シニア犬の食事!注意点や食べさせ方って!

公開日:2022/10/05 / 最終更新日:2023/05/29
シニア犬(老犬)の食事の注意点
シニア期の始まりは
小型犬だと6~7歳、
中・大型犬だと5~7歳くらいです。
最近は犬も高齢化が進み、
シニア期に入ったといっても
それまでと何も変わらず
元気な子がほとんどでしょう。
そのためシニア期をさらにわけて、
小型犬だと11歳くらいから、
中・大型犬だと8歳くらいからを
「老齢期」、または「高齢期」
「老犬期」と呼ぶこともあります。

シニア初期の食事
シニア期に入ると
以前に比べて活動量が減ってきます。
一方で食欲には
変化が無い場合もあり、
食事量が変わらないまま
消費量だけが減ってしまうと
肥満につながります。
シニア期は
重くなった体を支える
筋肉や骨が弱くなっていきますので、
少しの肥満でも関節や心臓など
体への負担が大きくなります。
ごはんは1日の最適カロリー量を
超えないようにして、
おやつもその10%以内に収まるように
与えるようにしましょう。

シニア中期の食事
シニア中期になると
消化や味覚・嗅覚の機能低下によって
食欲に変化が出てきます。
肥満より体重の減少が
問題になってくるでしょう。
少しずつ減少するのは
正常な老化ですので問題ありませんが、
急激な体重減少は
病気の可能性があり注意が必要です。
食欲が低下していくとき
特に大切なのは、
タンパク質の摂取です。
特に動物性のタンパク質が重要で、
ドッグフードを選ぶ際は
原材料の最初が
肉類になっているものを
選ぶのが良いでしょう。
大豆やトウモロコシなども
植物性のタンパク質を含みますが、
食物繊維も多く
タンパク質の消化吸収率が下がります。

老齢期の食事
老齢期になると
消化や代謝の機能低下だけでなく、
歯が悪くなったり
唾液分泌が減ったりして
食事量も減少します。
飼い主さんの悩みも
「食が細い」から「ごはんを食べない」に
変わっていきます。
引き続き良質なタンパク質が摂れる
フードを優先しつつ、
今度は食べてもらうための
工夫が必要になってきます。
ドライフードを食べさせている場合は、
ふやかして食べやすくしたり、
温めて匂いを出すことで
食欲を上げることができます。
老齢期は食欲だけでなく
水分摂取も減りますので、
形状としては
ドライフードより
ウェットフードのほうがオススメです。

シニア犬(老犬)の手作りごはんの考え方
ごはんを食べない愛犬や
病気で食事制限が必要になった
愛犬のために、
手作りごはんに挑戦しようと
考える飼い主さんも少なくありません。
ただ、毎日のごはんを
手作りにすることは、
お奨めしていません。
その理由は、
栄養バランスを保つことが
非常に難しいからです。
人の食事と犬の食事は
似ているようで、
異なる部分があります。
犬に食べさせてはいけない食材や
摂りすぎてはいけない栄養素、
不足してはいけない栄養素を
知らなければいけません。
良かれと思って始めた
手作りごはんが原因で
愛犬が体を壊してしまった
という話は決して珍しくありません。
ただし、手作りごはんそのものが
推奨できないわけではありません。
手作りごはんを食べている犬のほうが
3年近く長生きした
という調査結果もありますので、
犬の栄養学をしっかり学んだり、
フレッシュタイプのごはんを
利用したりするといいでしょう。

シニア犬(老犬)にオススメの栄養や食材
手作りごはんに挑戦したり、
フレッシュタイプのごはんを選ぶ際は
以下の成分や食材が含まれているかを
確認するといいでしょう。
動物性タンパク質
肉食寄りの犬にとって
動物性タンパク質は
重要な栄養です。
牛肉や豚肉、鶏肉、
魚肉などの肉や、卵など、
アレルギーに気をつけて
多く含まれるドッグフードを
選ぶようにしましょう。
オメガ3脂肪酸
魚油(フィッシュオイル)に
多く含まれることでも知られる
オメガ3脂肪酸(DHAやEPA)には、
抗炎症作用のほか
心疾患や、癌の予防効果があるとされています。
認知機能の改善にも
期待ができ、
シニア期は特に
オススメの栄養です。
抗酸化食品
呼吸によって体内に取り込まれた
酸素の一部は活性酸素に変化し、
老化や癌の原因になります。
年を取ると
体内の抗酸化酵素が少なくなるため、
ブロッコリーやニンジン、
リンゴ、サツマイモ、シイタケ、
えのき、海苔などの
抗酸化作用の高い食材を
食べることが重要です。
食物繊維
ダイエットの際にも
オススメの食物繊維は、
腸内環境を良くしてくれます。
近年の研究で腸内環境が
全身に与える影響は非常に大きいことが
わかってきています。
摂り過ぎも良くありませんが
適度に摂ることが
健康につながります。
食材としては
納豆やヨーグルト、
モロヘイヤがオススメです。

