ドッグフードの中の添加物!危険性や、安全性は?
公開日:2022/09/30 / 最終更新日:2023/05/29
ドッグフードの「添加物」って何?
添加物(食品添加物)とは、
食品をつくる際に
加工しやすくしたり
保存性を高めたりすることを目的として
使用されるものです。
「保存料」や「酸化防止剤」など、
私たちが食べるものにも使われますので、
聞いたことがある方も
多いと思います。
そんな添加物は
ドッグフードにも必要なのでしょうか?
答えは、少しあいまいですが
「目的によって必要なときもある」です。
目的があって
添加されるものですから、
例えば長期保存をするためには
先ほどの保存料や酸化防止剤が必要です。
無添加にこだわって
腐ったり劣化したものを食べてしまっては
本末転倒ですよね。
愛犬のごはんに必要な
添加物さえ理解しておけば、
難しい成分を
全て勉強する必要はありません。
ドッグフードに添加物が使用される理由
ドッグフードの添加物は、
主に四つの目的で使用されます。
- 栄養をバランス良くするため
- 食いつきを良くするため
- 品質安定・保存性向上のため
- 飼い主さんのため
最後の「飼い主さんのため」というのは、
飼い主さんに
美味しそうと思わせて
購入につなげるのが目的です。
ピンクやグリーンの
ドライフードを見たことがあると思いますが、
それには「赤色◯号」のような
着色料が使われています。
お肉の鮮やかな色を保つために
「亜硝酸ナトリウム」に代表される
発色剤が使われることもあります。
着色料や発色剤は
犬に必要のないものです。
それらの成分が
良いか悪いかを考えるまでもなく、
犬のためにつくられていない
ドッグフードを選ぶのはやめましょう。
使われることの多い
着色料や発色剤は以下の通りです。
他の三つの目的について、
詳しく解説していきます。
栄養をバランス良くするための添加物
ドッグフードは
栄養がバランス良く摂取できるように、
ビタミンやミネラルが
添加されることがあります。
「栄養は食材から摂ればいいんじゃないの?」
と思うかもしれませんが、
食材にはさまざまな栄養が
含まれていますので、
食材で栄養の足し算はできても
引き算はできません。
ある成分を増やそうと
食材を足せば、
他の成分も増えて
過剰になってしまいます。
特に「総合栄養食」は
各栄養素に基準がありますので、
バランスの良い配合にするためには
食材だけでなく
ビタミンやミネラルの添加が不可欠なのです。
ただし、
原材料に野菜が含まれていないのに
総合栄養食になっているドッグフードは、
添加物だけで
栄養基準を満たしている可能性があります。
ビタミンやミネラルを添加するのは
栄養バランスを良くするためなのか、
安く作るためなのか、
原材料表示を見ることで
ドッグフードメーカーの姿勢を
知ることができます。
添加される栄養は、
「ビタミン類(A、D、E、B1)」のように
括弧書きで表記されます。
記載できる面積が少ない商品は
「ビタミン類」と
省略することも可能です。
使われることの多い
栄養強化剤は以下の通りです。
食いつきを良くするための添加物
香料(着香料・フレーバー)や
動物性油脂、甘味料などは
食いつきを良くするために
添加されることが多い添加物です。
ごはん自体が美味しければ
本来は必要ないものですから、
普段食べさせているごはんの
原材料表示を見て、
それらが余計に添加されていないか
確認してみてください。
動物性油脂は
ドライフードに含まれることが多く、
開封して時間がたつと
