を招いたり、
体重の増加により
変形性関節症の症状が
酷くなるなどが挙げられます。
愛犬が太っていると思ったら
早めに動物病院へ行き、
太る原因を突き止め、
ダイエットさせることを
オススメします。
犬の肥満の見分け方
犬の体重は
犬種によっても
ばらつきが大きいため、
- 「太っている」
- 「ちょうど良い」
- 「痩せている」
の区別は体重ではなく
体型で確認します。
この体型をスコア化して
評価できるようにしたものを
BCS(ボディコンディションスコア)といいます。
5段階評価の
3が理想の体型で、
飼い主さん自身で
確認することができますので、
ぜひ愛犬の体型を
チェックしてみてください。
ボディコンディションスコア(BCS)
年齢別の見分け方
ボディコンディションスコアは
成犬を基準にしていますので、
年齢によって
少し見方を変える必要があります。
幼犬の場合
幼犬は成長期ですから、
栄養をたくさん摂る
必要があります。
しかし、肥満よりも
栄養不足で
痩せている子を
見ることが少なくありません。
その原因の一つとして、
ペットショップなどで
最初に教えてもらった
量や与え方を変えずに
続けていることが挙げられます。
与えるごはんの量は、
その子の成長に合わせて
変えていかなければいけません。
幼犬の頃は
体重もどんどん変わります。
1週間に1回は
体重測定をして、
その時その時で
適切な量のごはんを
食べさせるようにしましょう。
シニア犬(老犬)の場合
シニア犬(老犬)は
加齢によって
正常な変化として
体重が減少します。
BCS3が理想であることに
変わりはありませんが、
少し痩せ気味だとしても
許容範囲と考えて問題ないでしょう。
ただし、急激に体重が増えたり
減ったりする場合は
病気の可能性がありますので、
様子見をせずに
病院に行くようにしてください。
肥満犬のダイエット方法
病気や
手術以外の理由で
犬が肥満になる場合、
原因は
飼い主さんにあることが
少なくありません。
逆に言えば、
飼い主さんが管理できれば
犬は適正体重を維持できます。
適切な体重管理のために
やっていただきたいことを、
順番に説明します。
1、体重を量る
体重の増減を
判断するためにも、
まずはご自宅で
体重測定をしましょう。
見た目で太ったと感じても、
実際は体重に
変化が無い場合もあります。
先ほど紹介した
BCSも参考にしてください。
2、食事量を量る
だいたいで
「器にこのぐらい」といった
量り方はやめましょう。
何グラムか
キッチンスケールなどを使って量り、
適正量を
食べさせるようにしてください。
おやつは1日の最適カロリー量の
10%以下にしましょう。
3、運動量を増やす
運動量は
小型犬が30~60分を1日2回。
中~大型犬は
60分以上を
1日2回が目安です。
犬種や年齢、
体格によっても違いますし、
走る歩くなどの状況によっても
変わります。
1回の散歩で
疲れている様子が見られれば、
運動量は確保できています。
どうしても
散歩の時間が取れない場合は、
週末のドッグランやお
出かけなどで
カバーしてあげましょう。
シニア犬の場合は
無理をすると
関節に負担がかかりますので、
犬用プールを活用すると
いいでしょう。
4、食事量を減らす
すでに太っている場合、
その体重を基準にして
食事量を決めてしまうと
痩せるのが難しくなります。
どれくらいまで
減らしたいのか理想体重を想定して、
通常の80%くらいの
食事量で経過を見るようにしてください。
空腹を訴えてくる場合は、
トータルの食事量は変えずに
食事回数を増やすことで
満足感が得られる
場合もあります。
以上を行なっても
体重に変動がない場合は、
病気の可能性があります。
また、妊娠している場合は
乳腺が張ってきたり、
食欲が増減したりといった
体調の変化も見られますので、
獣医師に相談してください。
まとめ
- 肥満は確実に寿命を縮める
- 原因が病気か飼い方かを確かめる
- ダイエットの基本は、適切な食事と運動
皆さんは
「メタボリックドミノ」という言葉を
聞いたことはありますでしょうか?
メタボリックシンドロームが進行して
ドミノ倒しのように
高血圧や脂肪肝、
糖尿病などが起こり、
最終的に脳卒中や
心不全につながるという
考え方です。
私たち人間の話ではありますが、
犬も同様です。
肥満は、
恐ろしい病気へと続く
最初のドミノと言えます。
「ふっくらして可愛い」と
油断するのではなく、
愛犬の将来を考えて
飼い主さんがしっかり
対処してあげてください。
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