シニア犬(老犬)が
全く食べない場合に考えられる理由
若いときは何でも食べていたのに、
シニア期(老犬期)になって
全く食べなくて困っている
飼い主さんも多いと思います。
まずは、食べない理由を
確認することから始めましょう。

1、病気の可能性
急に食べなくなったり、
食べない以外にも
変化が見られたりする場合は
病気の可能性があります。
- 「水も飲まない」
- 「元気がない」
- 「震える」
といった場合は
緊急性が高い可能性がありますので、
様子見をせずに
動物病院へ行くようにしてください。

2、油が体に合わない
特にドライフードを与えている
犬の場合になりますが、
食いつきを良くするために
添加(オイルコーティング)される
動物性油脂が
年齢とともに体に合わなくなったり、
好みに合わなくなったり
している可能性があります。
フレッシュタイプがオススメですが、
最近ではオイルコーティングをしていない
ドライフードも販売されていますので
試してみるといいでしょう。

3、カリカリが食べにくい
こちらもドライフードを与えている
犬の場合になりますが、
顎の筋肉が弱くなっていたり、
歯周病や口内炎、
喉の炎症などの痛みがあったりして
食べにくい場合があります。
犬は人と違って
食べ物を噛み砕く必要はありません。
ウェットフードや
飲み込みやすいサイズの
ドライフードに変えてみるといいでしょう。

4、口に合わない
単純に美味しくないと思っていたり、
食べなければ
もっと美味しいごはんが
食べられると思っていたりして
食べない可能性もあります。
特に「ごはんは食べないけどおやつは食べる」
という犬に多い理由かもしれません。
「ごはんを変えると何日かは食べてくれるけど、
すぐ飽きてしまうのでコロコロ変えている」
という飼い主さんも要注意です。
愛犬は食べなければ
- 「もっと美味しいごはんが出てくる」
- 「違うごはんが出てくる」
- 「おやつがもらえる」
と学習しているかもしれません。
こうなると
飼い主さんが覚悟を決めて
「これがあなたのごはん」と
教え直さなければいけませんが、
食べないシニア犬(老犬)を前に
なかなか難しいと思います。
ストレスが溜まっている状況は
飼い主さんにも犬にも
良くありませんので、
悩みすぎる前に
ドッグトレーナーや
獣医師に相談することを
オススメします。

シニア犬(老犬)のごはんの食べさせ方
ここまで「何を食べさせるか」
について説明しましたが、
「どう食べさせるか」も重要です。
特に食べたくても食べられない状況を
作ってしまうとかわいそうですので、
シニア犬(老犬)にとって
快適な食事環境を
作ってあげてください。

1、器を食べやすい高さにする
ごはん皿を床に置いて
ごはんを食べさせている方も
いると思いますが、
理想的なお皿の高さは
肩の高さです。
犬が少し下を向いて
食べられるくらいが
ちょうど良いでしょう。
犬も年を取ると
筋肉が少なくなって
姿勢や飲み込むのがつらい
可能性があります。
食事台で楽な姿勢になる
高さにしてあげましょう。
寝たきりになって
食べられない場合は、
注射器を使って流動食を与えます。
間違った与え方をすると
窒息する可能性もありますので、
獣医師の指示に従うようにしてください。

2、食事回数は愛犬に合わせる
犬の食事は1日2回が一般的です。
空腹の時間が長くなってしまうため
2回より少なくしてはいけませんが、
逆に2回より多くしてはいけない
ということはありません。
特に犬は量より回数に
満足感を得るため、
量を変えずに
回数を増やすことは
ダイエットにもつながります。
シニアになると
1回に食べられる量が
少なくなりますので、
1回に食べる量だけ食べさせて
3回、4回と回数を増やしてあげると
いいでしょう。
ただし、ごはんを出したまま
(いわゆる置き餌)は
衛生面で良くありませんので、
必ず一定時間置いて
食べなければ片付け、
改めて新鮮なごはんを
出すようにしてください。

3、食欲をそそる工夫をする
年を取れば
消化機能が落ちて油が苦手になったり、
味覚や嗅覚が鈍くなって
今まで食べていたものが
美味しく思えなくなったりします。
新鮮な食材を使ったごはん、
食材そのものの味や香りが楽しめるごはんを
選んであげたり、
少し温めて
美味しごはんの香りが立つ
ようにしてあげたりすると良いでしょう。

まとめ
- シニア期になったら活動量と食欲の変化に注意する
- 手作りごはんは犬の栄養学を勉強してから
- 良質な栄養が摂れる新鮮なごはんにする
- 水分量や食事台など食べさせ方にも工夫が必要
食べるのを忘れてしまうほど
娯楽がたくさんある私たちと違って、
犬にとっての食事は
1回1回が楽しみな一大イベント。
年を取っても
美味しいごはんを
楽しく食べてもらいたいですよね。
シニア期にどんなごはんを食べるかで
一緒にいられる時間も
大きく変わってきます。
愛犬の状態をよく観察して、
どんなフードを
どうやって与えるべきなのか、
ぜひ工夫してみてください。

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