油でベタベタしてくるのは
動物性油脂が
使われている証拠です。
もちろん食いつきが良くなることは
メリットなのですが、
油は時間がたてば酸化して
体に悪いものになりますし、
それを防ぐために
酸化防止剤の添加が
必要になります。
油の酸化は添加物で
完璧に防げるわけではありませんので
涙やけの原因になったり
被毛の艶を悪くしたりもしますが、
飼い主さんの目には見えない形で
犬の体に悪影響を及ぼす
こともあります。
偏食を解決するための
アプローチはさまざまありますので、
添加物ではなく
獣医師やドッグトレーナーといった
専門家を頼ることをお勧めします。
品質安定・保存性向上のための添加物
ドッグフードの品質を保つために
保湿剤や乳化剤、凝固剤、保存料、
酸化防止剤などが使われます。
品質安定と保存性向上の
二つにわけて説明します。
品質を安定させるための添加物
品質を安定させるための
添加物として、
- 「保湿剤」
- 「乳化剤」
- 「増粘安定剤・凝固剤」
- 「pH(ペーハー)調整剤」
があります。
保湿剤
保湿剤は、セミモイストフードや
ソフトドライフードなど、
いわゆる「半生フード」で
しっとりとした食感を保つために
使われます。
グリセリンやプロピレングリコール、
ソルビトールが一般的です。
プロピレングリコールは
猫に毒性が強く、
ペットフード安全法で
キャットフードでの
使用が禁止されています。
犬で毒性は認められていませんが、
ドッグフードでも
使用量に制限が設けられています。
乳化剤
乳化剤は、水と油を混ぜて
均一に保つために使われます。
例えばドレッシングは振って
混ぜなければ水と油に分離していますが、
マヨネーズは水と油が混ざった状態を
保っています。
それは、卵黄に含まれる成分が
乳化剤として
水と油を結びつけているためです。
乳化は品質を均一化したり、
舌触りが良くなったりする
メリットがあります。
ドッグフードでは
乳化剤として、
グリセリン脂肪酸エステル、植物レシチン、
卵黄レシチンなどが使われます。
増粘安定剤・凝固剤
増粘安定剤や凝固剤は、
粘りやとろみをつける「増粘剤」、
食品の接着や成分を均一に保つ
「安定剤」や「凝固剤」、
ゼリーのように食品をゲル化する
「ゲル化剤」があります。
ウェットフードで多く使われ、
カラギーナン、グアーガム、キサンタンガム、
ローカストビーンガム、カシアガム、
加工デンプンなどが一般的です。
pH調整剤
pH調整剤は、食材の変色を抑えたり、
弱酸性にすることで
微生物の増殖を抑えて
腐敗を防いだりします。
クエン酸やリンゴ酸が一般的で、
多すぎると味に影響してしまいます。
保存性を向上させるための添加物
保存性を向上させるための
添加物として、
「保存料」「酸化防止剤」があります。
保存料
保存料は、食品中にいる
細菌の増殖を抑えて
腐敗を防ぐために使われます。
水分量が少なく
カビが発生しにくいドライフードや、
殺菌して密封される缶詰、
冷凍保存する
ウェットフードでは使われません。
保存料として「ソルビン酸」
「ソルビン酸カリウム」が一般的で、
毒性は報告されていません。
酸化防止剤
酸化防止剤は、
油などの酸化を抑えるために使われます。
「エトキシキン」「BHA」「BHT」
「ミックストコフェロール(ビタミンE)」
「ローズマリー抽出物」などが一般的で、
エトキシキンとBHA、BHTは
ペットフード安全法で
使用量が制限されています。
それぞれの詳細は後述します。
保存料や酸化防止剤は必要ない?
最近のドッグフードは、
「無添加」をウリにしているものが
増えてきました。
無添加と言っても
保存料や酸化防止剤まで無添加のものから、
着色料や香料だけ無添加、
凝固剤以外は無添加というものまで、
無添加の定義は
メーカーごとに異なります。
ドライフードは
酸化防止剤が入っていなければ
油が劣化して
下痢の原因になります。
そのためプレミアムフードでは、
「ミックストコフェロール(ビタミンE)」や
「ローズマリー抽出物」など
天然由来の酸化防止剤が使われます。
ただ、私たちが自分でつくる料理に
保存料や酸化防止剤を入れないように、
ドッグフードも
つくってすぐ食べさせてしまえば
保存料や酸化防止剤は
本来必要ないものです。
非常食も無添加の時代に
災害発生時のことを考えて
ドライフードを
食べさせている飼い主さんもいると思います。
添加物があることで
長期保存できるようになりますので、
ドライフードの添加物は
正しい使い方と言えます。
ただし、最近は、
無添加の非常食も販売されています。
添加物は使い方次第で
メリットにもデメリットにもなりますので、
ドッグフードメーカーが
どんな意図で
添加しているのかを知り、
飼い主さん納得できる
愛犬のための
ごはん選びをしていただければと思います。
ドッグフードへの使用制限がある添加物
添加物の中には
ペットフード安全法で
使用が制限されているものがあります。
- 「エトキシキン」
- 「BHA」
- 「BHT」
- 「亜硝酸ナトリウム」
の4種類です。
ドッグフードの添加物を
詳しく知っておきたい方は、
代表的なこの四つを覚えてください。
ペットフード安全法では、
エトキシキン、BHA、BHTの合計量が
150μg/g以下
(犬の場合はエトキシキン単体で75μg/g以下)、
亜硝酸ナトリウムは
100μg/g以下とされています。
エトキシキン
エトキシキンは、酸化防止剤として使われます。
抗酸化力が強く安価なため、
世界中でさまざまな用途に
利用されています。
「ベトナム戦争で使われた
枯葉剤の原料だったから危険だ」と
言われることがあるのですが、
酸化防止剤として
使われただけですから
エトキシキンが危険なわけではありません。
発がん性が
指摘されることもありますが、
犬の長期投与実験の結果、
有意な差は見られませんでした。
欧州食品安全機関(EFSA)も
「エトキシキン自体は遺伝毒性又は
発がん性はなく、発達毒性も生じない」
「犬に対しては11mg/kg完全配合飼料の濃度で
安全である可能性が考えられる」としています。
BHA
BHA(ブチルヒドロキシアニソール)は、
酸化防止剤として使われます。
ラット(ネズミ)への投与実験で
発がん性が見られたため
危険な成分とされることもあるのですが、
ラット以外での発がん性は
確認されていません。
逆に抗がん作用が報告されています。
欧州食品安全機関は、
「最大で150mg/kg完全配合飼料の用量で、
猫以外の全動物種に対して安全である」と
結論づけています。
BHT
BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)は、
酸化防止剤として使われます。
ペットフード安全法では、
BHTとエトキシキンとBHAを合計した量に
上限値が定められています。
制限範囲内で使用する限り、
毒性や発がん性は報告されていません。
亜硝酸ナトリウム
亜硝酸ナトリウムは、
肉の鮮やかな色を保つ
発色剤として使われます。
ボツリヌス菌など
細菌の増殖を抑える効果もあります。
よく発がん性が疑われますが、
日本をはじめアメリカやEUで
ドッグフードに含まれる
亜硝酸ナトリウムでの
健康被害は報告されていません。
ただし、ニュージーランドで
配合ミスにより
大量の亜硝酸ナトリウムが含まれた
キャットフードを食べた猫3匹が
メトヘモグロビン血症という病気で
死亡した事故が報告されています。
以上がペットフード安全法で
使用が制限されている
4種類の添加物です。
何となく悪いものというイメージが
広まっているものもありますが、
良いか悪いかは
必ず科学的な裏付けをもとに
判断するようにしましょう。
まとめ
- 総合栄養食にはビタミンやミネラルの添加が必要
- 食いつき対策は新鮮なごはんとトッピングから
- 長期保存するなら保存料や酸化防止剤が必要
日常的に食べる
総合栄養食のドッグフードであれば、
本来ビタミンやミネラル以外の
添加は必要ありません。
その成分が良いか悪いかを考える前に、
その成分が
入っている必要があるのか
どうかから考えるのがいいでしょう。
私たちが食べるごはんのように、
愛犬にも新鮮なごはんを
食べさせてあげることを
オススメしてます。
添加物を使った手軽さより、
添加物の少ない新鮮さを重視した
ドッグフード選びをしていただければ幸いです。
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